来月（7月）の「全農杯2022年全日本卓球選手権大会」を前に、前回、活躍が期待される小学生男子の情報を藤井寛子さんに聞いた。今回は女子編。藤井さんがナショナルチームで指導にあたっている有望な選手について深く解説。（取材・文/二株麻依）
《小学生女子》
■松島 美空 まつしま・みく 小3/京都/田阪卓研
提供：Rallys
藤井寛子（以下、藤井）：私が思うダントツの子がいて、松島輝空くんの妹、松島美空ちゃんです。美空ちゃんは、兄2人と、妹さんもいる4人兄妹です。私、ホープスナショナルチーム（小学生の全国トップレベルの選手が集まるチーム）のコーチもさせてもらっていて、美空ちゃんも練習を見ているのですが、3年生なのに6年生と一緒に練習しているんです。普通だったら同じ学年ぐらいの選手同士で練習するんですけど。他の選手も、コーチも、スタッフも認めているぐらい将来性が買われていますね。
松島家の4人兄妹みんな左利き。お母さんが左利きで、お母さんの血をそのまま受け継いでいるみたいです。美空ちゃんはシェイクハンド（握手をするように握るタイプのラケット）で、サービスが良いんですよね。少し、しゃがみ込むまで行かないですけど、巻き込む振りで回転の強いサービスを出します。そのサービスからのフォアハンドの攻撃が一番の強みです。そして、バックハンドもしっかり振れています。背の低い選手は、バックハンドを振る時、ラケットが顔の前に来るのでボールがまず見えにくいですし、弾んだボールが頭の上に来るので打ちづらくなります。でも美空ちゃんは、しっかり振って入る。弱点がないんです。
それから、素晴らしいのが気持ちの強さです。負けん気が強く、「絶対勝つ」という揺るがない精神力をまず持っています。それはどういうところから来るかというと、練習量。半端ないんですよ。すごく質の高い練習をたくさんしています。小さいときからお父さんお母さんが教えていらっしゃるんですが、特にお兄ちゃんがすごく成功しているので、近くで見ながら目標にしたり、こうやったら強くなっていくというのを学んだりしているのではないかと。
ご両親は、卓球中心の生活でも、しっかりとオンとオフを入れていると私は思います。練習や試合の時はすごく厳しくても、家ではしっかりと甘えさせてあげるというイメージ。コーチの部分と親の部分で、しっかりと分けていらっしゃるから信頼関係も築けて、うまくいっているのかなと思います。
■祢弥 楓 ねや・かえで 小3/岡山/ねや卓球クラブ
提供：Rallys
藤井：美空ちゃんと同じ学年の、祢屋楓ちゃん。右利きのシェイクハンドです。この子もすごく良い卓球をします。リズム感が良く、ちゃんとボールに合わせられるんです。子供のボールはすごく高くなったり、ゆっくりになったり、速くなったり。いろんなボールが出てくるんですが、それにしっかり対応できます。リズム感も、ボールタッチもすごく良いので、この子はまた上がってくるだろうなと思います。センス的にはすごく良いものを持っているなと思いますね。
■吉岡 咲 よしおか・さき 小5/千葉/マイダス
提供：Rallys
藤井：小学5,6年生で将来有望だと思うのは吉岡咲ちゃんです。ここ最近すごく伸びてきていて、以前は、サービスからの、少し山なりの回転量の多いドライブが持ち味だったんですが、最近は、スマッシュとドライブの緩急をしっかり使い分けられるのと、このあとご紹介する石田さんと試合をしたときも、台の近くで、パパパパンってピッチの早い打ち負けないラリーで持ち味を発揮していて、良い卓球になってきているなと思っていました。
■石田 心美 いしだ・ここみ 小5/福岡/石田卓球Ｎ⁺
提供：Rallys
藤井：福岡の早田ひなちゃんを輩出したチームなんですが、石田さんはそこの代表のお孫さんです。1,2年生の部で優勝して、3,4年生の部が2位だったかな。吉岡さんと同級生で、去年決勝で戦っています。石田さんの魅力は基礎力が高いこと。体幹がなかなか崩れないですし。基礎練習をしっかりやっているそうなので、体がブレず、いろんなボールをしっかりと打ち返すことができます。両ハンド（フォア・バック）の安定した打ち合い、それからドライブを強く打てるところも彼女の魅力だと思いますね。（続く）
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■プロフィール
藤井寛子（ふじい・ひろこ）
1982年生まれ。奈良県出身。両親が主宰する卓球クラブで卓球を始める。四天王寺高等学校、淑徳大学を卒業後、日本生命保険相互会社に入社。全日本選手権女子ダブルスで5回の優勝、シングルスでは3回の準優勝の経験がある。現在はＹＯＹＯ ＴＡＫＫＹＵ西日暮里店のコーチとして活躍。オリンピックなどのテレビ中継で、解説者を務める。
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