プレーだけでなく礼儀も。卓球教室に通うと身につくスキルとは
これまで多くの卓球の魅力について語ってくれた藤井寛子さん。元全日本ダブルスチャンピオンの経歴もある選手時代の経験や気づきをもとに、現在は、老若男女さまざまな「教え子」に対して、卓球の技術だけにとどまらないある大事なことを教えていると話す。(取材・文/二株麻依)
相手がいて成立する競技だからこそ
――藤井さんが子どもたちに教えている一番大事なことは何ですか。
藤井寛子(以下、藤井):礼儀・作法です。うちの卓球教室の他にも、ホープスのナショナルチーム(国内トップクラスの小学生が揃ったチーム)の指導もしているのですが、チームで合宿に行くと、まずはしっかり「挨拶をすること」を教えます。卓球は相手がいるから成り立つ競技。子どもたちを指導するにあたって強く言います。それは、上手い選手も初心者も同じです。
――確かに、相手に不快な思いをさせては練習もできないですよね。
藤井:そう、小さなことからなんですよね。例えば、整理整頓をする大切さも、すごく言います。脱いだ靴は揃えられているか、荷物は散乱していないかなど。子どもたちが成長していくにあたって、周りを見て行動できるかどうかというのは、とても大きくて。自分の好きなようにただ楽しく卓球している子だと、のちに苦労すると思いますが、ちゃんと周りが見えている子は、人に迷惑を掛けないのはもちろんのこと、他の人のことまで考えられるようになります。「困っている人がいたら助けよう」とか、「みんながうまく練習するためにこれやってみよう」とか。そうすると、周りの人が助けてくれたり、応援してくれたりします。大人になっても、周囲の人と良い関係を築きながらやりやいことを上手くやっていくと思います。そうした人間性の部分も、卓球の練習をきっかけに深めてもらえたらと思います。
感謝の気持ちを忘れない
――やはり習わせている親御さんの存在も大きいですよね。
藤井:はい。卓球ができる環境を作ってくれている親御さんたちに感謝することも大事。親御さんたちはお金を払って習いに通わせてくれているので、そういうことも分かってほしくて、子どもたちに言います。「タダで来ているわけじゃない」って。私たちもタダで指導しているわけではないですし。ここに来させてくれている親に感謝してほしいですね。言っても分かる子はなかなかいませんが。ですが、何年後かに自分が働くようになって、「お金をもらうにはこんなに大変なことをするんだ」と思うようになる。そこでやっとありがたみを知ると思うのですが、そうした大事なことも、子どものうちから卓球を通して学んでもらえたら嬉しいです。
Follow @ssn_supersports