• HOME
  • 記事
  • 卓球
  • インカレ優勝15回の強豪・専修大学卓球部女子が挑む“卓球の男子化”

インカレ優勝15回の強豪・専修大学卓球部女子が挑む“卓球の男子化”

卓球インタビュー インカレ優勝15回の強豪・専修大学卓球部女子が挑む“卓球の男子化”

2021.06.17 取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)
今季、専修大学卓球部女子が熱い。

エースの木村香純(きむらかすみ・4年)は、Tリーグ2020-2021シーズンで早田ひなや平野美宇(ともに日本生命レッドエルフ)を下すなど、大ブレイクを果たした。加えて、全日本ジュニア女王の出澤杏佳(いでさわきょうか・1年)が2021年度から入学し、2015年以来のインカレ優勝も視野に入っている。

今回は、専修大学卓球部女子の練習にお邪魔し、加藤充生樹(かとうみぶき)監督、エースの木村、ルーキーの出澤に話を伺った。まずは加藤監督にチームの特徴や期待の選手を尋ねた。

専修大学卓球部女子
【専修大学卓球部女子】昭和28年に創部。全日本大学卓球選手権(団体の部)では、15回の優勝を誇る大学卓球界屈指の強豪校。鈴木李茄(現・昭和電工マテリアルズ)、庄司有貴(現・中国電力)、安藤みなみ(現・トップおとめピンポンズ名古屋)ら実業団やTリーグで活躍する卒業生を輩出している。このページの目次

  • [7 専修大学卓球部男子の取材記事はこちら]()

加藤監督が取り組む“卓球の男子化”

写真:専修大学練習場/撮影:槌谷昭人
写真:専修大学練習場/撮影:槌谷昭人——今回は、専修大学の強さに迫るお話を伺えればと思っています。 まずはチームの特徴から教えてください。

加藤監督:そもそも、私は最初に専修大学卓球部男子のコーチをやっていまして、約5年後に女子の方に移りました。 その頃から女子は相手の回転やスピードを利用して戦う卓球が主流で、男子と比べてしっかり振らないなと感じていました。また、女子はバックが上手くて、フォアは弱い選手ばかりだとも思っていました。

——いわゆる“女子卓球”はそのイメージがありますね。 加藤監督:チームを率いるにあたり、私は“卓球を男子化”したいと考えました。 強いボールを打てるようにして、自分の力で打ち抜く卓球にしたらもっと勝てるんじゃないかと。

そのため、とにかくフォアで動く練習をメニューに組み込んでいます。

専修大学
写真:フォアハンド中心の練習を行う沖胡ひとみ(専修大学2年)/撮影:槌谷昭人——しかし、女子はパワーがない分、両ハンドで打点早く回転をかけ返す形が卓球として最適という通説もありますが。 加藤監督:そういう卓球ですと、最後の最後、競ったときにあと1本とることが難しくなります。 相手が慣れてくることもありますし、自分主体ではなく、相手の回転やコース次第になってしまいます。

写真:加藤充生樹監督(専修大学)/撮影:槌谷昭人
写真:加藤充生樹監督(専修大学)/撮影:槌谷昭人加藤監督:ですから、ここぞという時の1本を掴み取るため、とにかく自分の力で強いボールを打てるようにしたい。さらに言えばフォアを強くしたい。 そう思って、台から下がっての引き合いやフォアの1本1本、フォアの3分の2でオールだったり、フォアミドルバック・フォアの3点フットワークだったりと、フォア主体の練習をほぼ毎日やらせています。

写真:加藤充生樹監督(専修大学)/撮影:槌谷昭人
「学生たちにはすごい嫌がられてるんですけど(笑)」——確かに木村選手を見ていると、女子の中でもトップクラスの回り込みフォアドライブを放ちますし、練習の成果が出ているように感じます。 加藤監督:木村が本当に良い例です。台から下がっても簡単に点をとられない。チーム全体として、特に台から下がってのラリーは強くなりました。 フォア表・バック粒の出澤のような変則な卓球スタイルやカットマンでも、フォアハンドで動く練習はやらせています。どんな戦型であれ、フォアが強い卓球を目指しています。

写真:木村香純(木下アビエル神奈川)/撮影:ラリーズ編集部
写真:強力なフォアハンドを武器にTリーグで6勝をあげた木村香純(木下アビエル神奈川)/撮影:ラリーズ編集部

木村香純の成長は必然

木村香純
写真:木村香純(専修大学)/撮影:ラリーズ編集部——昨季は専修大学のエース・木村選手のTリーグでの活躍が印象的でした。加藤監督は木村選手の成長をどのように見られていましたか? 加藤監督:機会があれば、絶対話したいなと思っていた木村のポイントがあるんですよ! ——ぜひお願いいたします! 木村香純
写真:Tリーグファイナルでは早田ひなを下した木村香純(木下アビエル神奈川)/撮影:ラリーズ編集部加藤監督:私が木村に対して一番凄いなと思うのは、誰とやっても態度を変えないところです。 今はコロナであまり来れてないのですが、中高校生が練習に来てゲーム練習をする際、大学生は本気でやって負けたと思われたくないプライドがあるのか、どうしても態度が微妙になる選手が多いです。

ただ、木村はどれだけ実力差のある選手とやっても気を抜かないもちろん態度が悪くなることも一切ないです。

木村香純
写真:木村香純(木下アビエル神奈川)/撮影:ラリーズ編集部加藤監督:どんな相手とやっても機会を無駄にせず、自分のプラスになるようにという意識でやっています。木村が強くなった一番のポイントはここだと思っています。

——つまり、木村選手はTリーグで急成長したように見えていましたが、元々の意識の高さも大きな要因ということですね。 加藤監督:木村は常に意識高くやっていますので、しっかりとした下地がある。さらにTリーグでいろいろな機会を与えてもらって、伸ばしてもらったのかなと思います。 木村香純
写真:昨季は関東学生選手権でも優勝に輝いた木村香純(専修大学)/撮影:ラリーズ編集部## 強くなりたい気持ちが一番強いのは出澤杏佳

——今季から入学した1年生の出澤杏佳選手はどう見てますか? 加藤監督:彼女は強くなりたいという気持ちが人一倍強いです。練習後、出澤が一番最後まで残って、自主練習をやっています。 毎日行っている普段のゲーム練習でさえ「絶対誰にも負けたくないです」と言っており、こういう選手が強くなるんだなと感じましたね。

写真:出澤杏佳(専修大学)/撮影:槌谷昭人
写真:大成女子高校から加入した出澤杏佳(専修大学) 全日本ジュニア優勝の実績を誇る/撮影:槌谷昭人——熱い思いを持った選手なんですね。淡々としたプレーぶりからは意外でした。 加藤監督:誰よりも熱い思いを持っているのですが、あまり外には出さない。深く関わらないとわからないんですよね(笑)。 モチベーションの高い出澤が入ったことによって、他の選手も刺激されているので、本当にありがたいですね。出澤も入学後、どんどんプレーが良くなっていますし、今後が楽しみです。

関連記事