勉学も卓球も一流を目指す慶應義塾大学 なぜスポーツ推薦なしでも実力者が集うのか
インカレでチームを救った理工学部3年の岡本優一
続いては理工学部に所属する3年生岡本優一だ。インカレの東北福祉大戦では、4番シングルスで勝利し、チームを予選リーグ突破に導いている。
桐蔭学園高校時代には、現主将の林、副将の窪田を擁する慶應義塾高校のライバルとして神奈川県下でプレーした。
写真:岡本優一(慶應義塾大学)/撮影:ラリーズ編集部——なぜ慶應義塾大学に進学されたのでしょうか? 岡本優一:高校時代から対戦していた林さんや窪田さんら強い選手が内部進学することも魅力でしたし、一番の理由は勉学と卓球の両方を高いレベルでやっていけるところです。
インカレでの岡本優一(慶應義塾大学) 東北福祉大戦で4番シングルスで勝利岡本優一:卓球では関東学生リーグ2部に所属していて、かなり強い選手と試合ができる機会もありますし、一方で勉学の方もしっかりと自分の学びたい化学と生物の融合領域分野を理工学部で勉強できるので進学を決めました。 ## 受験勉強は「卓球に比べたら楽」
2年生の田坂宗次郎は、AO入試で慶應義塾大学にチャレンジするも不合格、そこから一般入試に切り替え、見事合格を掴み取った。
写真:田坂宗次郎(慶應義塾大学)/撮影:ラリーズ編集部——慶應義塾大学卓球部に入るために1日10時間ペースで勉強したと伺いました。キツくなかったですか? 田坂宗次郎:卓球で精神的に追い込まれた状況には慣れていたので、卓球に比べたら楽だなと思いながら過ごしてました(笑)。——卓球で培われたメンタルが活きたんですね(笑)。 そこまでして慶應に入りたかったのはなぜですか?
田坂宗次郎:元々大学は勉強で進学しようと考えていて、慶應には6年ほど上の高校の先輩が入部していて、その人の影響もありますし、卓球も勉強も高いレベルでしたいと思って、慶應を目指しました。実際に入ってみて、勉強と卓球のどちらにも偏らずに両立している人が多くて、自分も刺激を受けています。
写真:田坂宗次郎(慶應義塾大学)/撮影:ラリーズ編集部## 勧誘面での工夫は「慶應のファンを作る」
チーム作りを担う小島威裕監督には、部員勧誘について尋ねた。スポーツ推薦のない中で、どのように実績のある選手を引っ張ってくるのだろうか。
写真:慶應義塾大学卓球部の小島監督/撮影:ラリーズ編集部——スポーツ推薦が無い中で実績ある選手を勧誘するにあたり、何か工夫している点はありますか? 小島監督:まず前提として、スポーツ推薦はないですが、だからどうということは実はあまり意識したことがないんですよね。スポーツ推薦が無い大学の中でのトップを目指してるわけではない、という前提を理解していただく必要があると思います。
写真:練習を見守る慶應義塾大学・小島威裕監督(写真中央)/撮影:ラリーズ編集部小島監督:そうは言っても、実力のある選手には入ってほしいです。 全国大会出場レベルの選手やトップ層の選手にも声をかけつつ、一言で言うと「慶應のファンを増やす」ことを意識しています。
写真:慶應義塾大学の練習風景/撮影:ラリーズ編集部——ファンを増やすとは具体的にはどういうことでしょうか? 小島監督:卓球部の価値を理解してもらって、努力して入ろうと思ってもらうことです。 ただ、それは結構地道な努力なんです。例えば、関東大会に行って頑張ってほしい子には直接声をかけて、少しでも興味持ってもらったら、よりファンになってもらうための話をする。他にも学生がSNSやブログで発信もしてくれています。
インカレでレギュラーとして出場した岡本(優一)や田坂(宗次郎)は、高校のときに慶應のファンになってくれていました。そういう高校生を増やしていきたいと思ってます。
写真:慶應義塾大学卓球部の練習風景/撮影:ラリーズ編集部——監督から見たときに、慶應義塾大学卓球部に合うのはどのような学生でしょうか? 小島監督:どういう人が合うかというより、どういう人が欲しいかだと、努力ができる人です。慶應に入るまでにはすごく努力が必要ですし、入ってからも努力する人が欲しい。 慶應の体育会では、勉学も卓球もどちらも死に物狂いで一流を目指す“文武双全”を掲げています。
文武双全に共感でき、チャレンジしようという気持ちがある人に入ってきてほしいと思っています。
写真:慶應義塾大学卓球部/撮影:ラリーズ編集部卓球にも勉学にも努力し、文武双全に挑む学生が慶應義塾大学卓球部には集っている。
潜入・大学卓球部
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