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藤井寛子,卓球

【卓球】エース「カトミユ」君臨のアスティーダ 今季V目指せるか

卓球国内トップリーグの「Tリーグ」。昨シーズンから参戦した女子の球団「九州アスティーダ」は、初のシーズンで日本生命レッドエルフ、日本ペイントマレッツに次いで3位となった。今季は加藤美優をエースとして迎え、出澤杏佳、野村萌らと優勝を目指す。元日本代表キャプテンの藤井寛子さんに、最新のチーム状況や選手の情報を聞く。(取材・文/二株麻依)

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写真左:藤井寛子、写真右:二株麻依(取材者)

「日本ペイントマレッツ」との間で主力選手が移籍 今季の編成は

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九州アスティーダ

ーー今シーズンの九州アスティーダはどんなチームでしょうか?

藤井寛子(以下、藤井):世界で活躍してきた佐藤瞳選手と橋本帆乃香選手が日本ペイントマレッツに移籍してしまい痛手であったと思いますが、今度は逆に日本ペイントマレッツから加藤美優選手がエースとして加入し、チーム編成が大きく変化しました。今季は、加藤選手と、出澤杏佳選手がチームを引っ張っていくんだろうなと予想していましたが、さらに野村萌選手の戦いぶりも良く、期待できそうです。

ーーまず、エースの「カトミユ」こと加藤美優選手ですが、どんな卓球を期待されているのでしょうか。

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加藤美優

藤井:加藤選手は、シングルスに起用されるぐらい信頼されている選手です。日本ペイントマレッツでもエース的な役割を担っていました。彼女の大きな特徴は、しゃがみこみサービス(しゃがみこみながら回転をかけるサービス)と、バックハンドから繰り出す逆チキータ(ボールを横向きにこすり回転をかけて返球する打法)です。加藤美優選手の「美優」を取って、「ミユータ」と自分で名付け、日本で一番初めに使い始めました。他の選手も逆チキータを真似するようになりましたが、「ミユータ」は、上回転も強くかかっていて、相手のフォアサイドの厳しいコースを突き、相手を大きく動かしミスを誘います。持ち前の手首の柔らかさと強さで、「ミユータ」からのカウンター(相手の攻撃技術に対して、同じように強く攻撃し返す)という流れで得点していきます。バックの感覚がとても優れていて、緩急や威力を出すことに長けていることも強みだと思います。

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ーー出澤杏佳選手はどうでしょうか。

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出澤杏佳

藤井:出澤選手も注目選手ですね。
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九州アスティーダでは主にダブルスで起用され、勝ち星をあげています。チーム戦で勝つために重要なのはダブルスです。Tリーグの試合順番は五輪と同じで、ダブルスから始まります。去年の東京五輪では、馬場美香監督がダブルスを重要視していましたが、1番で勝つとチームにいい流れをもたらしてくれるからなんです。チームの勝敗を大きく分ける一戦になると思いますので、九州アスティーダにとって出澤選手はキーパーソンだと思います。

異質ラバーで頭角現す 野村萌

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野村萌

ーー野村選手の戦いぶりが良いということですが、具体的にどのように見られていますか。

藤井:サービスはもちろんですが、バックに貼った表ソフトラバー(表面が粒立ったラバー。相手のボールの回転量を抑えて返球できる)で回転の変化をつけつつ、振り切って得点するスタイルが彼女の一番の持ち味です。普通はバックはあまり大きく振らず、ブロック(相手の威力を利用し、ラケットの角度を合わせて返球する打法)か、打球時にボールを押していくような形で振りますが、フォアハンド程の威力をバックハンドでも発揮し、その後もフォアで打ち抜く戦術を持っています。海外選手にも勝っていて、実力をつけてきていると改めて思いました。これまで見たことがない卓球を見せてくれますし、卓球の可能性を引き出してくれているので、これからたくさん試合を見ていきたいです。


(次のページ「“地元の星”は牛嶋星羅」へ続く)

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