最高の一瞬 『前橋育英 PK戦』

 

 

第103回全国高校サッカー選手権大会の決勝戦は、前橋育英と流通経済大柏が対戦し、延長戦を戦っても決着せず、PK対決にまでもつれ込むものすごい一戦となりました。

延長戦が終了すると前橋育英のキャプテン石井陽がキャプテンマークをゴールキーパーの藤原優希に託しました。

私はPK戦が行われるサイドのカメラエリアに移動し、ゴールキーパーを狙うことにしました。ゴールキーパーがPKを止めれば決定的なシーンとなり、歓喜に沸く状況が撮れるからです。

カメラはキヤノンEOS R3を使用し、試合では秒間15コマ連写の設定で撮っていましたが、ここはゴールキーパーがシュートを止める瞬間を撮るために秒間30コマ連写の設定にしてゴールキーパーの動きを追いました。

両校とも5人全員が決めてサドンデスへ入ります。キッカーが蹴る態勢に入ると、国立競技場に駆け付けた58347人の観客はその一瞬を食い入るように見つめてシーンとなりました。

10人目のキッカーに入り、先攻の流通経済大柏のシュートを藤原が2度目のセーブに成功。その瞬間、国立競技場は大歓声に包まれて鳥肌が立つほどでした。すぐに撮影画像を確認すると、藤原がボールをしっかり止めるシーンが記録されていて狙い通りでした。

前橋育英10人目のキッカーは前半に同点ゴールを決めた13番、柴野快仁でした。これをきっちり決めて、前橋育英が7大会ぶり2度目の優勝を勝ち取りました。

 

 

 

▼高橋 学(たかはし・まなぶ)

1975年、福島県福島市生まれ。東京ビジュアルアーツ写真学科でスポーツフォトを専攻。1996年より(有)ジャパンスポーツで実績を重ねてフリーランスに。現在はサッカー、フットサル、陸上、フィギュアスケートなど様々なスポーツを取材している。

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