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古橋亨梧は、イニエスタに「パスを出させて」いる。元フットサル代表がガチ分析

日本サッカーには今、注目すべきFWがいる。

古橋亨梧だ。

2021年8月、名門・セルティックに移籍後、初先発した試合でいきなりハットトリックを達成した。170センチ・63キロ。小柄な彼は「ゴール」という結果で存在価値を示した。

J1・ヴィッセル神戸でプレーした直近の4年間は、95試合・42得点。サイズがあり、屈強な相手と対峙しながら、彼はなぜ、ゴールを量産できるのか。その技術の真髄を分析する。

■クレジット
文=渡邉知晃(ライター/元フットサル日本代表)
写真=浦正弘

■目次
古橋を突出させる「引き出し力」とは
「自分に出せば、得点の可能性が高い」と思わせるチカラ
イニエスタにパスを“出させた”動き出し
J2・FC岐阜から3年半で海外挑戦

古橋を突出させる「引き出し力」とは

答えを先に言おう。

それは、「引き出し力」だ。この表現を「動き出しの質」という観点から分析していく。

彼は、得点のほとんどをワンタッチもしくはツータッチで決めてきた。実際に、セルティックのデビュー戦で挙げた3得点もすべてワンタッチだった。

一発でゴールを奪うための条件は主に2つある。

・パスを受けた際にシュートエリアにいる
・なおかつ、シュートを打てる体勢である

つまり、ボールを受ける前の動きと、受けた際の体の状態が大事なのだ。これを言い換えたものが「動き出しの質」であり、良いFWであるために不可欠な技術とされている。

ゴール前は、戦場だ。

だからFWは、戦いに勝つために、ディフェンスの圧力がもっとも強まる場所でフリーとなり、シュートを打てるポジションでボールを受けることを、常に考えて動き出す必要がある。

・瞬時にスペースを見つける力
・最適なタイミングの取り方
・相手ディフェンスとの駆け引き etc

一言で「動き出し」と言っても、重要な要素はたくさんある。そのなかで、古橋が特に優れているのが「引き出し力」である。この能力とは、なにを意味するものなのか。

時間が許すならば、ぜひ映像を見てから読み進めていただきたい。

■【神戸/古橋亨梧|2021プレー集】
(引用:DAZN

「自分に出せば、得点の可能性が高い」と思わせるチカラ

見てもらえば明らかだが、引き出し力に優れる古橋は、パスの出し手とのズレが少ない。通常、FWがボールを受ける際は、パスの出し手との間にズレが生じてしまうものである。出し手と受け手が意思疎通を図り、タイミングを合わせるのは、決して簡単な作業ではないのだ。

パスの出し手は、複数の選択肢から最適解を導き出そうとする。ドリブルか、シュートか、パスか。最優先事項である勝利のため、ゴールを奪える可能性がもっとも高いルートをイメージし、選び取る。その作業において、選択権は常に「ボールホルダー=出し手」にある。

その際、得点を期待される「FW=受け手」は、自分へのパスを選択してもらおうと考えている。そこで必要なのが、自分へのパスが「よりゴールの確率が高い」と思わせることだ。

FWは「そこに出せばゴールにつながる」と出し手に感じてもらうために、イメージを共有し、なおかつ「出しやすい場所」に動き出す必要がある。瞬時の判断と決断が求められる試合において、それはコンマ数秒の世界である。極端に表現するなら、出し手がパスを“出した”のではなく、“出させられた”と感じるような動き出しこそ、理想的なアクションだと言える。

そしてこれこそが、古橋のスペシャルスキル「引き出し力」である。

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