THINK SPORTS『アメリカの野球場』

 

◆◆球種の多様化

大谷翔平の活躍により、メジャーリーグベースボール(MLB)の中継やニュースを見るスポーツファンが増えたことだろう。そうしたなか、アメリカには個性的な野球場がたくさんあることを感じる人も多いのではないだろうか。

フェンスの高さや外野の広さは球場によってまちまちだ。左右非対称な形状の球場も珍しくない。例えば、ボストンのフェンウェイ・パークのレフトには11メートルの壁「グリーンモンスター」がそびえ立っている。サンフランシスコのオラクル・パークのライトスタンドの後ろに広がる海も有名だ。場外に飛んでくるホームランボールを狙って、船が出ている光景が頭に浮かぶ人も多いだろう。

こうした姿は、ほとんど左右対称でフェンスの高さや外野の広さもほぼそろっている、日本の野球場の整然とした装いとは対照的だ。

アメリカのベースボールは19世紀に始まったが、当時、野球場は都市化が進むなか限られたスペースに建てられたため、変則的な形にならざるを得なかった背景がある。先述のフェンウェイ・パークの場合、都市の道路や建物の都合に合わせて球場が作られた結果、左翼が極端に狭くなってしまい、その代わりに高いフェンスが設けられたというわけだ。このように、土地の形や制限に応じて各地で独自仕様の球場が誕生していったのである。

面白いのはルールの公平性や厳密性を重視するアメリカにあって、そうした球場の「大きな違い」が受け入れられているところだ。これには年間でたくさんの試合をいろんな球場でやることで、トータルでは公平性が保たれるという考えがあるのかもしれない。

また、長い歴史のなかで各球場の個性を楽しむ文化が醸成されたのもあるだろう。フェンスの形状やグラウンドの広さが、プレーや戦略に直接影響を与えるため、球場ごとに異なる試合展開が楽しめる。球場が試合に影響すること自体が観客にとって魅力になっているのだ。