
鳥取県を拠点に活動する卓球クラブ「T-Room」。
クラブ代表の西垣貴司さんは、農業に従事しながら卓球の指導や選手活動も行う“二刀流”だ。
地域に根差したクラブとして立ち上げられたT-Roomは、少人数ながら自主性のある運営と熱意で、県内外に存在感を示している。
今回は、西垣さんのこれまでの歩みと、クラブ設立の背景、指導哲学やチームの今後について伺った。
「卓球は嫌いだった」少年が、再び卓球に戻るまで
写真:全日本2025でプレーする西垣貴司さん(写真左)と妻の西垣若奈さん(T-Room)/撮影:ラリーズ編集部
ただ、進学した中学校が全校生徒16人という超小規模な学校だったので、卓球部しかなかったんです。全員が卓球部に入部するような環境でした(笑)。
そこに赴任してきた先生が卓球経験者で、その指導がきっかけで卓球にのめり込んでいきました。
高校で卓球を引退するつもりだったのですが、顧問の先生に「お前は卓球を続けろ」と言われて。
最終的には岡山商科大学で卓球を続け、在学中はインカレ、全日学にも出場する事ができました。
写真:全日本2025でプレーする西垣貴司さん(写真左)と妻の西垣若奈さん(T-Room)/撮影:ラリーズ編集部
バイトで1年間、その後は社員として7年間勤務しましたが、29歳のときに家業の農業を継ぐために鳥取に戻りました。
写真:ユニフォームの胸に入っている「はたがなる大根」が西垣さんの作っている大根 写真は妻の若奈さん/撮影:ラリーズ編集部
TCマルカワでの経験が活きている
写真:全国ホープス選抜 岡山県男女アベック優勝の写真/提供:西垣貴司さん
そのため、TCマルカワで丸川真一コーチに教えていただいた知識や経験を活かしながら卓球のレッスンや教室をしていました。
コロナ禍が落ち着いてきたころ、僕自身も卓球を楽しみたいと思い、練習や試合に少しずつ出るようになりました。試合に出た時に宣伝になるようにとチームを作りました。
写真:丸川真一さん(TCマルカワ代表)TCマルカワは岡山県内の超名門クラブ/撮影:ラリーズ編集部
また、丸川コーチの顔に泥をぬるようなことはできないと思いながら、気を引き締めて頑張っています。
写真:丸川真一さん(TCマルカワ代表)との写真/提供:西垣貴司さん
マルカワ時代の卒業生や、こっちに帰って来てからの生徒や卒業生らから活躍の報告がくると、そのたびに僕も頑張ろう!とすごいパワーをもらいます。
ラリーズさんのSNSでもよく卒業生や生徒の活躍を見ますが、今でも頑張っている子もいて本当に嬉しいですね。
写真:金光航平(関西クラブ/TCマルカワ→関西高校→近畿大学)/撮影:ラリーズ編集部
地元密着型のチーム「T-Room」
悩みに悩んで、TはTable Tennis、Training、Tottoriなど、複数の頭文字を取って。Roomは実家の卓球場、というか牛舎だった建物を改装したスペースが活動拠点なので、“部屋”を表す言葉として選びました。
みんな県内出身の人ばかりで地域密着型のチームとして活動してますが、出張などで鳥取に来てる人でも是非入ってもらえたら嬉しいです
県内の中部・東部・西部と地域が分かれているので、練習の場所や頻度にはばらつきがあります。
鳥取の米子市から通ってくるメンバーもいて、そこの地元のチームと合同で練習することも。多いときは14、5人集まり、少ないときは3、4人と波があります。
また、鳥取県選手権でダブルスの決勝にT-Room所属の4人が残ったこともあり、監督としてとても嬉しかったです。
写真:第70回記念近県硬式卓球選手権大会で男女3位入賞したT-Room/撮影:ラリーズ編集部
地域とのつながりと今後の展望
写真:T-Roomメンバーでの写真/提供:西垣貴司さん
中学の外部コーチも6年間務めていて、将来的には卒業生が戻ってきて卓球を続けられる場所として活用してもらえたら理想です。
今は小規模でも、そうした縁をつなぎながら、楽しく競技を続けられるチームにしたいです。
人数を急激に増やすことには慎重ですが、カテゴリーごとの大会でできる限り上を目指したいと思っています。
夏場の農業が忙しく、大会への出場は限られますが、出られる機会には全力で取り組んでいます。自分の年代別挑戦も含めて、チームとしても個人としても、一歩ずつ積み重ねていけたらと思います。
写真:T-Roomメンバーでの写真/提供:西垣貴司さん
取材・文:山下大志(ラリーズ編集長)
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