意外な競技のシューズを履く選手が増えた? 卓球シューズを考える【第3回】

東大阪のスポーツ量販店の卓球売り場で約10年間接客してきた岩佐直樹さんに、用具について聞く。

第1回は量販店の専門店化戦略、第2回は初級者に向けてのラケット・ラバーについて話を聞いたが、第3回は卓球シューズについてである。

最近の売れ筋商品や各メーカー毎の商品特徴、さらに選手の間で最近密かに増えている、とある別競技のシューズについても興味深い話を聞いた。


▶試打台が量販店を専門店に変えた 卓球売り場店員に聞く新トレンド【第1回】

▶初級者からステップアップする際の卓球ラケット・ラバー・シューズの選び方【第2回】

体育館シューズで補えないものとは

── お店に来るお客さんに、シューズはどうお薦めしているんでしょうか。

岩佐: シューズは一番難しいんです。特に中学生は、学校の先生から“最初は体育館シューズでいいよ”と言われていることが多いので。

ただ、体育館シューズだと特に卓球に多い横の動きにうまくグリップが効かなくて、怪我にも繋がりますし、上達が遅れるよという言い方はしています。

シューズは秋によく売れますね。入部して最初は体育館シューズだったけど、1回目の試合の新人戦が近づいたので、先輩を見てシューズを買いに来る子が多いです。

── 薦める場合はどんな商品を。

岩佐: ミズノのクロスマッチソード2などです。

写真:クロスマッチソード2/提供:SUPER SPORTS XEBIO

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メーカー別の卓球シューズの特徴とは

── せっかくなので、メーカー別の卓球シューズの特徴を教えてください。

岩佐: これまで何十という大会を調べてきましたが、ミズノはシューズでは6割くらいのシェアです。いろんなプレーヤーの要望に応えられる商品ラインナップですね。

ウエーブメダルだとクッションが良く、ウエーブドライブは素足感覚で動きやすい。足幅が広い方向けにウエーブカイザーブルクがあり、ウェーブメダルにもWIDEがあります。

いろんなプレースタイルや足の形に合わせた。ターゲットの広いシューズですね。

写真:ウエーブメダル8/提供:SUPER SPORTS XEBIO

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写真:ウエーブドライブ9/提供:SUPER SPORTS XEBIO

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写真:ウエーブドライブNEO4/提供:SUPER SPORTS XEBIO

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写真:ウエーブカイザーブルク/提供:SUPER SPORTS XEBIO

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── アシックスはいかがでしょうか。

岩佐: 幅は狭め、そして軽い、フィット感があるというお客さんからの評価ですね。

アシックスを履く人、その需要は増えているという実感はあります。メーカー契約のない男子トップ選手が選択するシューズとしては、圧倒的にアシックスが多い印象ですね。

卓球メーカーのシューズも選択肢に入ってきた

── 卓球専門メーカーのシューズはいかがでしょうか。

岩佐: ニッタクのシューズを履く方が増えていますね。先月300人の大会でアンケートを取ったところ、3位がニッタクで30人弱が履いていました。

しかもラインナップは実質、ムービングエースとムービングエアロしかないので、品番別で言うと1位かもしれません。

クッションが良く、足への負担が少ないという評価が多いです。正直これまで、卓球メーカーのシューズはあまり選ばれてこなかったんですが、いまは選択肢の中に確実に入ってきてますね。

写真:ムービングエース/提供:SUPER SPORTS XEBIO

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写真:ムービングエアロ/提供:SUPER SPORTS XEBIO

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意外な競技のシューズも増えている

── あと、バドミントンシューズを履く選手もいたりしますよね。

岩佐: そうですね、先月の300人程度の大会で行ったアンケートでも、ヨネックスのバドミントンシューズを履いている方が4,5人いらっしゃいました。

── なぜなんでしょうか。

岩佐: 聞いてみると、“卓球シューズよりクッション性が良いので”ということでした。足に不安がある方が特に選ぶのかもしれません。

写真:バドミントンシューズ パワークッションエアラスZ/提供:SUPER SPORTS XEBIO

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岩佐: あと、フットサルシューズも何人かいらっしゃいました。

── フットサルですか?

岩佐: 軽さや動きやすさを求める男子選手が履くことが多いみたいですね。その代わりクッション性はないんですが。

フットサルシューズの、アシックスのTOQUEを履いている男子選手が、全日本のランカーでもいました。

── 足が地面を掴む感覚とかは確かにありそうですよね。でも上級者向けのトレンドですよね。

岩佐: そうですね。足の筋力に自信がある上級者が履けば、軽くて動きやすく、グリップも効くと思います。

私が知っている範囲では、かつて江藤慧選手(クローバー歯科カスピッズ)が、フットサルシューズ特有の軽量さとグリップ力、あとデザイン性を気に入って履いていた時期がありました。今は卓球メーカーのシューズに戻しているようです。

ただ、クッションがないので、一般のプレーヤーが履いてプレーすると疲れるはずです。

── お店で薦めることはあるんですか。

岩佐: いや、それはないです(笑)。

バドミントンシューズは、年配の方で足が痛い方に1万円前後のクッション性の高い商品を紹介したことはあります。卓球シューズでクッション性の高いものは、もう少し値段がしてしまうので。試合のルール上は、問題ないですから。

卓球シューズならではの良さは

── 逆に卓球シューズならではの良さはどんなところですか。

岩佐: 左右の動きには本当に強いですね。

先週来たお客さんにウェーブメダル7を履いたお客さんが“壁を蹴って戻るような感覚”と言っていて、まさにそうした体感を得られますよね。

最近の調査では、卓球は前後の動きが多いという調査結果もあったりして、まだまだ卓球ならではの動きをサポートする形で卓球専用シューズは進化していくと思います。

卓球売り場で卓球の楽しさを伝えてきた

── ご自身も卓球愛好家であり、量販店の卓球売り場で10年接客を続けてきて良かったと感じるのは、どんなときですか。

岩佐: お店の売り場で試打をスタートさせて約7年です。当時話題になって一番最初の頃に来てくれていた中学生たちが、高校生、大学生になっても、今もまだお店に来てくれます。彼らが卓球を辞めずに続けてくれている一つのモチベーションに、この売り場がなっているとしたら嬉しいですね。

中学生のときは私が勝っていたのに、大学生の今は私がボコボコにされるんですが(笑)、こんなに強くなったんだなあと嬉しくなります。

中学校の卓球部員は多いんですが、高校で続ける割合は低い状況です。高校、大学でも卓球を続けようと思うくらいに卓球の楽しさを、この売り場が伝えていければと思います。

── 良い話ですね。そして、卓球はその後もずっと続けられるスポーツですからね。ありがとうございました。


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