
7月28日~31日、卓球の「全農杯全日本卓球選手権大会 ホープス・カブ・バンビの部」(通称「ホカバ」)が神戸市で開催された。小学生にとって年に一度の大きな大会で、女子は松島美空(京都カグヤライズ)が、バンビの部・カブの部連覇となり、福原愛以来史上2人目となる快挙を成し遂げた。(取材・文/二株麻依)
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ホープス制した花沢 憧れは中国の馬龍(マ・ロン)
写真:花沢 夏琳(よ〜じ道場)
ホープスの部(小学6年生以下)は花沢 夏琳(よ〜じ道場)が初優勝を飾った。これまでの全日本ホカバの最高戦績は、小学2年生の時のバンビの部ベスト32。
最後のホカバとなった今回は、準々決勝で第2シードの岩本詩菜(石田卓球N⁺)に苦戦するも3-2で破り、準決勝では園部葵彩(卓桜会)と激しい打撃戦を展開し3-1で勝利。
決勝戦は、第1シードでここまでストレート勝ちの伊藤友杏(羽佳卓球俱楽部)との対戦で、3セット目を落とすことになったが、落ち着いたプレーで巻き返し、3-1で優勝を決めた。
写真:伊藤友杏(羽佳卓球俱楽部)
憧れの選手は、オールフォア(ほとんどのボールをフォアで振る、フットワークを生かした技術)の馬龍(マロン・中国)。今後の活躍に期待したい。
ホープスの部(小学6年生以下) 女子順位
1位 花沢 夏琳 ( 静 岡 ) よ〜じ道場
2位 伊藤 友杏 ( 東 京 ) 羽佳卓球俱楽部
3位 園部 葵彩 ( 栃 木 ) 卓桜会
3位 渡邉ひかり ( 千 葉 ) La. VIES
松島はバンビに続くカブ制覇 福原愛に続く快挙
写真:松島美空(京都カグヤライズ)
松島美空(京都カグヤライズ)が去年のバンビの部優勝に続いてバンビを制し、2年連続の優勝を飾った。バンビ・カブ連覇は福原愛以来史上2人目となる。
準決勝では第1シードの小西との激しい打撃戦を繰り広げ、高い守備力で3-0で決勝進出を決める。
決勝では前回ベスト16の新谷と対戦。新谷の巻き込みサーブからの攻撃に苦しみ1セットを落とすが、3-1で勝利。
写真:新谷真奈(フェニックス卓球クラブ)
試合後のインタビューで松島は「年上の選手にも勝てて、毎日頑張ってきたことが分かった。夢はオリンピックで金メダルを取ることです」と語った。父・卓司さんは「やっぱりお兄ちゃん(松島輝空)がずっと3−0で勝ってたりするから、美空も、と本人が思ってしまうんです。ふたりとも完璧に勝ちたいんですよね。絶対3−0で勝たなあかんって思いこみすぎで、1ゲーム取られただけで崩れそうになるときがあった。でも、最終的に立て直してなんとかできたっていうのも正直、すごく成長した部分だと思います」と話してくれた。
カブの部(小学校4年生以下) 女子順位
1位 松島 美空 ( 京 都 ) 京都カグヤライズ
2位 新谷 真奈 ( 福 井 ) フェニックス卓球クラブ
3位 村松 心菜 ( 東 京 ) 羽佳卓球俱楽部
3位 小西 紅偉 ( 埼 玉 ) Global Athlete
木方が初出場、初優勝 「世界一を目指したい」
写真:木方菜々美(T.T彩たま)
初出場・初優勝となった木方菜々美(T.T彩たま)。準決勝では加藤このみ(マエタク)の表ソフトラバー(表面が粒立った形状のラバー)で振るバックハンドに苦しんだが、大接戦ののち3-2で制して決勝へ進出。
決勝ではホープスナショナルチームの小松佳楠(Quest新潟クラブ)とサウスポー対決。サーブからの攻撃パターンで得点を取り合う展開で、木方が3-0で勝利した。
写真:小松佳楠(Quest新潟クラブ)
木方は試合後「初めて日本一になれたことが嬉しいです。泣かずにできたことがよかったです。将来は世界一を目指したいです」と語った。元インターハイ王者で実業団でも活躍した父の慎之介さんは、「世界一を親としてサポートしていきたい。娘には感謝の気持ちを忘れず育ってほしい」と話してくれた。小さなビッグスターが生まれた瞬間だった。
バンビの部(小学校2年以下) 女子順位
1位 木方菜々美 ( 埼 玉 ) T.T彩たま
2位 小松 佳楠 ( 新 潟 ) Quest新潟クラブ
3位 加藤このみ ( 群 馬 ) マエタク
3位 原澤有里佳 ( 群 馬 ) 薄根卓球
<ふたかぶメモ>
女子の決勝は、なんと言っても“サウスポー対決”が目立った。ホープスの花沢以外の6人中5人(約83%)が左でラケットを振っていたのだ。
日本の人口全体で見ると左利きは約10%とも言われるが、卓球選手では水谷隼、石川佳純を筆頭に左利きのメダリストが多く誕生している。
右利きの選手と比べて回転も突くコースも逆になるため、対戦相手にとってやりにくいことや、ダブルスのフォアハンドレシーブの際に右利きに比べて足を台の中に踏み入れられる有利さも左利きの特徴だ。
特に親が卓球経験者の場合、身を持って左利きの有利さを経験しているため、我が子に卓球だけは左でラケットを持たせるケースも多い。
今大会で活躍したサウスポーたちが来年どのような戦いぶりを見せるのか。また、そこに食い込む新たな選手の登場にも期待したい。
取材・執筆:二株麻依(ふたかぶまい)
フリーアナウンサー (シー・フォルダ所属)。元NHKキャスターで、主にスポーツ、報道、情報番組を担当。取材して書くこと・話すことが得意。小学3年生で卓球を始め、慶應義塾大学在学中は全日本大学総合選手権大会(団体の部)出場。夢はスポーツ実況をすること。
写真提供:Rallys
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