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日本テニス界注目の11歳、石井心菜。4歳上のお姉さんたちに挑む「勝つぐらいの強い気持ちでできたら」<SMASH>

相手に合わせてテニスを変えられること、ショットではフォアとスライスが武器の石井心菜。写真:スマッシュ編集部
今年の全国選抜ジュニアと全国小学生で優勝した石井心菜(イシイココナ)。相手に合わせて戦術を変えることができる彼女は、11歳にして相手を観察する目を持っている。彼女の能力を認めるテニス関係者は多く、ジュニア育成プロジェクト「リポビタン Presents 伊達公子×YONEX PROJECT ~Go for the GRAND SLAM~」の2期生にも選ばれた。それも8名中7名が15歳の中、唯一の11歳(22年3月10日で12歳)である。

伊達公子×YONEXプロジェクトが実施するキャンプでは、当然ながら8名で行動することになる。ジュニア期の4歳差はかなり違いがあるはずだが、石井はまったく臆することなく、笑いの中心にいることも多い。そして、このメンバーに選ばれたチャンスを存分に生かそうとしている。

「普段はあまり打てない上の人と練習できるのはすごくうれしいです。色々な所から集まってきていて、いろんな人と打てるし、みんなうまいから勉強になって、すごくいい感じで練習ができています」と楽しそうに話す。
4歳差を感じることがあるかと聞くと、「あります」と即答。「みんなすごくしっかりしていて、お姉さんって感じです。わからなかったら、『こうだよ』って教えてくれます。朝ぜんぜん起きられないことが1度あったんですけど、みんなドアをコンコンしてくれたんです。起きられなくて申し訳なかったです」。キャンプで一緒に行動することで、生活面でもお姉さんたちから学んでいるようだ。

「ボールがすごく速い」とテニスでも違いを感じている。特に2期生メンバーは長身の選手が多く、「みんなうまくて大きい。大きな人が集まったのかと思うぐらい、あまり経験がない感じです」。石井も小学6年生の中では大きな方だが、170センチ近い選手たちと打ち合えることは、あまりないだろう。

「(高い打点から来るボールは)普段とは違います。普段はあまり打たれないボールもパーンッと打たれたり、普段拾われないボールも拾われる」と、内容は苦しい状況のように聞こえるが、石井はそれが、「すごく楽しい(笑)」と言う。話す表情にも前向きな気持ちが溢れていた。
この環境で練習するからこそ生まれた課題もある。「上の人たちとする時に、どれだけ自分の実力を発揮できるか。勝つぐらいの強い気持ちでできたらなと思います。誰としても自分のプレーができるようになったら、もっと勝てるかなと思います」。

相手が自分よりも上のレベルだと思うと、気持ちの面で少し引いてしまう。その気持ちから変えて、勝機を見出だそうとしている。同年代ではトップにいるだけに、挑戦できる環境は貴重である。

上のレベルの選手たちと練習できることに加えて、役立っているのがトレーニングとのこと。キャンプでは川田真琴トレーナーが選手を個別に見て、毎日行なうストレッチの課題を与えてくれる。
石井は、「足首が硬いと言われました。無駄なロスが生まれるし、ヒザとかにも影響が出ると言われて、納得できました。判明してよかったです」。というのも、あまり得意でない守備を、それによって改善できるかもしれないからだ。

上達しようという意思に、物おじしない性格は、プロ向きと言っていい。父親が石井弥起プロという環境面でのプラスもある。11歳だけに、今後どのように成長していくのか未知数だが、なんだか応援したくなる選手である。

取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

【PHOTO】「リポビタン Presents伊達公子×YONEX PROJECT ~Go for the GRAND SLAM~」ジュニアたちが成長するキャンプの様子

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