「誰も練習してない」チームを“絶対王者”へ 愛工大名電高卓球部・今枝一郎監督の指導論
レギュラーは投票制
写真:愛工大名電の練習風景/撮影:槌谷昭人——監督になりたての頃と今とでは変わった部分はありますか? 今枝監督:まず真田浩二先生(愛工大名電中監督)が入ってきたことは名電として大きなことでした。最初は一人でやってましたから。 卓球に対すること、生徒に対すること、許していいこと許しちゃいけないことなどを2人で学習してきたから今があるんじゃないかなと思います。
写真:2021年全国中学校卓球大会での真田浩二監督(愛工大名電中)/撮影:槌谷昭人今枝監督:昔は、生徒より自分の方がエネルギッシュで、毎日力が入ってました。でも今は僕も真田先生ももう全く。 「一生懸命今日はやれないの?じゃあやめようか」くらいのスタンスです。生徒も平気で「今日集中力ないんで帰ります」って言いに来ます。全然卓球をやらせている感じはない。
——その変化は、基礎がある子が入ってくるようになったことに加えて、時代の変化もあるんでしょうか? 今枝監督:時代の変化はめちゃくちゃ大きいと思います。無理に言っても「はい」って言うだけで全然聞いてない。 監督をやって感じたのは、自分が生徒以上に必死なうちは勝てないということ。僕らより本人たちが必死になってやる状況を作らなきゃいけない。気づいたら彼らの方が一生懸命やってるという状況に導かなきゃいけないという風に答えが段々なりました。
写真:今枝一郎監督(愛工大名電高)/撮影:槌谷昭人——なるほど、生徒たちが自ら強くなりたいと思うからこそ強くなるんですね。 今枝監督:自分がいないと何もできないというチームではなく、自分がいなくてもさらに成績が伸びるような方法がないだろうかと考えてきました。卒業後もずっと一緒にいられるわけじゃないので。 だからレギュラーも僕が決めてなくて生徒たちの投票制です。僕がいないときに適当にやってる子や集中力がない子は投票されずにレギュラーになれません。
——それは意外な決め方でした。 今枝監督:選手同士が見張ってて、緊張感持てているんじゃないかなと思います。 いつも言ってるのは「僕のチームじゃなくて、おまえたちのチームだ」ということ。「悪いけど俺には来年もインターハイがある。だけどあなたたちにはない。だから今を大事にしなあかん」というスタイルでやるようにはしてます。
——今枝監督の監督としてのモチベーションはどこにあるんでしょうか? 今枝監督:お世話になった名古屋電気学園にとにかく恩返しがしたいのが一番最初の思いです。また、自分が生徒と接していて、選手が終わってもドキドキハラハラさせてもらって、一緒に喜び分かち合えて、こんなにありがたいことはないです。 こんな私を信頼して、名電を信頼して、子どもを預けていただいた親御さんの期待に応えたいという思いもあります。行かなきゃよかったなんていう風に終わってほしくない。
そういう一つ一つが完全にモチベーションになってますね。
写真:今枝一郎監督(愛工大名電高校)/撮影:槌谷昭人物腰柔らかで冗談も交えながらインタビューに答えてくれた今枝監督。選手からの信頼感も厚い。
その今枝監督が絶賛するのが、主将を務めた篠塚大登(愛工大名電高3年)だ。
続いては篠塚のインタビューをお届けする。
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