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「トップ選手を教える指導者が少ない」「Tリーグの発展は急務」前日本代表監督・倉嶋洋介が抱く日本卓球界の課題

卓球インタビュー 「トップ選手を教える指導者が少ない」「Tリーグの発展は急務」前日本代表監督・倉嶋洋介が抱く日本卓球界の課題

2022.05.28
この記事を書いた人 槌谷昭人1979年生まれ。テレビ/映画業界を離れ2020年からRallys編集長。
軽い小咄から深堀りインタビューまで、劇場体験のようなコンテンツを。
戦型:右シェーク裏裏 @tsuchito 今後の日本卓球界を民間から支える、前卓球男子日本代表監督・倉嶋洋介氏(木下グループ卓球部総監督)に、卓球界への提言を聞いた。
昨季、代表監督からTリーグチームの監督に就任してからの気づきや、日本の卓球指導者の育成制度の必要性など、話は多岐に渡った。

このページの目次

  • [10 取材を終えて]()

強化には本質とタイミングが大切

——今季、日本男子トップ層選手の多くが、ヨーロッパ各国のリーグに参戦することを表明していますね。 倉嶋洋介総監督:これは僕個人の意見ですが、“ヨーロッパ修行で得たいものは何か、今自分に必要なこと、足りないことは何か”を明確に考え、納得し、選手自身が選択することが大切だと思います。 日本は“強くなりたかったらヨーロッパに行け”と簡単に言う人がいます。強くなるため、人間的に成長するため、生活のため、理由は様々だと思いますが、本質を見抜き、タイミングを間違えないよう、順調に成長できる道を選択してほしいと思っています。

トップ選手でいられること、選手として期待されている期間は思っている以上に短いものです。

——かつて水谷隼らドイツ卓球修行組が、日本に現代卓球をもたらした伝統がありますよね。 マリオ・アミズィッチ氏
写真:マリオ・アミズィッチ氏とドイツ卓球留学前後の水谷隼岸川聖也/提供:アフロ倉嶋洋介総監督:水谷や岸川(聖也)が若い頃にドイツに行って良かったのは、当時のティモ・ボルやオフチャロフと毎日練習できて、マリオ・アミズィッチというコーチが管理し、指導してくれました。森薗(政崇)や及川(瑞基)といった選手も、邱(建新)さんが面倒見て、きちんと指導してくれたからこそ強くなれた。 もちろん、厳しい環境に身を置き、一人で様々な経験をして人間的な器を大きくすることで、卓球の器も大きくすることも海外修行の魅力の一つです。

選手にも相談されますが、“自分が一番何を優先したいかをよく考えて”と、答えています。

ただ、いつも思うことは、日本にトップ選手を指導できるコーチが少ないことも原因だと思っています。この点はのちほど。

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           ## 必ず五輪代表争いは接戦になる

——はい。 でも考えてみれば、パリ五輪まであと2年とちょっとしかないんですよね。五輪代表選考レースも始まりました。

倉嶋洋介総監督:五輪代表争いはこれまで、残りの1枠を争って接戦になってきました。東京五輪での丹羽と水谷、石川と平野、リオ五輪での吉村と大島など。 パリ五輪に出場するためには、今からしっかりとした計画を立てなければいけない。悔やんでも悔やみきれないことにならないように。

——何が大事ですか。 倉嶋洋介総監督:私はずっと計画を大切にしています。水谷隼や張本智和、その他の選手についても、自分が監督任期の期間でどのように五輪を目指していくか、どのように世界ランキングを上げていくかなど、常にある程度の計画を立てて、目標に向かって進んでいました。

パリまでの短いこの期間を、どのようにプランニングするかですね。

Tリーグでの代表選考ポイント加算

——Tリーグにも、パリ五輪代表選考ポイントが加算されます。代表監督もTリーグ監督も知る倉嶋監督は、どうお考えでしょうか。 倉嶋洋介総監督:議論が必要だと思いますね。 僕個人としては、Tリーグへの代表選考ポイント加算は、なくて良いと思っています。

基準を満たした選手が出られる国内選考会で代表権を争うのは賛成ですが、Tリーグにポイントがつくことは、Tリーグに参戦してない選手はそのポイントを得ることができないので、単純に全ての選手に公平でないと感じます。

男子は4チームしかなく、出場機会に恵まれない選手も出てくるでしょう。

——力のある男子選手が、なかなか出場できない場面もよく見てきました。 倉嶋洋介総監督:現場を預かるチームの監督としては、特に強い選手が揃っているチームの場合、出場機会についても、オーダーについても、選手に対して監督は苦しい判断が必要となります。 優勝を目指し一致団結しなければいけないのに、出場をめぐりチームの雰囲気が悪くなったり、不平不満が出てきてしまうことも考えられます。

Tリーグにポイントを付けて活性化を狙うこと自体は良いことだと思います。

ただ、いざ Tリーグのチームに入って感じることは、リーグを盛り上げ、活性化させていくためには、もっと別の施策が必要だと感じています。

写真:倉嶋洋介監督(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部
写真:倉嶋洋介監督(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部——選手起用が難しくなる点は、多くの監督経験者が懸念していますね。 倉嶋洋介総監督:Tリーグで勝つためのオーダーでなく、五輪選考ポイントを取るためにどうすれば良いか、が先行してしまうのではないかと恐れています。 それだけ五輪選考ポイントというのは、五輪が近づくにつれて重くなるものですから。

チームとしては、五輪争いに挑む各選手をサポートするべきであって、選手同士の争いに対処することは望んでいないのです。

Rallys×パンダーニ コラボユニフォーム登場 オンライン限定販売ハイテンション裏ソフトラバー REDMONKEY ぼくらが欲しいラバーを作りました。Rallys編集部TAKUMANA もっと気持ちよく練習しよう。 NEW Original Tee ¥2,990## 海外選手が来ると面白い

——興行としては、海外選手がTリーグに来ない一因になると嫌だなと思ってます。 倉嶋洋介総監督:ポイントが重視されると、オーダーが日本選手中心になる面はあるかもしれませんね。 でも、海外選手が来ると面白いですよね、集客のことを考えても。

林昀儒(岡山リベッツ)
写真:Tリーグ1stシーズンに岡山リベッツから参戦した林昀儒/提供:©T.LEAGUE2018-2019シーズン——コロナ前のように、また見たいです。今季はロシアリーグが無いわけですから。集客の状況も一気に変わる気がするんです。 倉嶋洋介総監督:木下マイスター東京、木下アビエル神奈川でも、今シーズンは海外選手が参戦できるように取り組んでいます、楽しみにしていてください。 ドミトリ・オフチャロフ
写真:ドミトリ・オフチャロフ/提供:ittfworld——とっても期待しています(笑)。他に、昨シーズンを踏まえてのTリーグへの提言はありますか。 倉嶋洋介総監督:プレーオフファイナルについて、レギュラーシーズン1位と2位にはなんらかの条件差があるべきだとは思いました。 外にいた僕が、Tリーグの中に入って感じたのは、レギュラーシーズン21試合っていうのは、とても過酷で重いものだということです。それが勝ち点独走で1位だろうが2位だろうが、同条件で一発勝負っていうのは腑に落ちません。

そもそも、1位チームにプレッシャーがかかり、2位チームのほうが思い切って戦う心理になれるものです。

——確かに。他競技でも、レギュラーシーズン1位にアドバンテージが与えられていることが多いですね。 及川瑞基
写真:Tリーグ4thシーズンファイナルでの試合の様子/撮影:ラリーズ編集部## 将来的に試合日程は揃えるべき

倉嶋洋介総監督:あと、Tリーグの認知を広げ、盛り上げていくために、試合日程をなるべく揃えていきたいですよね。 例えば昨季、僕らが10試合消化した時点で、まだ6試合しか終わってないチームもあった。
今は、各チームがフリーハンドで会場やだいたいの日程を決めているから、将来的には揃えたほうがいい。

Jリーグの第何節みたいに、第一節はこの土日、第二節は次の水木、と各試合がその2日間で終われば、例えばテレビの夜のスポーツニュースでも“今日のTリーグ”などの露出が作りやすいでしょう。こういった地道な露出が大切だと思います。

“あ、やってるんだ、うちの近くじゃん”とか、知ってもらうところから始めたい。

写真:イオンモールでのTリーグ/提供:岡山リベッツ/T.LEAGUE/アフロ
写真:イオンモールでのTリーグ開催の様子/提供:岡山リベッツ/T.LEAGUE/アフロ

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