日本最古のオートキャンプ場「大野路ファミリーキャンプ場」が愛され続ける理由とは【日本一探検隊】
オートキャンプ発祥の地「大野路ファミリーキャンプ場」
日本初のオートキャンプ場は、静岡県裾野市にある「大野路ファミリーキャンプ場」。富士山麓の雄大な景色を四季を通じて楽しめる、広大なオートキャンプ場です。
- 住所:静岡県裾野市須山 2934-3
- 電話:055-998-1567
- 営業時間:9:00~19:00
- 敷地面積:35,000平方メートル(全面芝生)
- アクセス:[クルマ]東名高速道路「裾野IC」より約10分
- 料金:普通サイト/1張5,500円、AC電源サイト/1張6,300円、ソロ専用サイト/1張2,750円、トレーラーハウス/1棟10,500円、ロッジ/1棟10,500円 ※オフシーズン・ハイシーズンは料金が異なります
- 定休日:毎週火曜、水曜日
- 公式サイト:大野路ファミリーキャンプ場
キャンプ場激戦区「裾野エリア」の中でも特にアクセスが良く、最寄りの裾野ICからはクルマで10分ほど。周辺には「御殿場プレミアムアウトレット」や「富士サファリパーク」など、キャンプ前後に立ち寄れるスポットが充実しています。
大野路ファミリーキャンプ場はこの裾野の地で、どのような歴史を刻んできたのでしょうか。キャンプ場を運営する渡辺さんにお話を伺いました。
1979年から始まった44年のヒストリー
日本ファミリーキャンプ大会開催時の様子(1982年)
――なぜ大野路ファミリーキャンプ場は、日本初のオートキャンプ場になったのでしょうか?
渡辺さん:オープンしたのは1979年、日本にまだオートキャンプの文化がなかったころです。海外に根付くオートキャンプ文化を取り入れようと、「日本オートキャンプ協会(JAC)」主導で国内に土地を探していました。その過程で、富士山麓の裾野の地が選ばれ、クルマで入れる芝生のキャンプ場…日本で初めてのオートキャンプ場としてオープンしたんです。
1979年 11月 | JAC(日本オートキャンプ協会)会員のキャンプ場としてオープン ※国内初のオートキャンプ場 |
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1980年 5月 | 第10回オートキャンプ記念大会・第1回アジア大会 | 240家族/1,100人参加 |
1981年 5月 | 第11回日本ファミリーキャンプ大会 | 360家族/1,500人参加 |
1982年 5月 | 第12回日本ファミリーキャンプ大会 | 260家族(海外より14家族)/900人参加 |
1983年 5月 | 第44回FICC(国際キャンピング・キャラバニング&モーターキャラバン連盟)世界キャンプ大会 ※アジア初 |
2,800人参加(海外19カ国より400人) |
1989年 5月 | JAC創立20周年記念 第19回大会 | 277家族/1,108人参加 |
1995年 5月 | 第25回日本オートキャンプ大会 | 176家族/360人参加 |
モノクロの写真からも当時の熱気が伝わってくる
――国内外の格式あるキャンプ大会が、数多く開かれているんですね。当時はどのような様子でしたか?
渡辺さん:日本オートキャンプ協会会員キャンプ場ということもあり、大会の開催地に選ばれることが多くあったようです。
特に世界最大の国際キャンプ組織・FICC(国際キャンピング・キャラバニング&モーターキャラバン連盟)が年に一度開催する世界大会が開かれたのは、大野路ファミリーキャンプ場にとって大きな出来事でした。
私は幼少期からここで育ってきたので、1983年当時の様子も覚えていますが、世界各地からキャンパーが集い、大きく盛り上がったイベントでしたね。広い敷地内でダンスイベントが開催され、各国のキャンパーが交流を楽しむ素敵な空間だったと記憶しています。
1969年設立。当時国内ではボーイスカウトや登山の「手段」として認識されていたキャンプに対して、欧州で主流のクルマを使って楽しむ「目的」としてのキャンプを提唱した。以来、キャンプ場指定やキャンプクラブの育成、講習会の開催、指導者の育成、キャンプ情報の提供などの活動を通し、オートキャンプの普及活動を行っている。
FICC(国際キャンピング・キャラバニング&モーターキャラバン連盟)
1932年設立。32カ国、56の団体が加盟する世界最大の国際キャンプ組織。年に一度開催される「FICC世界大会」では、世界中から集まったキャンパーによる国際交流が行われる。多彩なプログラムを通して開催国の豊かな自然と文化に触れつつ、キャンプを愛する者同士が親睦を深めるまさに「平和の祭典」。
ロッジやアスレチックも。時代に合わせて続ける進化
手引きロープウェイやターザンロープが楽しめる「親子チャレンジ広場」
「気軽に楽しめるアウトドア」を提案!
――長い歴史の中で、キャンプ場はどのように変化してきたのでしょうか?
渡辺さん:はじめはシンプルなキャンプ場しかありませんでしたが、だんだんフィールドが広くなり、設備も少しずつ整っていきました。私が幼少の頃には、テニスコートがあったこともあります。サッカーブームになるとサッカーグラウンドを整備したりと、時代の変化に合わせてキャンプ場も変わってきた歴史があるんです。
今はファミリーで訪れるキャンパーが多いので、親子で遊べるアスレチックや釣り堀などを設置して、気軽に楽しめるアウトドアを提案しています。
大人も虜にする「マスの釣り堀」
増え続ける「キャンプ人口」と人気が高まる「冬キャンプ」
雪中キャンプが楽しめる年も
――訪れるキャンパーの変化は感じていますか?
渡辺さん:3~4年ほど前までは、ハイシーズン以外は予約不要で利用できる形態で営業していたので、正確な利用者数は追えていないのですが…。やはりコロナ禍は1つの転機でした。流行中は思うように営業できずかなり苦労しましたが、蜜を避けつつ楽しめるキャンプには期待が高まっていましたよね。コロナ禍を境に、キャンパーの人数も、キャンプへの熱も、目に見えて高まっているのを感じました。キャンプカルチャーの裾野が大きく広がったと思います。
渡辺さん:それと、近年は昔に比べてオフシーズンにも需要が高まっていると感じます。特にここ2年で、冬キャンプをする人がガーンと増えましたね。高性能なギアが続々と登場していることも相まって、薪ストーブや石油ストーブを持ってくる方も珍しくなくなりました。キャンプ場で年越しをしようという方も増えていて、年末年始の予約枠はすぐに埋まってしまうんです。
人気サイトは「富士山ビュー」と「トイレ周り」
ソロ専用サイト
――全面芝生の広大なフリーサイト。おすすめのスポットはありますか?
渡辺さん:場所によって、富士山の見え方や芝生のコンディションが異なります。富士山の眺望が最も良いところや、トイレの近くから埋まっていくイメージですね。また、冬キャンプではやはり電源サイトが人気です。ソロキャンプの方専用のサイトもあります。
- 普通サイト 車1台(テント1張):5,500円/定員:5人/総台数:普通車約300台
- AC電源サイト(区画制) 車1台(テント1張):6,300円/定員:5人/総台数:約12台
- ソロ専用サイト(土曜日・ハイシーズンのみ営業) 車1台(テント1張):2,750円/総台数:約15台
※オフシーズン・ハイシーズンは料金が異なります
富士山の大展望が魅力の温泉
ロッジ
渡辺さん:場内には温泉(露天風呂・展望風呂)があるので、キャンプ場から出ることなく入浴していただけます。またトレーラーハウスとロッジもご用意しているので、アウトドア初心者や小さなお子さま連れにもおすすめです。
- トレーラーハウス 1棟+車1台:10,500円/定員:5人/総台数:3棟
- ロッジ 1棟+車1台:10,500円/定員:4人/総台数:6棟
「夜明け直後」がイチオシの時間!
――大野路ファミリーキャンプ場でのおすすめの過ごし方はありますか?
渡辺さん:キャンパーさんの中には夜更かしを楽しまれる方も多いですが、ぜひ朝の時間も満喫してほしいと思っています。
寒い季節になると、富士山が一層綺麗に見えるようになるんです。早起きをすれば、日の出とともに赤く染まる富士山が目の前に。箱根方面から上ってくる朝日も絶景です。せっかく大自然の中で過ごすなら、夜に盛り上がるだけでなく、朝の美しい景色も楽しんでほしいですね。
イベント開催にもぴったり!
――40年前に世界大会が開催されたように、現在でも多くのイベントが開催されているんですよね。
渡辺さん:年間を通して、さまざまなイベントが行われています。2023年も、音楽イベントやアウトドアメーカーのイベントで盛り上がっていました。特にクルマ関係のイベントは定期的に開催されていて、キャンピングカーやクラシックカーの展示会など、毎年多くの参加者で賑わっています。
――富士山が目の前の芝生サイトですものね、イベント会場として人気なのもうなずけます。
渡辺さん:敷地の広さとロケーションも理由の1つですが、垣根などでサイトを区切って使うことができる、というのも選ばれるポイントです。フリーサイト全体を貸し切りにするのではなく、サイトの一部だけを使って…というプライベート感を確保する使い方ができます。用途に合わせてサイトを自由に使える点が好評です。
キャンプ場の歴史=キャンパーに愛されてきた歴史
――「オートキャンプ発祥の地」なのに、アピールが控えめな印象を受けました。
渡辺さん:そうですね…。実は、そこにはあまり興味がないんです(笑)。今はグランピングをはじめとして、どんどん新しいアウトドア施設が増えていますよね。「歴史がある=古い」とイメージされてしまうのではないかという心配もありまして。新しいもの志向の若い方たちに対し、「歴史がある」ことを強調する必要はないのでは、と思っています。
渡辺さん:一方で、リピーターさんが多いというのは大野路ファミリーキャンプ場の特徴でもあります。そうした方々から、「長く愛されてきた」歴史があることは、とても誇りに感じています。
キャンプ業界への想いと、これからの大野路ファミリーキャンプ場
――オートキャンプ場のパイオニアとして、今のキャンプ業界への想いを教えてください。
渡辺さん:コロナ禍のアウトドアブームを経て、昔と比較するとキャンプの裾野は大きく広がりました。それ自体はとても喜ばしいことなのですが、気軽にキャンプができるようになった分、マナーが伴っていない事例が増えているようにも感じます。「自分たちが楽しめれば良い」という周りを顧みない行動が原因で、他のお客様からの苦情が入ったりと、今までになかったような事例も耳にします。
渡辺さん:キャンプ場としても、ポスターを張ったりお願い事として紙をお渡ししたりしていますが、それがどんどん増えていくことに寂しさを感じます。みんなが気持ちよくキャンプをし、いつまでも自然を楽しめるように、業界としてマナーを啓蒙していかなくてはならないと思っています。
――今後の大野路ファミリーキャンプ場について教えてください!
渡辺さん:土日はあっという間に予約で埋まってしまうのですが、やはり平日が弱みだと感じています。平日キャンパーさんにもっと訪れていただけるように、魅力を発信したいですね。平日は土日と比較すると空いており、フリーサイトを広々と使えます。サイト内はエリアによって眺望が異なるので、ぜひ自分のお気に入りの場所を見つけてキャンプを楽しんでほしいです!
――ありがとうございました!
「日本最古のオートキャンプ場」は、「日本で一番長く愛されてきたキャンプ場」でした。大野路ファミリーキャンプ場は、キャンプという文化がこれからもずっと続くよう、未来を見つめています。みなさんも富士山麓の大自然の中で、キャンプの歴史に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。きっと、キャンプとキャンプ場が、今まで以上に愛おしいものになるはずです。
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