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「諦めそうだった」金沢ポートお揃いの”漆黒”水筒は伝統工芸の技の結集

山中塗の技術でステンレスにも天然漆を

さて、その金沢ポートの水筒だ。

本来は金属素材には“食いつきがよくない”はずの天然漆を、株式会社ウチキの持つ技術で、美しいステンレスタンブラーに仕上げた山中塗の製品だ。


写真:金沢ポートの水筒/撮影:ラリーズ編集部

実は、田谷漆器店が金沢ポートへの協賛を決めたのは、震災で壊滅的な打撃を受けた後だった。


写真:田谷漆器店代表の田谷昂大さん/提供:田谷漆器店

田谷さん「地域づくりにはスポーツが必要」

“その土地にスポーツチームがないと地方に人が残らない”と田谷さんは言う。

「地元のスポーツチームがあると、人が応援したり、郷土に愛を持てます。みんな熱狂的に応援しますから。地方創生には、観光資源や住みやすい場所を作ることに加えて、スポーツチームの力が必要だと思います」


写真:金沢ポートのホームスタンド/撮影:ラリーズ編集部

石川の伝統工芸の象徴として、その技を駆使した水筒を制作した。11月以降すべてのホームマッチで、選手は試合中この水筒で水分補給することを金沢ポートは約束した。

“私自身は卓球をしてこなかった人生ですが”と笑った後で、田谷さんは言った。

「私たちは能登半島の復興に向けて、金沢ポートさんは優勝に向かって、お互い地域のために尽くしましょう」


写真:徳田幹太(金沢ポート)/撮影:ラリーズ編集部

漆器は育つ

石川県の伝統工芸の技と志で作った、美しい漆器の水筒。脆く見えて、丁寧に使えば長く使えてかつ育っていくという。

手を携えて被災を乗り越えようとするこの地域と、創設2年目の小さな地域密着チーム・金沢ポートの歩みそのものである。


写真:金沢ポートのホームアリーナ席/撮影:ラリーズ編集部

取材・文:槌谷昭人(ラリーズ メディア事業本部長 兼 金沢ポート取締役)

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