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卓球・日学連新会長はプロ経営者 菱洋エレクトロ社長 中村守孝氏インタビュー【前編】

卓球の試合やニュースを見ていると、RYOYOというロゴを目にする機会が増えたことに気づく。

菱洋エレクトロ株式会社。半導体をはじめとした製品を扱うエレクトロニクス商社である。
同じ業界の老舗大手であるリョーサンとの2024年4月1日の経営統合を発表し、経済界でも話題を呼んでいる。

その菱洋エレクトロを率いるのが全くの異業種から転身して同社の経営改革を実現し、最近“プロ経営者”として知られ始めている、中村守孝・代表取締役社長だ。

多忙を極めるその経営者が、日本学生卓球連盟の会長に就任したという情報を聞き、ご本人にインタビューを申し込んだ。

中村守孝(なかむら もりたか)氏・略歴

1959年生まれ、東京都出身。慶応大学卒業後、伊勢丹(現三越伊勢丹)に入社。2016年常務執行役員。2017年菱洋エレクトロに特別顧問として入社、2018年より代表取締役社長。2024年4月リョーサン菱洋ホールディングス代表取締役社長就任予定。

中村守孝氏(菱洋エレクトロ代表取締役社長)
写真:中村守孝氏(菱洋エレクトロ代表取締役社長)/撮影:伊藤圭

半導体商社が卓球を応援する理由

――菱洋エレクトロは、2019年3月からTリーグのオフィシャルスポンサーを務めていますね。どういった経緯なのでしょうか。
中村守孝社長:ご提案をいただいたのが2018年ですね。

私は2017年3月に、三越伊勢丹ホールディングスの常務を退任して、まったく異業種、半導体商社のこの会社に来ました。その後顧問として経営全般の改革のコンサルテーションに取り組むうちに外堀を埋められ、2018年に社長をやれということになってしまいました。

その後、Tリーグのオフィシャルスポンサーのお誘いを受けたのですが、当時、会社の業績は業界で最も悪く赤字寸前で、スポーツのスポンサーなんて考えられない状況でした。

――そうだったんですね。
中村守孝社長:従業員の待遇も悪かったので、そんなお金を出すくらいなら従業員に還元したほうが良いのではという迷いもありました。

ただ一応、社内で何人かの近いメンバーに意見を求めてみたら、“ぜひやりたい”という意見が出てきました。

――現場が賛成だったと。
中村守孝社長:ならば、うちの会社も上場企業としてまだ力は足りないけれど、少し先のビジョンを見せるために、良い社内外への発信媒体じゃないかと思ったんです。

会社の名前が外に出ていくことで、自分の会社にいくばくかでも誇りを持ってほしかった。それまではまったく皆無でしたから。

及川瑞基
写真:Tリーグ4thシーズンファイナルにも「RYOYO」の文字/撮影:ラリーズ編集部

――中村社長自身が卓球にとても詳しいとお聞きしましたが。
中村守孝社長:もちろん、ベースに自分が卓球好きだったというのはありますよ。野島さん(野島廣司氏:株式会社ノジマ代表執行役社長、Tリーグのタイトルパートナーを務める)や松下浩二さん(ノジマTリーグ初代チェアマン)とのご縁もあります。

長﨑美柚(木下グループ)
写真:長﨑美柚(木下グループ)のスポンサーも務める菱洋エレクトロ/提供:株式会社KSM

改革のシンボルとしての卓球応援

――その後、社内に何か変化はありました?
中村守孝社長:アンケートを取るわけでもないのでわかりませんが、こういうことは信じ続けて発信することが大事です。

私のひと声で、社報も作りました。もちろん卓球関連の記事も載ります。

朝出社すると、3ヶ月に1回社報がおいてあれば、どんな人でも見ますよ。その中にひとり自分が知っている人が載っていた、それで良いと思ってるんです。そういうことが全く無い会社だったので。私が前にいた会社、伊勢丹とは真逆の風土です。

菱洋エレクトロ社報
写真:菱洋エレクトロの社報には社内卓球部の紹介も/撮影:ラリーズ編集部

中村守孝社長:それまでの弊社は、広告宣伝費ゼロ、すべてにおいて内向き、目立つことを好まず悪とする、従業員の給料も増やさない、という会社でした。まさしく疲弊しきっていましたね。

それをこの6年間従業員と協働して変えてきたなかで、ひとつのシンボリックなものとして卓球への応援ということがあったのかもしれない。

――これから変えていくんだという宣言でもあったと。
中村守孝社長:結局5年くらいかかりましたが、その改革で利益も大きく増え、従業員のボーナスが3倍近くになり、株価も倍になりました。

中村守孝氏(菱洋エレクトロ代表取締役社長)
写真:中村守孝氏(菱洋エレクトロ代表取締役社長)/撮影:伊藤圭

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