王国の10番が見せた、コンマ数秒の世界。衝撃のゴラッソを本人が試合直後に解説「私は瞬間的にいろいろなことができる」【ブラジル代表】

【国際親善試合】日本代表 0-4 ブラジル代表(10月17日/北里アリーナ富士)

10月17日、フットサル日本代表は国際親善試合の第1戦でフットサルブラジル代表と対戦。0-4で完敗を喫した。終始試合を支配したセレソンのなかでも、やはり背番号10・ピト(FCバルセロナ)のプレーは圧巻だった。

チームの全得点に絡んだクラッキに、第2ピリオド3分に決めたゴラッソについて話を聞いた。

取材・文=福田悠

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日本のピッチで見せた、世界レベルの駆け引き

その風情はまさに王様だった。

長距離移動の疲れもなんのその。ピトは常に圧倒的な存在としてピッチに君臨した。ブラジル代表の4つのゴールは、すべてこの男が関与して生まれたものだった。

なかでも衝撃的だったのは、やはりブラジルの3点目となったゴラッソだろう。左サイドで一瞬カットインを狙うような素振りを見せてから急加速。対面のDFの股下を抜き、最後は右足トゥキックで叩き込んでみせた。抜き去った後の身体操作も、シュートのスピードも精度もお見事。完璧な一発だった。

■日本代表vsブラジル代表(フルマッチ映像/ピトのゴールシーン)

ただこのゴールに関して一つだけ、気になったことがあった。「今の股抜きは狙ったのか……?」という点だ。右足アウトでカットインを狙ったタッチが、少しズレてちょうど股下を通ったようにも見えた。タッチミスではあったが、それが功を奏したプレーだった可能性もあるのでは……と。たとえそうだったとしても、その後の身体操作とリカバリーは恐ろしいレベルなのだが。

現地で観ていても一瞬の出来事だったので、なおさら判別がつかなかった。というより、体とボールの動きから考えれば、タッチミスが結果的にうまくいったと捉えるのが自然な気がした。それが普通の選手ならば。

ただ、そこはあのピトである。彼ほどの選手なら、もしかしたら狙っていたのではないか。試合後に本人にその真相を聞いてみた。

「うん!あれは狙っていましたよ!」

あっさりそう答える彼の表情を見て、再び衝撃が走る。ピトは“もちろん!”とでも言いたげな笑顔を浮かべ、こう続けた。

「でも、最初から股抜きを狙っていたわけではありません。はじめは右足でカットインして、相手DFの(ピトから見て)右側から打とうと考えていました。ただ、ボールを運ぼうとした瞬間に、私のドリブルスペースに相手の足が出てくるのが見えたんです。私は咄嗟にタッチを変えて、相手の足の間を通して突破することにしました。ボールが自分のコントロール下にあれば、私は瞬間的にいろいろなことができます。今日のプレーは、そのうちの一つですね」

相手の一瞬の所作すらも見逃さない洞察力、瞬間的な閃き、そしてそれをいとも簡単に実行できてしまう類稀なテクニック。世界の頂に君臨する男の、技術の粋を垣間見た瞬間だった。

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