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「卓球が嫌いにならないように」激戦区兵庫3連覇中の育英高校 監督は元東京アートの実業団選手

卓球インタビュー 「卓球が嫌いにならないように」激戦区兵庫3連覇中の育英高校 監督は元東京アートの実業団選手

2021.07.18 取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)
卓球激戦区兵庫県で今年、インターハイ男子シングルスの6枠中5枠を獲得したのが育英高校だ。団体戦でもインターハイ兵庫県予選を3連覇し、全国高校選抜では2019年に第5位入賞と、近年力をつけてきているチームの1つだ。

卒業生には、日本卓球リーグ2部で新人賞に輝いた坂根翔大(関西大学→関西卓球アカデミー)や、インカレで1年生から専修大学のレギュラーとして活躍した野田颯太らがおり、有力選手を輩出している。

坂根翔大
写真:坂根翔大(関西卓球アカデミー)/撮影:ラリーズ編集部今回は、学校から車で15分程の場所にある専用練習場にお邪魔し、育英高校卓球部の田中雄仁監督、主将の谷本凌に話を聞いた。

育英高校卓球部練習場
【育英高校卓球部】兵庫県の強豪校。OBには高校在籍時に全日本ジュニアベスト8に入り、現在も実業団で活躍する坂根翔大(関西卓球アカデミー)。団体戦での最高成績は、2019年の全国高校選抜ベスト8、2019年のインターハイベスト16。4年前にできた専用練習場で活動する。青森山田高校から中央大学を経て、東京アートでもプレーした田中雄仁監督がチームを指揮する。このページの目次

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指揮官は元実業団選手

写真:田中雄仁監督(育英高校)/撮影:ラリーズ編集部
写真:田中雄仁監督(育英高校)/撮影:ラリーズ編集部——田中監督が育英高校卓球部の監督に就任されたのはいつ頃ですか? 田中監督:2013年なので、今年で9年目になります。 元々育英の卓球部は普通の部活としてしっかりやっていて、一般に入ってくる生徒だけで上位を目指して戦っていました。僕が入る7、8年前くらいに強化指定の部活になって、スポーツ推薦制度で選手を獲れるようになりました。

育英・インターハイ
写真:練習場にある現役生・卒業生の名簿 インターハイに出場した平成15年のメンバー/撮影:ラリーズ編集部——青森山田高校から中央大、東京アートと経て、そこから田中監督が育英に来るきっかけは何だったんですか? 田中監督:顧問の藤森先生から「育英高校に事務で入って卓球部の監督をやってもらえないか?」とお話しをいただいたことがきっかけです。 東京アートで3年間プレーした後、1年間仕事をして、その後兵庫のTTSタカハシという卓球ショップで働いているときに声をかけてもらいました。

本当にタイミング良く事務の枠が空いていて、なおかつ一番選手が集まってたタイミングで入れたので、お互いにとって良かったです。それこそ僕が入った1年目に、坂根がちょうど同じタイミングで入学してきました。

写真:坂根翔大(関西卓球アカデミー)/撮影:ラリーズ編集部
写真:実業団で活躍するOBの坂根翔大(関西卓球アカデミー)/撮影:ラリーズ編集部

指導方針は「卓球が嫌いにならないように」

——育英卓球部のプレースタイルの特徴は何かありますか? 田中監督:決まったものは今までもそうですし、この後もたぶんないと思います。 部旗に書いてあった「各有能(おのおののうあり)」ということが根底にあって、学校の校風も自由ですし、僕自身も「全員が同じ卓球をする必要はないし、得意なところを伸ばしていければ良い」と考えています。

各有能
写真:育英高校の部旗に描かれた「各有能」 自分の適正・長所を発見・自覚し、それを発展させ自らに生かすという、育英創立者の教育理念/撮影:ラリーズ編集部——田中監督の指導方針として大事にしていることは何でしょうか? 田中監督:高校で結果を出すのは大前提ですけど、そこでお腹いっぱいになって卓球が嫌いにならないようにというのは常に頭の中に置いてますね。大学は基本的にどこも自由ですが、そこで完全に燃え尽きて消えていかないでほしいなと思っています。

写真:田中雄仁監督(育英高校)/撮影:ラリーズ編集部
写真:田中雄仁監督(育英高校)/撮影:ラリーズ編集部田中監督:だから結局、「こういう卓球をしろ」と言ってやらせると、それで合えば良いですが、もしやりたくない卓球をずっと3年間やっていると、卓球に興味がなくなってしまう。僕も青森山田高校のときに、練習は厳しかったですけど、卓球自体はこういう卓球を絶対しないといけないというようなものはなかった。そこが一番基本の基本になっています。

——練習量的には多い方ですか? 田中監督:学校と練習場が離れてるので、基本的には規定練習だけになります。だから居残り練習ができないので、練習の密度を高めています。 写真:育英高校卓球部練習場
写真:育英高校卓球部練習場 取材時もテスト期間ということもあり、2時間程度で練習終了となった/撮影:ラリーズ編集部田中監督:あとは朝練でランニングをしてます。 学校の真裏に高取山という山があって、天気予報見ながら週4回は走るようにしています。走って登って終わったら学校の体育館でスクワットや軽いウエイトを少しやるというのは継続してますね。

写真:練習場にはランニングの記録も掲示されていた/撮影:ラリーズ編集部
写真:練習場にはランニングの記録も掲示されていた/撮影:ラリーズ編集部——坂根選手や野田選手を見ていると育英の選手はフットワークに秀でているようにも思えました。そういう足腰の強化が裏にはあったんですね。 田中監督:最後はやっぱり動けないといけないので、1年間通して動く時間を削ることはほぼないですね。 そういうしんどい練習だけは僕が指示します。例えばフォアバック一本一本100球とか。そういうのはこちらが決めないと選手はやらないので、しんどいことだけは指示してやらせています。

写真:OBの野田颯太(専修大学)/撮影:ラリーズ編集部
写真:OBの野田颯太(専修大学)/撮影:ラリーズ編集部——それを3年継続してやると、全然見違える動きになりますか? 田中監督:そうですね。1年経ったら足とか身体つきとかは目に見えて変わってきます。へにょへにょだなという動きは基本1年生の方が多いですし、ぱっと見てあんまりブレがないなとなったら上級生ですね。

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