サービスの質を高める2つのメリット|頭で勝つ!卓球戦術
サービスの質を高めることのメリット②:経験則が溜まり予測が立てやすくなる
今回の記事で最も伝えたいことが、経験則が溜まるということである。
我々が知覚しうる限り、この世界の「回転」という概念の範囲は360度しかなく、ボールの回転も当然その範囲を超えない。そのため、「この回転のサービスをこのコースに出したら、大抵はこういうレシーブが返ってくる」というセオリーがある程度決まってくるはずである。
(ただし回転の性質や適切なラケット角度、セオリーといった知識を習得していないレベルはその限りではない。)
例えば、「バックに逆横回転を出すとほとんどはバックサイドに返球されるな」とか「バック前に下回転のショートサービスを出したら7割くらいはバックにツッツキで3割はフォア前にストップだな」とか「バックのサイドを割るコースに順横のロングサービスを出したらほぼバックに返ってくるな」などである。
このように、自分の中でのある程度の正解があると3球目攻撃を待ちやすくなるため、非常に優位に試合を展開できる。
だがこれが、例えばショートサービスが3回に1回は台から出てしまうのなら、当然ドライブをかけられる可能性が出てきてしまう。ロングサービスなら、バックのコーナー付近にサーブを出してしまうと、フォアストレートに返球される可能性が高まってしまう。また、精神的に弱気な場面で、安定重視で入れにいこうとして球足が遅くなってしまえば、狙い打たれることもあるだろう。
こうなると、自分の経験則の域を超えてしまうわけである。
ある程度自分が思い描いたプレーをしたいと思うのならば、ひとつひとつの技術の質を高めることが不可欠である。そしてそれら技術の中で最もシンプルで最も重要なものが、サービスなのである。
逆に経験則が溜まっていないサービスの危険性も併せてお伝えしておきたい。
例えば、新しく習得した必殺サービスを重要な場面で使いたい気持ちはわかる。だが、「得点になるかもしれないけれど、返球されたときはどんなボールが来るか分からない」という状態は非常に危ない。
そうなると、ただサービスを「出しただけ」で、3球目への準備が全くできていないということになる。それこそ「レシーブされたら知りませんよ」という状態だ。これではギャンブルと言わざるをえない。
そのため、新しいサービスも試合の序盤や練習試合等、安全な場面で相手のレシーブを見て、経験値を貯めていくことが大切である。
今回はサービスの「質」に関する考え方についてお伝えしてみた。
理想を言えば、あらゆる種類の回転で、様々なモーションを駆使しながら、低く、短く(あるいは深く)スピードのあるサービスを、どんな場面でも繰り出せるのがベストである。サービスに限らずとも、ドライブ、スマッシュ、カット、ロビング、チキータ、カットブロックなど、様々な技術が使えれば当然強い。
だが、私を始めとする多くの読者の方は、限られた時間や環境の中で、取捨選択をしながら勝利に向かって努力を重ねていることと思われる。であれば、優先すべきは何かということを今一度考える必要があるだろう。
自分にとって勝利を掴むために取るべきものと捨てるべきものを考えて、しっかりと取り組んで頂ければと思う。
若槻軸足インタビュー記事
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