
「卓球を辞めたいと思った」愛工大名電高の“天才左腕”篠塚大登が苦しみから立ち直れたワケ
卓球×インタビュー 「卓球を辞めたいと思った」愛工大名電高の“天才左腕”篠塚大登が苦しみから立ち直れたワケ
2022.01.02 取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)
インターハイ学校対抗5連覇と、高校男子卓球界の“絶対王者”愛工大名電高卓球部。その主将を務めたのが篠塚大登だ。
篠塚は、類まれなボールタッチを活かし、Tリーグ2020-2021シーズンではベストペア賞を獲得した。高校3年生で臨んだインターハイでも学校対抗、ダブルスで優勝、シングルスは3位と好成績を残している。
試合中、クールに戦う小柄なサウスポーは、今、何を思うのか。
【篠塚大登(しのづか ひろと)】2003年12月23日生まれの18歳。愛知県出身。左シェークドライブ型。卓伸クラブから愛工大名電中を経て、現在愛工大名電高校3年生。2021年には全日本選手権ジュニア男子3位、インターハイ学校対抗、ダブルス優勝、シングルス3位、アジア選手権男子団体3位、男子シングルスベスト8の実績を残した。このページの目次
- [7 【特集】潜入・高校卓球部]()
「声を出すタイミングがわからない」意外な悩み
写真:篠塚大登(愛工大名電高)/撮影:槌谷昭人——最近、より上を目指したいという気持ちが伝わってくるなと見ていて思うんですが、何かきっかけはありましたか? 篠塚大登:高校入ってから、もっと上を目指したいと思っていました。メンタル面を見直してから、少し我慢できるようになったり、ちょっとずつガッツが出てきたりして、結果も出てきました。 特に去年TリーグのT.T彩たまと契約させてもらって、ダブルスでベストペア賞を獲る経験ができたので、それでもっと上目指そうという気持ちが出てきました。
写真:篠塚大登(左)、曽根翔ペア(T.T彩たま)/提供:©T.LEAGUE——篠塚選手と言えば、ポーカーフェイスも特徴の1つですが、意識的にやってるんでしょうか? 篠塚大登:いや、なっちゃってる感じですね。特に意識はしてないです。内心は結構緊張していたり、焦ったりしてます(笑)。 ——淡々と冷静沈着にプレーしている姿が印象的でしたが、意識はしてなかったんですね(笑)。 篠塚大登:むしろ声出す選手に憧れてるという感じですね(笑)。声を出すタイミングがわかんなくて。どうやって出すんだろうみたいな。
「なんか出てこないんですよ、声出そうと思っても」——Tリーグのダブルスだと、篠塚選手が冷静で、横で神選手がめっちゃ吠えてることもありますよね(笑) 篠塚大登:以前のダブルスで、最後自分がサービスエースで決めたんですけど、神さんの方が吠えてました(笑)。
写真:篠塚大登・神巧也ペア(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部
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世界で勝つために「海外リーグに行ってみたい」
写真:篠塚大登(愛工大名電高)/撮影:槌谷昭人——高校3年生として臨んだインターハイはどうでしたか? 篠塚大登:三冠を狙って臨んだ試合だったので、シングルス準決勝で負けた時はとても悔しかったですね。 でもすぐに世界選手権の選考会があったので、自分の未来に繋がるようにインターハイが終わった後はすぐに切り替えられましたね。
——WTTやアジア選手権にも出場されてましたが、そちらはどうでしたか? 篠塚大登:もっと勝ちたかったです。プレースタイルが日本人と違ったり、世界で勝つにはまだまだだなと感じました。 海外選手のボールに慣れたいと思ったので、海外リーグに行ってみたいなという気持ちが出てきましたね。
今季はフランスリーグにも参戦する篠塚大登## 愛工大名電はなぜ強いのか?
写真:篠塚大登(愛工大名電高)/撮影:槌谷昭人——愛工大名電の選手はなぜ強くなると思いますか? 篠塚大登:寮と練習場がつながってたり、周りに強い選手ばかりいたり、そういう環境に恵まれてるからだと感じています。 先輩方も強いので、その先輩方と中学生の頃から練習できるのは強みだと思います。そこで吸収できるものなどは、他のチームより多いと思います。
写真:篠塚大登(愛工大名電高)/撮影:槌谷昭人——今枝監督の指導についてはどうですか? 篠塚大登:一人一人のプレースタイルに合わせて指導してくださるので、一人一人自分の良いところを伸ばしてもらえるという感じです。
写真:今枝一郎監督(愛工大名電高校)/撮影:槌谷昭人## 充実している時期は「今」
写真:篠塚大登(愛工大名電高)/撮影:槌谷昭人——卓球を始めてからここまでで一番苦しかった時期はいつですか? 篠塚大登:中学3年生でキャプテンになったんですけど、みんなも見ないといけないし、寮では注意したりしないといけないし、そこで卓球の調子も狂っちゃって、本当に卓球を辞めたいなと一回思ったことがありました。 その時が一番苦しかったですね。
写真:篠塚大登(愛工大名電高)/撮影:槌谷昭人——どうやって立ち直ったんですか? 篠塚大登:親と話して、「こうしたほうが良いんじゃないか」ではなくて「そうだねそうだね」って全部聞いてくれました。それがとても自分にとっては良くて、辞めずに戻ってこれた理由かなと思います。
写真:篠塚大登(愛工大名電高)/撮影:槌谷昭人——逆に一番良かった時期はいつですか? 篠塚大登:今ですね(笑)。——良いですね。やっぱり充実感がありますか? 篠塚大登:負けてももう落ち込むことがあんまりないですね。終わったことはしょうがないので、次へという気持ちを持ってます。
写真:篠塚大登(愛工大名電高)/撮影:槌谷昭人——今後はどういう目標でやっていくんでしょうか? 篠塚大登:3月からパリに向けての選考会が始まるので、パリ五輪を本気で目指していきたいと思ってます。
写真:篠塚大登(愛工大名電高)/撮影:槌谷昭人クールな左腕は秘めたる熱い思いを持って戦っている。まもなく始まるパリ五輪代表選考で台風の目となるか。篠塚の今後の戦いに注目だ。
続いては全日本ジュニア王者の濵田一輝のインタビューをお届けする。
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