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“獲得タイトルは5個!”ダブルスの青山修子/柴原瑛菜が世界ランク5位で充実のシーズンに幕!<SMASH>

四大大会に次ぐグレードを誇るマイアミ・オープン(写真)を含め、青山修子/柴原瑛菜は今季5つのダブルスタイトルを手にした。(C)Getty Images
まったく同じ両者の“ランキングポイント”が、ピタリと肩を並べ走った、この1年の足跡を浮き彫りにする。

青山修子と、柴原瑛菜。それぞれのダブルスランキングは5位タイで、ペアとしての今季レースでは2位。上位8チームのみが参戦できる“WTAツアーファイナルズ”にも出場し、ベスト4で今シーズンの掉尾を飾った。

「プロになって初めて、フルシーズンでツアーをまわれて。それが青山さんとでうれしくて」

今季を振り返る柴原は、そう言い顔をほころばせる。

強豪UCLAを休学し、プロ転向を決意したのが3年前。「前から組んで欲しいと思っていた」と尊敬する青山に送り続けたラブコールが、2019年の夏に実った。

組んだ直後から二人は次々に結果を残すも、昨年はコロナ禍で半年近くツアーは中断。その間、柴原は拠点の米国カリフォルニア州に留まったが、昨年末は日本に滞在し、青山と練習を重ねて今季に備えた。

全豪オープン前の2週間は、感染症対策のため二人だけでの練習を強いられたが、その制約もまた、公私ともに互いを知るうえでプラスに働いたようだ。

今季、二人が勝ち取ったタイトルは5つ。そのなかには、柴原が「一番うれしかった」と振り返るマイアミ・オープン(WTA1000)の優勝も含まれる。

「けっこうアップダウンもあったけれど、最後の最後に良かったです」

WTAファイナルズで終えた今季を振り返り、23歳は表情に充実感をにじませた。
既にプロ10年のキャリアを誇る青山にとっても、1年を通じ同じパートナーのみと組んだのは、初めての経験だ。どの国の、いかなる選手と組んでも一定の戦果をあげられるのが、ダブルスプレーヤー青山の美徳ではある。

ただ、真に頂点を狙うには、固定パートナーが必要だとも感じていた。

その時にアメリカから現れた柴原との邂逅は、青山にとっても幸福な出会いだっただろう。二人の最大の強みは「コミュニケーション力」だと、青山は再三繰り返してきた。試合前後はもちろん、試合中でも気になる点があれば、二人はすかさず言葉を交わす。

「アオさん、私のポーチに出るタイミング、どう思いますか?」

プレー直後に助言を求めてくる柴原に、青山は試合の状況やパートナーの精神面等に配慮しつつ、その時々で最適な言葉をかけていく。

「WTAファイナルズに出場できたことも含め、柴原選手と組んで結果が出せた。なので、まずはパートナーの瑛菜ちゃんに感謝したい」

今季を振り返る青山もまた、真っ先に柴原への感謝を口にした。
二人の今季の集大成であるWTAファイナルズでは、ラウンドロビンで2勝をあげ決勝ラウンドに出場するも、直近2試合で負けているシェイ・スーウェイ/メルテンス組にストレートで敗れた。

青山が「今季で最も悔しい敗戦」に挙げたのは、ウインブルドンの準決勝。その時の相手であるシェイ・スーウェイ/メルテンスを前にして、33歳のベテランは「意気込みすぎて空回りしてしまった」と唇をかんだ。

一方の柴原は、「私は、やりたかったことはできたけれど、決めきれなかった場面が多かったのが悔しい」と述懐する。ファイナルズ開催地のメキシコ・グアダラハラは、標高が高くボールが飛びやすい。それを踏まえ「考えずに反応しないといけない」と試合前には語っていたが、チャンスボールのボレーやスマッシュで飛び出したミスは、環境への適応も関係していただろう。それらも含めて、若い柴原には全てが「勉強」だ。
シングルスでの成功も求める柴原は、来年は単複両立を目指すという。とはいえ、シングルスとダブルスのランキングの差が大きいため、ダブルスを犠牲にする局面が増えるだろう。

それでも「ストーサーとジャン・シュアイ選手は、グランドスラムとマスターズの優勝でファイナルズに出られている。全大会でなくても、頑張ればここに戻ってこられる」と高い目標を掲げた。

ここから先の二人は、これまでのように、常に並走する訳ではないかもしれない。

それでも、各々が今季得た自信と課題で己を磨き、足跡を交錯させながら、今後も二人で頂点を目指していくはずだ。

取材・文●内田暁

【PHOTO】青山/柴原ら、世界で戦う日本人女子テニスプレーヤーたち!

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