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所属は関係ない、成長に本気な選手が集う 岡野俊介も通ったクラブチームU.N.G.の自由な運営スタイル

強くなることより大事なものを育てたい

――内山さんが指導で意識している方針を教えてください。
内山直英さん:大きく分けて3つあります。

1つがクラブの垣根を越えて練習しているからこそ、メインの指導者が誰なのかを明確にすることです。

僕がメインなら責任を持って関わりますし、他クラブの監督がメインであれば、あくまでプラスアルファとして関わるようにしています。

写真:球出しをする内山直英さん/提供:U.N.G.
写真:球出しをする内山直英さん/提供:U.N.G.

内山直英さん:2つ目はセンスには個人差が絶対あると思っています。

その中でもその子が目指せる一番上のレベルまで引き上げてあげたいというのはずっと一貫している基本方針です。

写真:教え子に囲まれる内山さん/提供:U.N.G.
写真:教え子に囲まれる内山さん/提供:U.N.G.

内山直英さん:3つ目が、勝つための努力や継続はもちろん、挨拶や話を聞く力、伝える力なども含めて、人間としての力を育てたいと思っています。

卓球がうまくなるだけでなく、社会に出たときに役立つ力もクラブで身につけてほしいと思っています。

――選手との接し方で意識していることはありますか?
内山直英さん:練習中は厳しく接しますが、休憩中は絶対に叱らないと決めています。

基本的に私は厳しく接する場面は必要だと思っています。褒めるのと厳しくするのだと少し厳しいことが多いぐらいです。ただそれは練習中のことです。

オンとオフをしっかり分けて、緊張とリラックスのメリハリをつけることを意識しています。

写真:指導する内山直英さん/提供:U.N.G.
写真:指導する内山直英さん/提供:U.N.G.

練習だけでなく、未来につながる関わりを

――これまでいろいろな選手を輩出されていますが、特に印象に残っているエピソードはありますか?
内山直英さん:たくさんあるのですが、特に嬉しいのは「行きたい」と言っていた進路に選手が行けたときですかね。

福田純大くんが小学5年生のときに「エリートアカデミーに行きたい」と言った時は、「じゃあそこを目標にしてやろう」と頑張りました。かなり強かった学年だったのですが、運もあり、その目標を実現してくれたのは心に残っていますね。

例えば岡野俊介なんかも「名電に入りたい」となって同世代には篠塚、谷垣らがいてどうかなというところだったんですが、本人もかなり頑張って最終的に名電に入れたのは嬉しかったです。

他にも勉強と卓球を頑張っている中学生が、目標としていた進学校に行けたとかそういうのも嬉しいです。

写真:平成29年全中での写真/提供:U.N.G.
写真:平成29年全中での写真/提供:U.N.G.

内山直英さん:試合では楊奇真の試合が印象的ですね。
――どういう試合だったんですか?
内山直英さん:彼が中学3年生のときの全中で、野田学園にいたカットマンの竹崎千明選手と当たるということで、カット打ちばかり練習して試合に臨み、勝つことができました。

この試合に勝つためにこの練習をしよう、というのがバッチリハマった気がして、練習が試合に繋がったと感じてものすごく嬉しかったですし、印象に残っています。

写真:当時の楊奇真と内山さん/提供:U.N.G.
写真:当時の楊奇真と内山さん/提供:U.N.G.

内山直英さん:ちなみにその翌日の試合で再びカットマンの選手と当たって、勝ち上がるチャンスだと思ったのですが、楊奇真は「昨日のカット打ちで腕が上がらないです」と…。「マジかよ…」と思っていたら負けてしまいました。楊奇真らしいエピソードではありますね(笑)。

写真:楊奇真さんの結婚式での内山さん/提供:U.N.G.
写真:楊奇真さんの結婚式での内山さん/提供:U.N.G.

――今後の展望について教えてください。
内山直英さん:今いる選手はそこまで全国レベルというわけではないですが、だからこそ一人ひとりの「本気」を大事にしたい。

将来的には指導者の育成や、障がいのある子も含めた誰もが参加できる環境づくりも目指しています。

また、強くなった子はもちろん、多くのOB・OGが顔を出してくれるのは、卓球を教えてて良かったなと思える瞬間ですし、そういう場所であり続けたいです。

OB・OGはもちろん、OB・OGの親御さんも練習に参加してくれて、いろんな方に支えていただいているクラブです。今は、OBの親御さんで理学療法士の資格を持つ方が毎回練習に参加して、指導にあたってくれています。

U.N.G.が「本気で向き合える場所」であり続けるために、これからも周囲の支えを借りながら、選手とともに成長していきたいと思います。

取材・文:山下大志(ラリーズ編集長)

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