
世界を目指す卓球選手はナショナルチーム・エリアカへ
これまでの連載では、将来活躍が期待される小中学生の情報を、元全日本ダブルスチャンピオンで卓球教室のコーチを務める藤井寛子さんに伺ってきた。今回は、そうした日本トップクラスの小中学生が目指すところはどこなのかを、詳しく解説していただいた。(取材・文/二株麻依)
小学生はホープスナショナルチームへ
写真:ホープスナショナルチーム U-10の松島美空/提供:Rallys
――これまでのお話で、国内トップクラスの小中学生はナショナルチームやエリートアカデミーに入るみたいですが、選手はみんなここを目指すのでしょうか。
藤井:そうです。所属できるのは国内トップクラスの選手のうち、ひと握りなのですが、みんな目指しています。まず、日本卓球協会が作った小学生から入れるナショナルチームがあります。幼い頃から意識を高く持った選手を強化していこうと、全国の強い選手を集めて合宿をしたり、海外遠征に行ったりします。年度が変わるときに新しいメンバーが発表されるので、毎年入れるとは限らなくて、選考会や全国大会での入賞経験などをもとに決められます。小学生だと「ホープスナショナルチーム」に入ることになります。
――選考会はどんなことをするのですか。
藤井:ライバルたちとの試合と、学力試験、体力測定もあります。卓球が強いことだけが評価されるのではなく、学力と体力も選考の要素です。試合が少し良くない結果でも、ほかが良くてメンバーに入れたという子もいますね。総合力なので。
――「ホープス」ということは、5、6年生対象ですか。
藤井:いいえ、1年生から6年生までの全学年が対象です。2学年ごとの区切りで選ばれていて、今年度だと男女それぞれ18人います。
――小学生でも国際大会は結構あるのでしょうか。
藤井:今コロナ禍でずっとやっていませんが、「ジュニアサーキット」という、他国の選手と対戦できる国際大会があって、そこにホープスナショナルチームの一員として出ることはあります。
中学生はJOCエリートアカデミーへ
――中学生以上はどんな進路があるのでしょうか。
藤井:中学生・高校生になると、ナショナルチームと兼ねることができる「JOCエリートアカデミー」(通称「エリアカ」)を目指します。これは、JOC(日本オリンピック委員会)の機関で、全国から来たいろんな競技の選手たちが、赤羽の近くにあるナショナルトレーニングセンターで寮生活をしながら練習をしています。学校も近くの中学・高校に通うようにして。エリアカには、卓球のほかにも、レスリングやアーチェリー、飛び込みなど他の競技の選手もいて、オリンピック選手を育てるための機関なので、海外遠征費や生活費も国から出るんですよ。
――卓球だけで、何人ぐらいいるのでしょうか。
藤井:今すごく少ないです。2学年に1人、入るか入らないかぐらいなので。本当に有望視された子だけが入るんですけど、今年は、去年小学生の大会で優勝した川上流星くんと香取悠珠子さんが入りました。
――エリアカの選手が日本代表に選ばれて世界大会に出るのでしょうか。
藤井:中学生から世界大会があるのですが、エリアカの選手が必ずしも出られるとは限らなくて、選考会や、強化本部の推薦などで決まれば出られます。ですが、エリアカはだいたいメンバーに選ばれるぐらいの実力を持っている選手たちが集まっています。(続く)
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