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古橋亨梧は、イニエスタに「パスを出させて」いる。元フットサル代表がガチ分析

イニエスタにパスを“出させた”動き出し

古橋の「動き出し=引き出し力」は、本当にハイクオリティだ。

神戸時代、彼はイニエスタからのパスで何度もゴールを挙げた。そのことがすなわち、古橋の質の高さの証明だと言える。

イニエスタはもちろん、誰もが知るゲームメーカー。チャンピオンズリーグを制したバルセロナでも、W杯で優勝したスペイン代表でも、司令塔として君臨した。世界有数の戦術眼を備え、パサーとしての技術も他の追随を許さない彼は、常にピッチで最適解を見つけ、最適な選択から数多くのゴールを演出してきた。

そんな彼をして「僕らはテレパシーのような関係」と言わしめたのが、古橋である。

世界的な名選手に認められた男は、ある意味で出し手を選ばない。セルティックへと移籍してから瞬く間にゴールを量産したことが、それを物語っている。

通常、移籍先のチームメートとの意思統一やコンビネーションの構築には多くの時間を要すものである。日々のトレーニングでコミュニケーションを重ね、少しずつ味方とすり合わせていくものなのだが、古橋はその作業を十分に行なう前から、出し手にパスを“出させた”のだ。

強豪リーグを戦う世界水準の出し手は、FWの生かし方を知っている。時間をかけて熟成させる前であっても、イメージを共有できる動き出しの良い選手がいれば、すぐに適応してパスを出せる。つまり、いきなりゴールを量産した古橋もまた、世界水準だったという証である。

J2・FC岐阜から3年半で海外挑戦

「動き出し=引き出し力」とはなにか。大事なことなのであらためて伝えておこう。

・置かれている状況で最適なスペースを見つけ、
・一番ゴールにつながる可能性が高い場所に、
・出し手が出しやすいタイミングで動き出すこと

2016年、一度はプロになる夢をあきらめかけた中央大学時代、いくつものJクラブに練習参加し、最後の最後につかみ取ったのがJ2・FC岐阜との契約だった。

1年半で68試合・17得点。2018年、シーズン途中に鳴り物入りでJ1に舞台を移し、ゴールという結果を残し続けて3年半で海外挑戦。1995年生まれの26歳は、すでに日本代表の常連にもなった。もともと、卓越したスピードを武器に持っていた彼は「引き出し力」を磨いて、日本有数のストライカーへ上り詰めようとしている。他の誰よりも今、注目すべきFWである。

そして最後にもう一つ、大事なことを。

パスを引き出したのち、ゴールを決め切るシュート技術も見逃せない。得点力もまた、日本サッカー界を駆け上がる古橋が備えた、スペシャルスキルであることは間違いないだろう。


■プロフィール
渡邉知晃(わたなべ・ともあき)

1986年4月29日生まれ。福島県郡山市出身。小学2年生からサッカーを始め、順天堂大1年時まで続けたが、2年時にフットサルに転向。フットサルサークル「GAZIL」でプレーしながら、BOTSWANA FC MEGURO(現フウガドールすみだ)に加入。その後、ステラミーゴいわて花巻、名古屋オーシャンズ、府中アスレティックFC(立川・府中アスレティックFC)、大連元朝足蹴倶楽部(中国)でプレー。国際Aマッチ59試合出場・20得点(日本代表)、Fリーグ2017-2018シーズン得点王(45得点)、通算323試合出場・201得点など、日本有数のピヴォとして数々の実績を残し、2020-2021シーズン限りで現役を引退。子どもへの指導のかたわら、執筆業にも挑戦中。

Twitterアカウント
渡邉知晃

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