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世界での活躍を期待 高校生男子を解説

来週、7月30日から開かれる「第 91 回全国高等学校卓球選手権大会」を前に、元全日本ダブルスチャンピオンで卓球教室のコーチを務める藤井寛子さんに、これから日本の卓球界を大きくリードする存在になるであろう有望な選手について聞く。(取材・文/二株麻依)

《高校生男子》

■吉山僚一 よしやま・りょういち 高3/愛知工業大学名電高校(愛知)・岡山リベッツ

吉山僚一,藤井寛子
提供:Rallys
藤井寛子(以下、藤井):男子の高校生は、”名電”がやっぱり強い。ナショナルチームの候補選手が2人います。そのうち吉山くんは、全日本選手権のジュニアの部(高校2年生以下)で優勝経験があります。バックハンドの威力がとてもすごくて、男子はみんな、ほとんどがチキータ(台の上でボールに回転をかけながらバックハンドを振る、攻撃的な打法)が必須で、みんな同じぐらい上手なんですけど、吉山くんはバック系の技術にとても長けていて。以前は男子選手だと少し台から離れて回転をかけ合う戦い方が多かったんですが、吉山くんの場合は、結構前陣で戦えるんです。体が大きい選手なのですが、小柄な選手と同様に前で戦えるのが彼の持ち味かなと思いますね。フォアハンドも回転の強いドライブがしっかりしています。全体的な安定感がありつつバックの威力もあるというところが強いポイントなのかなと思いますね。サービスも、ヤングジェネレーションサーブ(通称「YGサーブ」。フォアサーブの構えから、手首を一旦内側に思い切り曲げて、そこから元に戻す動きを利用して回転をかけるサービス)がすごく上手くて。相手のボールが甘く返ってきたところを見逃さず打てるんです。まだ高校生ですが、少しずつ世界に出ていくともっと上手くなっていきそうだなと思います。

■鈴木颯 すずき・はやて 高3/愛知工業大学名電高校(愛知)・木下マイスター東京

鈴木颯,藤井寛子
提供:Rallys
藤井:鈴木くんもナショナルチームの候補選手です。打点がめちゃくちゃ早いのが特長。小学生のときから全日本選手権のカブ(3、4年生の部)、ホープス(5、6年生の部)で優勝するなど、小さいころから有望視されていました。先にご紹介した吉山くんはバックハンドが印象的なのに対し、鈴木くんはフォアハンド。打点が早く攻撃力もあります。あと一番怖いのが、サービスがとても分かりづらいので、サービスからのフォアハンドでの攻撃(3球目攻撃)が彼の一番の持ち味なのかなと思います。3球目でガッと攻めて、良いラリー戦に持ち込むイメージですね。

人気強豪校の変遷

藤井寛子,卓球

ーー男子は”名電”が今人気なのですかね。

藤井:はい、強いですもんね。強い選手がいるとみんなそこに集まる傾向があります。強豪校の監督が動けば選手たちも動くし。ここ10年ぐらいで男子は変わりましたね。今は”名電”がダントツで、 次いで野田学園、明徳義塾。それから実践学園、安田学園も強くなってきていると思います。(続く)

【卓球インターハイ 歴代優勝校一覧】

平成 1年度 埼工大深谷高
平成 2年度 埼工大深谷高
平成 3年度 愛工大名電高
平成 4年度 愛工大名電高
平成 5年度 埼工大深谷高
平成 6年度 上宮高
平成 7年度 愛工大名電高
平成 8年度 東山高 
平成 9年度 青森山田高
平成10年度 青森山田高
平成11年度 青森山田高
平成12年度 青森山田高
平成13年度 青森山田高
平成14年度 青森山田高
平成15年度 仙台育英学園高
平成16年度 仙台育英学園高
平成17年度 青森山田高
平成18年度 青森山田高
平成19年度 青森山田高
平成20年度 青森山田高
平成21年度 青森山田高
平成22年度 青森山田高
平成23年度 青森山田高
平成24年度 青森山田高
平成25年度 希望が丘高
平成26年度 青森山田高
平成27年度 青森山田高(強化終了)
平成28年度 愛工大名電高
平成29年度 愛工大名電高
平成30年度 愛工大名電高
令和 1年度 愛工大名電高
令和 2年度 新型コロナウイルスにより中止
令和 3年度 愛工大名電高

>>特集連載:元卓球日本代表 藤井寛子「今、卓球が熱い理由」

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