卓球の特異性と魅力とは?|頭で勝つ!卓球戦術

卓球技術・コツ 卓球の特異性と魅力とは?|頭で勝つ!卓球戦術

2022.09.16
この記事を書いた人 若槻軸足初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏
@jikuasi_takkyuu 卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」。今回は「誰でも長く楽しめる卓球競技の特異性とその魅力」というテーマで、コラム的なお話をしたいと思う。これから子供に何かスポーツをさせたいという方、あるいは卓球を既にやっていている方の、今後の競技への向き合い方について参考になればと思う。

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身体能力が低くても活躍できる

卓球は非常に特殊なスポーツである。わずか152cmの台に向かい合い、たった2.7gのボールを打ち合う競技で、テニスやバレーと同じネットスポーツに分類される。

他の球技がパワーやスピード、運動神経といった身体能力に大きく左右される一方、卓球はその限りではない。もちろん、身体能力も要素の一つではあるが、繊細な手先の感覚や、相手の弱点を見つけたり次に来るボールを予測したりする頭の良さ、さらには精神力や集中力といった複雑な要素が絡まり合って、勝敗が決まるスポーツなのだ。

日本国内のプロとして活躍するTリーグに、今シーズンから新加入する京都カグヤライズと契約した松島美空選手は、なんとわずか9歳である。小学4年生、身長135cmのプロスポーツ選手が誕生するなどと、これまで聞いたことがあっただろうか。

そんなことが起こるくらい卓球という競技は奥深く、身体能力だけに左右されない競技であることの裏付けと言えるだろう。

もちろん、卓球に運動神経が必要ない、というつもりはない。ただ他の競技と比べて、身体能力の重要度が占める割合が低いということである。

例えば、水谷隼氏などは相当に身体能力が高い。ご存知の通りコートの中陣から後陣まで、文字通り縦横無尽に動き回ることのできる脚力を持っている。いくつかのインタビューで本人が語っている通り、野球でもサッカーでもこなせるスポーツ万能少年であったという。

だが逆に、丹羽選手や張本選手などは身体能力は高くないが、台に近い位置での俊敏性を活かしたプレーで世界のトップで活躍しているわけだ。

運動が出来る選手はその能力を活かせるが、そうでない選手でも卓球では十分に活躍できるということである。スポーツでは基本的には身体能力が高く、身長が高くリーチのある選手が有利とされることが多いが、卓球はその限りではない。そのことが何よりも卓球というスポーツの最大限の魅力だと私は考えている。

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           ## 様々な種類の大会がある

やはりスポーツの醍醐味と言えば、大会に出て相手に勝利して成績を収めることだ。

卓球はその大会の種類がとても多い。高校日本一を決めるインターハイや、大学日本一を決めるインカレはもちろんだが、定時制高校や高専のみの全国大会、それ以外にも教職員の全国大会、郵便局員の全国大会、さらには医師の全国大会など、様々なくくりの全国大会が存在する。

また、県大会の中でも企業勤めの人だけを対象とした大会もあったりと、とても幅広い。社会人になってからも仕事をしながら卓球を続けて頂点を目指す、という環境が非常に整っているのだ。

さらには実力に応じた楽しみ方ができる大会も数多く存在する。選手の強さを数値化した「レイティング」大会や、戦績の近い者同士でその場で組み合わせが決まる「P4match」などが代表的だ。各地の卓球場が主催する規模の小さい大会もあるし、探せばいくらでも見つかるはずだ。

「試合で勝つ」ことを目指せる場が非常に多いことは、プレイヤーにとって嬉しい限りだ。ぜひ自分の実力や気持ちに合って楽しめる大会に出会い、目標を設定して頂ければと思う。

競技人生を長く戦うことができる

卓球は生涯スポーツと言われている。言い換えれば「死ぬまでできる」ということだ。私も死ぬまで続けようと思っている。たとえ趣味のレベルであっても、サッカーを70代までできるだろうか。答えは言わずもがなである。しかしこと卓球においてはそんな心配は無用である。

毎年1月に開催されNHKで生放送が行われる、全日本選手権が全ての卓球選手の最高峰の舞台である。しかし実はそこには「マスターズの部」という年齢別の部門も存在していることをご存知だろうか。「30代」「40代」「50代」「60代」そして「65歳以上」「70歳以上」と5歳区切りになり、「85歳以上」の部まであるのだ。

中学高校、ひいては大学で必死に卓球に向き合って情熱を注ぎ込んだけれども、成績を残せずにラケットを置いてしまった方も多いだろう。しかし卓球はこのように、年齢別の全国大会があることによって、どの世代にも平等に、日本一の頂きを目指すチャンスがあるのだ。むしろ長く続けていけばいくほど、ライバルは少なくなっていくと言えるだろう。

私のチームの監督も、「卓球が本当に楽しくなるのは30代からだ」とよく言っていた。ぜひとも無理なく長く競技を続けられるよう、自身の健康やライフスタイルと向き合っていただければと思う。

NEW COLOR DEBUT PANDANI×Rallys 極上質感の高機能ユニフォーム 選べるカラー登場全日本ランカーがREDMONKEYを使うワケ インタビュー吉田海斗 専修大卒## 実績のある選手が増えて発信者の権威性が高まる

このように様々な種類の大会があることにより、その大会の数だけ成績を収める選手が登場する。その結果、「実績を持つ者」がたくさん生まれるわけだ。近年はYouTube等で発信する方も多いので、その際の権威性が高まることにもつながるだろう。

たとえば私などはインターハイへの出場も叶わなかったが、マスターズで30代の部に出場できたので、かろうじて「個人戦で全国大会出場経験のある選手」ということを謳えるようになったわけである。

あるいはYouTubeチャンネルや講習会などの活動をされている「OKPさん」などは、全日本マスターズで30代の部と40代の部で優勝の実績を持つ。自身のメソッドに基づいた技術指導や身体の使い方等についても発信されているが、「年代別全国大会で2階級制覇した方」が言っているということで非常に強い説得力があるわけである。

先日行われた全国教職員大会で準優勝された亀井健太郎選手もその一人だ。彼は中学校から卓球を初めたが、なかなか芽が出ず県大会でベスト32止まり、高校のスポーツテストではなんと3年連続学年最下位だったそうだ。そんな選手であってもめげずに努力を積み重ね、全国大会で2位にまで上り詰めたのだ。今後自身のYouTube活動等でもその実績を活かして活躍されることだろう。

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