
41歳プロ卓球選手・吉田海偉はなぜ現役を続けられるのか「プロは大変さを感じないとダメ」
普段言わないけど、奥さんには感謝している
俺も負けたくないよって。でも、相手も負けたくないから一緒じゃん。勝負の世界、勝つか負けるしかないじゃんって。
男はね、つらいときもありますよ(笑)。
“よく考えたら、すごいじゃん”って。
“1回負けた相手のことをトップ選手は絶対研究する、2回目負けたくないから。自分もそうだったし。自分より全然若いトップ選手に、2回目も2-3ってすごいよ”って。
嬉しかった。最初から言えよって思ったけどね(笑)。
でも、奥さんには感謝してる、普段奥さんの前では言わないけど。
感謝してるから、ヨーロッパで一人でもわがまま言わずに頑張れる。途中で帰りたいとか、絶対言わないようにしている。
日本食が食べたい、くらいかな(笑)。
写真:吉田海偉/撮影:ラリーズ編集部
試合に勝つことが一番のストレス発散
あんまり喋る相手もいないです。自分は夜早く寝るので、時差の関係で日本の家族ともあんまり電話できない。夜は寂しくなりますね。
ヨーロッパは移動も長いから、試合が始まると時間がなくて、全部移動です。ホーム会場も、住んでいるところから監督の車で2時間くらいかかる。
連チャンで試合して帰ってきて、2日後にまた10時間くらいかけて車で移動して試合、とか普通です。
でも、それが本当のプロリーグでしょう。
プロは大変さを感じなきゃダメ
確かに、日本のTリーグも毎日卓球でお金もらって、それもまあプロでしょう。
でも、本当のプロはね、いろんな大変さを感じなきゃダメなの。日本の移動は新幹線、飛行機でサッと行ける。美味しいもの食べられる。
俺41歳、ヨーロッパで、我慢、ストレス、我慢。美味しいもの全然食べられない。もうラーメンも飽きた。
でも自信持って言える。俺のほうがファンタジーがある。俺のほうがカッコいいって。
写真:熱いガッツポーズを見せる吉田海偉/撮影:ラリーズ編集部
プロの意味をわかってない
だからこそ、今の日本の卓球に不満もある。
お客さんに対してパフォーマンスもできない。試合終わって黙って帰る。だから人気が出ない。
サッカーがなんで人気なのかって、あのパフォーマンスがあるからでしょう。
Tリーグを観に来て、選手が黙ってプレーして黙って帰るなら、もう寝てるのと一緒。つまらない。
卓球をプロでやるっていう意味をわかってないよ。
Tリーグはプロチームの試合。オリンピック代表は選考会で選べばいい。一緒にしたらTリーグの魅力がなくなる。
チョコレートと酢、混ぜると酸っぱくない?別々に食べて、飲めばいいのに。混ぜるのは変でしょう?
諦めない41歳
ユニークな例えも交えながら、日本の卓球へ激を飛ばす吉田海偉。
「つい熱くなっちゃうんですよ、ポーランドで喋る機会少ないから」時折、照れる。
何ひとつ諦めていない男、吉田海偉、41歳。
写真:吉田海偉/撮影:ラリーズ編集部
取材・文:槌谷昭人(ラリーズ編集長)
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