「サッカー日本代表」三笘薫の持ち味であるドリブルが見られなくなった要因とは

三笘薫(写真:新華社/アフロ)

三笘薫(写真:新華社/アフロ)
アメリカ遠征で1分1敗の無得点と結果が残せなかった日本代表だが、多くの課題が浮き彫りになったと同時に、シンプルに「キレのなさ」が気になった選手もいた。

メキシコ戦で81分、アメリカ戦で28分間プレーした三笘薫は、以前のようなキレのあるドリブルが激減し、積極性自体も少なかった。

三笘自身もアメリカ戦後のインタビューで、「自分のレベルが相手を上回れていない」、「自分自身を見つめ直さないといけないと思っています」と答えている。

いったいなぜ三笘のドリブルは見られなくなってしまったのか、その要因を挙げてみよう。

三笘本人が総合力の高い選手への変化を望んでいる

三笘と言えば左サイドのライン際でボールを持ち、対峙したDFをステップと初速で抜き去るイメージが強いが、昨年あたりから明らかにプレースタイルを変化させてきている。

本人も「いろんな形のプレーをすることで能力が上がっている」と公言しており、ドリブル自体を控え(選択肢の1つとしては有している)ディフェンス力や中央エリアでのプレー精度、フィニッシュ力などを向上させている。

実際に昨季ディフェンスで大きく貢献しながらもプレミアリーグで10得点を挙げているゆえに、選手としてのレベルは下がるどころか高まっていると判断できるだろう。

筋力UPによるキレの低下

抜群のテクニックと猫のようにしなやかな身のこなしを武器にブンデスリーガで無双した日本人選手がプレミアリーグへとプレーの場を移し、筋力を強化したことで逆に強みが減ってしまったという過去の事例がある。

元日本代表の10番、香川真司(現セレッソ大阪)だ。

三笘も香川と同じようにプレミアの激しいプレーレベルに対応しようと筋力をUPさせたが、それが原因となり自身にとって最大の武器であるドリブルのキレを失わせてしまったといえる。

筋力を付けなければ力でねじ伏せられるケースも多く怪我のリスクも高まることからプレミアでプレーするならば必須ではあるのだが、それによってドリブルのキレは間違いなく低下してしまったと判断できるだろう。

腰の怪我によって可動域が狭くなった可能性

三笘は昨季腰の怪我を抱えていたと公言したが、その影響からか腰の可動域が明らかに狭くなったように感じる。

パスやシュートを囮にした切り返しのドリブルを得意としている三笘だが、その「深さ」は確実に浅くなっている。

痛み自体は昨季よりも少なくなっている(もしくはなくなっている)はずだが、怪我の再発を恐れ無意識に腰の回転をセーブしてしまっているか、可動域自体が以前よりも狭まっている可能性は高い。

果たして今後もキレのあるドリブルは見ることができないのか。

北中米W杯までに三笘がどのようにプレースタイルを変化させていくのか、その動向に注目だ。