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ヒザを深く曲げて足のパワーで打つスピンサービス。ティームは高難度の技術で回転とパワーを両立<SMASH>

ヒザをこれほど深く曲げる選手は少ない。ティームは驚異的な足のパワーの持ち主なのだ。左上は解説の丸山薫氏。写真:真野博正
2020年全米オープンテニスに優勝したドミニク・ティーム(オーストリア)にとって、2021年は厳しい年となった。思うような結果が出ない中、6月下旬のマヨルカ大会で右手首を故障してシーズンを終えたのだ。幸い手術の必要がなく、現在は高いモチベーションを持って2022年復帰に向けて準備を進めている。

ティームがよく使うスピンサービスについて、元日本代表コーチの丸山薫さんに解説してもらった。

*  *  *

ティームは足が非常に強く、足でサービスを打っています。トロフィーポーズでは、ヒザをかなり深く曲げて、その状態から勢いよく両足でジャンプして、ボールにパワーを加えています。

現在、ここまで深くヒザを曲げる選手は少ないでしょう。ティームは驚異的な足のパワーの持ち主なので、このヒザの曲げを5セット通して持続できるのです。一般プレーヤーの場合、足首の柔らかさと足からお尻の横までのパワーに自信があれば、ヒザを深く曲げることに挑戦してみるのもいいかもしれません。
通常、スピンサービスを打つ時は身体の横向きを維持して、ラケットを右側に振り抜いていきます。しかし、ティームはインパクト前に骨盤を左側に少し動かして打っています。こうすることで回転をかけるサービスに、パワーも追加しているのです。

ラケットは右側に振っていくため、骨盤を左側に動かしながら打つには、肩周りの柔軟性と高いコーディネーション能力が必要とされます。かなり難易度が高いため、上級者でないと取り入れらない技術になります。

ティームは2020年にグランドスラム初優勝を果たして、達成感があった印象です。しかし、ケガでツアーから離れたことで、モチベーションは上がっているでしょう。もともとハードワークをする選手なので、フィジカルはすぐに戻ってくると思います。

あとは、今年急激に実力と自信を付けてきた、ズベレフ、メドベージェフ、チチパスと互角に戦える試合勘が鍵になります。トップグループにいつ戻るのか注目です。

取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

【連続写真】足の力を存分に活用する、ティームのスピンサービス

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