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写真:早田ひな(提供:ITTF)

【卓球】パリ五輪の主役候補・早田ひな、選考レース独走の“日本のエース”にかかる3種目メダル獲得への期待

来年開催されるパリ2024年オリンピックで日本の活躍が期待されるのが卓球競技。前回の東京大会では男女合わせて3つのメダルを獲得しており、2012年のロンドン五輪で女子団体(石川佳純・福原愛・平野早矢香)が銀メダルして以来続く日本勢の連続メダル獲得には期待が膨らむ。そんななか、現時点でパリ五輪でのメダル獲得有力候補とされるのが、22歳の早田ひな。伊藤美誠、平野美宇と並ぶ「卓球黄金世代」の1人でもあるサウスポーが、“日本のエース”と呼べる存在に成長し、今まさに充実の時を迎えている。(文・井本佳孝)

東京五輪ではサポートメンバーに

早田ひな
写真:早田ひな(提供:ITTF)

2000年生まれの早田は福岡県北九州市出身。地元の名門・石田卓球クラブで才能を見出されると、中学生時代には2年連続シングルスで優勝を果たし、伊藤、平野らとともに10代からその名を轟かせた。さらに、高校でも1年次にインターハイを制し、南アフリカで開催された2016年の世界ジュニアでは女子団体優勝を果たす。さらに、2018年からはTリーグに参戦し日本生命レッドエルフのエースとして初代MVPに輝くなど、黄金世代に相応しい結果で実績を積んできた。

しかし、同世代でしのぎを削ってきた3人を比較すると、先に世界の舞台でスポットライトを浴びたのは伊藤であり、平野であった。現在のダブルスパートナーである伊藤は2016年のリオ五輪メンバーに名を連ねると、福原、石川と組んだ女子団体で銅メダルを獲得。一方の平野も2017年のアジア選手権では中国勢3人を倒して圧巻の21年ぶりアジア制覇。「ハリケーン・ヒラノ」と呼ばれる高速卓球でその名を轟かせると、東京五輪の団体メンバーに伊藤とともに選出され、石川と合わせた3人で銀メダル。早田はその2人を支えるサポートメンバーという位置付けだった。

写真:早田ひな、伊藤美誠(提供:ITTF)
写真:早田ひな、伊藤美誠(提供:ITTF)

それでも2020年の全日本選手権の女子シングルスで初優勝を果たすと、女子ダブルスでは伊藤と組んだ“みまひな”ペアで2018年から、混合ダブルスでも張本智和と組んだ“はりひな”ペアで頭角を表し、2023年の全日本では史上4人目となる三冠を獲得。2022年からは世界ランキングのシングルスでトップ10入りするなど、今や黄金世代の中心と呼べる存在に成長した。記憶に新しいのが5月に行われた世界卓球。張本との混合ダブルスで銀メダルを獲得すると、シングルスでは準々決勝で中国の王芸迪相手に9度のマッチポイントを防ぐという驚異の粘りをみせ劇的勝利。日本勢では2017年の平野以来となるシングルスでのメダル獲得の快挙を成し遂げた。

巧みな戦術を使い分け中国撃破

写真:早田ひな(提供:ITTF)
写真:早田ひな(提供:ITTF)

そんな早田の最大の武器は、166cmの長身とリーチの長さを活かして放つ豪打だ。中国人選手にも負けない攻撃力を誇るが、世界卓球での王芸迪との激闘では緩急をつけたドライブやクロスへのバックハンドを見せるなど、状況に応じた戦術を使い分け勝利を掴みとり、総合的に成長した姿を見せた。国内外での連戦や各大会でシングルス、ダブルスをこなす中でもパフォーマンスの安定感は日本勢で屈指。伊藤、平野という先に脚光を浴びた2人の黄金世代と比較しても、今最も充実期を迎えている女子選手といって差し支えはない。

写真:早田ひな(提供:ITTF)
写真:早田ひな(提供:ITTF)

それが示す通り、世界卓球終了後に発表された最新のパリ五輪選考ポイントでは2位の平野(247ポイント)、3位の伊藤(235.5ポイント)を引き離し、467.5ポイントで首位を独走している。3大会連続メダルを獲得してきた石川佳純は5月に引退したものの、世界卓球でメダルを獲得した18歳の木原美悠、20歳の長崎美柚の“Wみゆう”や張本智和の妹、張本美和という若手のホープもいる。群雄割拠の女子卓球界においても、早田の強さは際立っており、来年の全日本選手権まで続いていく選考レースにおいても、“日本のエース”となった22歳がけん引していくことになるだろう。

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