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ゴルフを諦め3年間の“OL生活”も経験した25歳 さくらパパの弟子・浅田実那の紆余曲折ゴルフ人生

浅田実那はトータル9アンダーの3位タイと合格に大きく前進(撮影:福田文平)

<JLPGA 最終プロテスト 3日目◇2日◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山県)◇6419ヤード・パー72>
 
笑顔とともにクラブハウスに戻ってきたのは25歳の浅田実那。トータル5アンダーの6位タイからスタートした3日目に、7バーディ・3ボギーの「68」をマークし、トータル9アンダーの3位タイと合格に大きく近づいた。

「前半はショットでピンを刺せて…、いやパターが入っただけですね(笑)」。底抜けの明るさは、こんな一言からも伝わってくる。ただその内容は、1番パー4でセカンドショットが「結果オーライ」で2.5メートルについてバーディを奪うと、そこから5メートル、1.5メートルを沈めての3連続バーディで滑り出すなど、すべてのプレーがしっかりとかみ合った印象だ。
 
愛知県出身の浅田がゴルフを始めたのは11歳の時。中学1年生からは横峯さくらの父・良郎氏の指導を受けている。途中一人暮らしをした時期もあったが、その多くを2010年に宮崎県の宮崎空港ゴルフセンター施設内に設立された「さくらゴルフアカデミー」の寮で生活し、プロを目指してきた。その寮は現在ゲストハウスに変わっているが、「今もそこで暮らしています」と変わらず拠点になっている。
 
2017年、18年にはTP単年登録選手としてツアーを戦い、17年3月の「Tポイントレディス」では良郎氏がキャディを務めたことも。その当時アカデミーに在籍していたのが浅田のみだったため“最後の教え子”とも言われたが、こんなエピソードからは2人の絆の深さもうかがえる。「“いつも通りやれば大丈夫”って言ってくれました」。師匠のそんな声援に送り出され、18年以来となる2度目の最終プロテストを戦っている。
 
プロテストは今回が5回目。ただ年齢を考えると、受験をしなかった数年間の“空白期間”があることに気づく。「1回ゴルフを辞めていました」。聞くと、プロテスト合格者しかQTを受けられないという日本女子プロゴルフ協会の規約変更もあり、「もうダメかな」と21~24歳の3年ほどプロになることを一度は諦めた。20~22年のプロテストは受けずに、その間は「不動産会社のOLをしていました」という過去も明かす。
 
だが会社員として働く間も「インスタグラムで友達が頑張っている姿を見たりすると、『(ゴルフを)やりたいな~』とは思っていました」と競技への熱が完全に冷めることはなかった。同学年には宮崎県出身の脇元華らがいるが、そんなモヤモヤした気持ちを抱えている時に『もう1回やらないか?』と再びコースに戻したのも、良郎氏だった。こうして昨年9月に復帰を果たし、そして今、プロへの扉を開きかけている。
 
「初日、2日目がアンダーだったから、『やらかしちゃうかな』っていう嫌な予感があったんです。最後にやらかすタイプなんです」と言って、豪快に笑う。この日も左に長い池が伸びる最終18番は、そんな考えが頭をよぎったが、「“一球入魂”です」という精神でバーディをもぎ取った。
 
紆余曲折のゴルフ人生を歩んできたが、この3日間は着実に合格へと歩みを進めている。「最後の最後まで気を抜かず。明日も怖いですね(笑)」。残り18ホールも、魂を込めたショットを放っていく。(文・間宮輝憲)

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