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ジョコビッチ騒動の“悲劇のヒロイン”ボラコワが国外退去の状況を赤裸々告白「ある晩、突然警察がやって来た」<SMASH>

裁判で争ったジョコビッチ(左)に対し、ボラコワ(右)はすぐに国外退去を受け入れた。ただ彼女は1大会プレーした後だっただけに、巻き添えを食った感も否めない。(C)Getty Images
世界的に波紋を広げたノバク・ジョコビッチ(セルビア)のオーストラリア入国問題。今回の騒動で最も不憫な扱いを受けたとされているのが女子テニスのレナタ・ボラコワ(チェコ)だ。

実はボラコワもジョコビッチと同様に昨年12月の新型コロナウイルス感染を理由として、ワクチン接種免除とオーストラリアへの入国が認められたうちのひとりだった。そして彼女は1月4日~9日に開催された女子テニスツアー「メルボルン・サマー・セット2」にダブルスで出場していた。

ところが、一度目にジョコビッチの入国ビザが取り消された直後、ボラコワの元にも調査が入り、突如として国外退去を命じられてしまったのだ。ジョコビッチの弁護団がこの処分に対して異議申し立てを行なった一方で、ボラコワはオーストラリアからの退去を決断。現在開催中の「全豪オープン」にもダブルスでエントリーしていたが、欠場を余儀なくされてしまった。

このほどイタリアのスポーツメディア『Sportface』のインタビューに応じたボラコワは、初めにオーストラリアへの渡航が認められた経緯と国外退去を命じられるまでの詳細を明かした。

「私は、オーストラリアテニス連盟が規定するプロトコル(手順)に従っただけです。ワクチン接種をしていなかったので、いずれワクチンを受けようと思っていたのですが、オーストラリアへ渡航する1か月ちょっと前くらいに私が新型コロナに感染していたことがわかりました。それでメルボルンへの渡航を許可されたのです」
「試合を終えて、ある晩部屋で静かに休んでいたら、突然、警察がやって来たんです。そして、『どうしてそこにいるのか』と聞き始めて、警察署に連れて行かれて、6時間も取り調べを受けた。取り調べが夜中の1時に終わって、ビザがキャンセルになったと言われました。その時、ジョコビッチも拘留されていた収容施設に連れて行かれました」

また、ボラコワはジョコビッチとのケースを比較したうえで「私もノバクも事の流れが非常によく似ている」と明かし、「私たちは2人とも12月にコロナに感染してそれをオーストラリアテニス連盟に報告し、最終的に医療免除が認められた」と告白した。

その一方で彼女は「相違点としては、ジョコビッチは法廷闘争に挑むことを決め、(ビザ取り消しの)決定を覆すために弁護士を頼りにしていたことです。(自分が退去を受け入れたのは)私は当時、とても孤独を感じていたので、その道(法廷闘争)は選ばないことにしました」ともコメントした。

最後には「連邦政府と大会主催者の間で規定が異なり、明らかに意思の疎通ができていなかったことが原因だと思われるので、今回の件に関しては全く責任を感じていない」と豪当局の一連の対応に不満をあらわにしつつも、「大会側からは何の説明もないので、全てが落ち着いてから明らかになればいいと思っています」と締めくくった。

ボラコワは今回の入国問題に巻き込まれた“悲劇のヒロイン”と言っても過言ではない。まだまだ騒動の余波が続いているだけに、周囲から彼女への精神的なケアも必要だろう。

文●中村光佑

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