THINK SPORTS『球種の多様化』

 

◆◆球種の多様化

野球の世界ではピッチャーの球種が急速に多様化している。かつては「ストレート」「カーブ」「スライダー」といった数種で済んでいたものだが、現代では変化球の数は10を超え、違いは微妙だがそれぞれ存在している。

「ストレート」は最近では「フォーシーム」と呼ばれている。同じ真っすぐ系でも握りを変えるだけで打者の手元で沈む「ツーシーム」があるため、区別するためだ。

以前は「ストレート」と「カーブ」の中間のようにイメージされていた「スライダー」も、より縦に変化するものは「縦スラ」。よい速くて変化が小さいものは「カットボール」と呼ばれているし、大谷翔平が投げる、より横に大きく曲がるものは「スイーパー」という呼び方が定着してきた。

「フォークボール」の握りを浅くし、速いスピードで鋭く落ちる球は「スプリット」と区別して呼ばれている。このようにピッチャーの球種は実に多様化しているのだ。

球種多様化の理由のひとつは、データ分析の進歩だろう。球の回転数や回転軸、変化量といったものが数値化され、投手が科学的に球種を細かく改良することが可能になった。また、バッター側の対応力も進化してきているから、投手は複数の変化球を駆使し、同じフォームから違う球種を投げるような工夫で、バッターを上回ろうとする結果でもある。

これによって観戦者の楽しみもより深くなってきている。同じフォームから違うスピードのボール投げる。種類の違うスライダーを投げ分けてバッターを打ち取る。そうしたピッチャーとバッターの複雑かつ奥深い駆け引きが見られるからだ。今後、球種にどのような進化が見られていくのか、楽しみである。