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【全豪オープン予選】本玉真唯が初の本戦出場に王手!神尾米コーチと共に築いたプレーの鍵は「ラリーが続いたか」<SMASH>

予選2回戦を突破した本玉真唯(右)と神尾米コーチ(左)。写真:内田暁
「緊張したー!」予選2回戦を終えコートを離れた本玉真唯は、コーチの神尾米に飛びつくと、手をふるわせながら声を上ずらせた。

グランドスラム予選は、昨年の全米オープンテニスに続く2大会連続。その間の数カ月で、ツアーベスト4など多くの場数を踏んだ本玉だが、グランドスラム会場には、また格別の緊張感が漂っているのだろう。

本玉が予選2回戦で対戦したリアン・エンショーは、本玉と同世代の21歳。2018年の全豪ジュニアを制し、将来を嘱望されてきた選手だ。ジュニア時代の実績では、リアンが上を行くのは確か。ただ、強打もあればミスも多い当時のプレースタイルから印象の変わらぬリアンに対し、本玉は成長した姿を披露した。

「一本調子にならないよう、スライスやロブも使うようにした」という本玉の戦略がハマり、第1セットは相手のミスを誘っていく。リードを奪っても手を緩めぬ本玉が、1ゲームも与えずセットを奪取した。

ただ、6−0で取った次のセットが難しいというのは、多くの選手が口を揃えること。失うもののなくなった相手の強打がコーナーを捉えはじめ、一方の本玉は緊張を募らせる。1−2のゲームでは、「気持ちが引いて、ボールにぶつかっていけなかった」本玉が、この試合初めてブレークを許した。

それでも、反省点を素早く分析し、修正できるのが今の本玉の強みだろう。すぐにブレークバックすると、4ゲーム連取で再び形勢を逆転する。相手の強打に食らいつき、スライスやロブも駆使して長いラリーを制する姿は、「打ち勝ってきた」と回顧するジュニア時代とは異なる大人のテニスだ。

「見ての通り、チキってました」と苦笑いする終盤戦で彼女を支えたのは、オフシーズンに改革したサービス。最後はエースを叩き込み、本戦出場に王手をかけた。
勝利後に本玉を温かく迎え入れた神尾コーチは、試合中、声援を送りつつ常にノートを付けていた。何が書かれているのか尋ねると、「たいしたことではないんですよ」と笑みをこぼしつつも、精髄を教えてくれた。

「基本は、どれくらいラリーが続いたかを書いています。以前の彼女は直ぐに決めにいこうとして、ミスが早かった。でもそれでは、上のレベルでは勝てない。その証明として、ラリー数を試合後に見せるようにしたんです」

ツアーレベルのテニスに対抗するため、フィジカルを鍛え、フットワークからフォアの打ち方までメスを入れ、ストロークの質を上げた。その方向性が正しいことを、神尾は数字で示していく。事実、30本を超えるラリーで、本玉が上位勢相手にポイントを取ることも増えていった。

それら現然たるデータは、「間違いなく彼女に勇気を与えた」と神尾は語気を強めた。

取り組みの正しさを確信し挑む予選決勝で対戦するのは、先週のメルボルン大会初戦で当たったばかりのゼン・チンウェン。その時はフルセットで惜敗したが、「緩急をつけた時は自分がセットを取れた。明日も、一本調子にならないように色んな球種を使っていきたい」と、勝利への青写真は描けている様子だ。

急成長中の本玉が、大人のテニスで、20歳の新鋭へのリベンジを期する。

◆女子シングルス予選2回戦の結果(1月13日)
本玉真唯(日本)[28] 6-0 6-4 リアン・エンショー(台湾)

現地取材・文●内田暁

【PHOTO】本玉真唯のリズムを重視したサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』

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