【Akihiro Woodworks】「鹿児島の木」で新しい価値を世界へ届ける木工集団

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親子2代で木工作家!地元の人が頼る「秋廣家」

jincupをつくっているAkihiro Woodworks(アキヒロウッドワークス)は、秋廣家の長男アキヒロジンさんと三男の秋廣琢(あきひろたく)さん、そして2人の父である秋廣昇(あきひろのぼる)さんによる木工集団。

とはいえ、昇さんは主に地元の人たちから直接受注して家具や内装をやっていて、ジンさんと琢さんは2008年ごろからカップや彫刻を日本全国や海外へと発信しています。

同じ木工作家ながら、昇さんとは違うスタイルで新しい世界観を切り拓いているジンさんと琢さん。似て非なる道を歩み始めた裏側にはどんな物語があったのでしょうか。

手仕事のぬくもりを感じるアートのようなプロダクト

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物心ついたときから身近にあった「木工」と「アート」

家具から個人宅の内装まで、全て一人でやってしまうという秋廣家の偉大な父・昇さん

昇さんが家具製作を生業として独立したのが1985年のこと。工場は自宅に隣接しており、毎日そこで仕事をする父の背中を見ながら、ジンさんと琢さんは育ちました。

※インスタレーション…場所や空間も作品として体験させる芸術

秋廣琢さんの作品、「ウォールズ」シリーズ。木を画材と見立てて、切ったり貼ったりした独特な雰囲気のあるアート

「何でも自分でやれ!」元請けにこだわった昇さんの教え

それぞれに自分の仕事を抱えながらも、お互いに良き相談相手のジンさん(左)と昇さん(右)

ふたりに背中を見せつつも、特に跡を継がせようといった風もなく、黙々と仕事を受けては家具や店舗、個人宅の内装などをやっていたという昇さん。下請けはせず、仕事は全て直請け。木工職人や内装業としてはめずらしいかもしれません。

一時は、ジンさんと琢さんも内装を手掛けていたそう。琢さんのアートを取り入れた木のカウンターがやわらかくも上質感を漂わせる


地元の木を使ってプロダクトをつくりたい!「jincup」の誕生

毎年バージョンアップしながら15年以上つくられてきたjincupと、琢さんが手がける鳥の彫刻「Chicchi(チッチ)」

父親を見ながら仕事を覚えてはいったものの、「いま仕事を発注してくれている人たちは親父のファン。僕らは僕らで違う仕事をつくらなきゃ」と考えていたというジンさん。

そんな中で、2007年にジンさんがお母さんへの誕生日プレゼントとしてつくったのが初代「jincup(ジンカップ)」でした。

「取っ手のあるカップで、再現性のあるものを鹿児島の木でつくりたいなと考えていて、思いついたのがあの形だったんです。外側は家具づくりの、内側は挽き物(ろくろを使った木工品)づくりの技術を使っています」とジンさん。

このjincupが、「一点物」をつくる昇さんとは違って、「再現性のあるプロダクト」という新しい方向性へ踏み出したジンさんと琢さんの一歩でもあったのです。

持ちやすい取っ手のデザイン、飲物が垂れにくい縁の形状、香りが立ちやすい形…。毎年改良を重ねながらていねいに彫られるjincupは徐々に認知度を上げ、今では1,500個出荷しても即完売という人気ぶり。アメリカや香港からもオーダーが来るようになり、まさに「幻のカップ」となりました。

jincupが軌道に乗ってからは、使う木材も地元である鹿児島の「タブノキ」に限定。反ったり捩れたりしやすいためにあまり市場では人気がない木ですが、だからこそ有効活用。木の質としては粘りがあり、小さなカップや彫刻を彫るには向いているのだそう。

購入してからも5年間自然乾燥させてからじゃないと使えないというから、その手間は大変なものです。


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