
日本サッカー界に唯一欠ける「CF」 ワールドクラスのCFはなぜ生まれないのか
小川航基(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
北中米W杯まであと1年となったわけだが、日本代表への期待は日増しに高まってきている。
サッカー人気自体は民放放送の激減によりやや下がり気味だが、「強さ」で考えれば日本サッカー史上最高といっても過言ではないだろう。
FIFAランキングでは15位となっており、現実的なW杯の目標はベスト8となる。
しかし、あるポジションにワールドクラスの選手が現れれば、ベスト8ではなく現実的に「優勝」が目指せるはずだ。
そのポジションとは、「CF(センターフォワード)」だ。
CF以外のポジションでは着実にワールドクラスの選手が育っている
MF大国の日本は、WGやトップ下、ボランチの各ポジションで素晴らしい選手が輩出されている。
久保建英や三笘薫、堂安律、遠藤航、佐野海舟など世界のトップオブトップとまではいえないまでも、ワールドクラスに成長した選手たちがいる。
さらにはCBも板倉滉や冨安健洋(怪我で長期離脱中)がおり、20歳の高井幸大もトッテナムに移籍するなど近い将来ワールドクラスの選手に成長する可能性がある。
GKに関しても鈴木彩艶というスペシャルな逸材が出現した。
鈴木は守備大国イタリアにおいてシーズンを通して正GKとして活躍し、ビッグクラブが興味を示すほど存在感が増している。
つまり、ワールドクラスのGKが日本代表のゴールマウスを守ることになるわけだ。
SBにおいてはワールドクラスの選手が不在な状況だが、現在日本代表はWBシステムを採用しているため、WGの選手を起用することで解決可能だ。
唯一の不安はCF、なぜ日本にはワールドクラスのCFが出現しないのか
日本代表のCFは、上田綺世と小川航基、そして先日の日本代表戦でも活躍した町野修斗の3人によるレギュラー争いが続いていくことだろう。
どの選手も「良い選手」だが、残念ながらワールドクラスのCFとはいえない。
伸びしろを考えてみても、おそらくこれからワールドクラスのCFになる可能性も低いだろう。
長らくCFの人材に悩まされている日本だが、いったいなぜCFが出現しにくいのだろうか。
考えられる大きな要因としては、「身体能力とサイズのある子どもが他のスポーツを選んでいること」だろう。
CFは身体能力と身長(身体のサイズ)が必要なポジションだが、その条件を満たした子供の多くが野球やバスケットボール、バレーボールを選んでいる。
前述した通りMF大国の日本ゆえに、「サッカー選手=アジリティ&テクニカル」といったイメージがある。
つまり、絶対的にCFを目指す子どもの人数が少ないわけだ。
人数が少なければ、ハイレベルな競争原理が生まれず、ワールドクラスの選手となる可能性も低くなる。
これが2トップが主流であるならばまだワールドクラスのFWが出現していたかもしれない。(2トップシステムであれば身体能力とサイズ以外の部分も重要視されるため)
しかし、現代サッカーは1トップが基本であり、そうしたサッカーでは身体能力とサイズが必須となる。(もちろんテクニックも必須だが)
おそらくW杯の決勝トーナメントといったハイレベルな試合となれば、ワールドクラスのCFの不在をより実感するはずだ。
日本サッカー協会もFWの育成に力を入れてはいるが、その成果が出始めるのはおそらく10年後以降となるはずだ。
果たしてワールドクラスのCF不在の日本代表は現最高戦力の上田や小川で北中米W杯に臨むのか。
それともスタンダードなCFではない前田大然という特殊タイプであるCFで臨むのか。
W杯に向けた1年で森保監督がどのような結論を出すのか注目しよう。
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