福祉施設を拠点にしたまちづくり【連載|卓球でまちづくり#1】

はじめまして。

NPO法人日本卓球療法協会理事長の長渕晃二と申します。

私は長年、介護・福祉やまちづくりに携わってきましたが、そのいずれにも卓球が活きることはたくさんありました。

そこで本連載「卓球でまちづくり」では、わたしのこれまでの経験などを交えながら、卓球を通じた地域活性の可能性を全4回にわたって探っていきます。

第1回では、「福祉施設を拠点にしたまちづくり」というテーマでお話しさせていただきます。

>>シニア世代からの卓球入門 第1回:卓球のおもしろさと連載のねらい

 

とあるまちづくり実践から

卓球でまちづくり

「人が集まるなあ」とつくづく感じたのは、ピンポンデイハッピー渋谷(※)を開設してのことです。

ハッピー渋谷は、合同会社介護のハッピーの2号店。1号店のデイサービスハッピー鶴間で、2015年4月の卓球ショー実施を機に、ラリーや卓球バレーが盛んになり、いっそ卓球専門の施設を作ろうということに。

もともと「まちづくり」を意図して石井直樹社長が始めた会社で、「大和市街まちづくり賞」も受賞しています。

コンビニ空き店舗活用のハッピー渋谷は、介護施設にしては珍しく、外から「中で何をしているか」が見えるオープンな作り。地域の方がトイレやベンチを借りたり、子供が立ち寄りやすい雰囲気でもあります。

通所されているのは認知症の方が多く、主に「ラリー」「卓球ホッケー」「多球マシンでの的当て」をしています。

今まで、国内外からの見学やメディアの取材は多く、また社長自らもFMやまとの番組のパーソナリティをしています。卓球療法に関わる講習やイベントも多く実施しています。

これらをきっかけに、卓球ボランティアは毎日のように来ています。講習・イベント参加者や、麻雀、音楽ほかのボランティアも合わせると、今まで相当数の方が来所されています。

また、ボランティアを機に、あるいはボランティアの紹介で、職員になる方もいるため、求人広告は一度も出したことがありません。

以上は、福祉施設が拠点の「卓球でまちづくり」の例ですが、これを1つのヒントに卓球場や自治体でまちづくりをしていくことも考えられます。

 

ピンポンデイハッピー渋谷について

・神奈川県大和市福田588-1、小田急江ノ島線高座渋谷駅が最寄り
・2015年12月開所、地域密着型通所介護(小規模デイサービス)
・日曜を除く週6日、10:00-17:00営業
・1日あたり定員10名、週1回利用の人から複数日利用の人まで
・主に卓球療法を行う。麻雀や他のレクも行われる

 

筆者プロフィール:長渕晃二(ながぶちこうじ)

長渕晃二,卓球

NPO法人日本卓球療法協会理事長。NPO法人日本ピンポンパーキンソン理事。明治学院大学大学院修了(社会福祉学修士)。短大・専門学校での教員・卓球顧問や福祉施設での卓球経験あり。現在有料老人ホーム、デイサービス、介護予防サロン、メンタルクリニックで卓球療法を行う。著書は『コミュニティワーカー実践物語』(筒井書房)、『卓球療法士テキスト』『卓球療法入門』(サイドウェイズ)ほか。