
THINK SPORTS『ポストシーズン』
今シーズンの野球界は、日本からの視点で見るとポストシーズンが非常に注目された。
アメリカでは大谷翔平や山本由伸が所属するロサンゼルス・ドジャースがワールドシリーズを制覇。日本ではセ・リーグ3位の横浜DeNAベイスターズが、クライマックスシリーズで2位阪神タイガース、1位読売巨人軍に勝利。パ・リーグ1位の福岡ソフトバンクホークスとの日本シリーズも制し、いわゆる下剋上の日本一を勝ち取って盛り上がった。
一連の模様はテレビの地上波でも放送されて、普段は野球を見ない多くのスポーツファンにも届き、そのスポーツの魅力を伝えたと思われる。
スポーツにはこのように、長いリーグ戦などのレギュラーシーズンの後に、ポストシーズンがあると注目されやすい。
短期間で優勝が決まるので、レギュラーシーズンに比べてより多くの人の注目が集まり、興味も続いてくれるメリットがある。試合やプレーを伝えるメディアにとっても、短期決戦は取り上げやすい面がある。
一方、プレーする側にとっては、せっかく長いリーグを戦ったのに、それとは別のシーズン最後の短期決戦で優勝が決まる点に引っかかりがある。プレーする当事者にとって圧倒的に価値があるのは、試行錯誤と努力を継続させながら頂点に立つ、長期間で行われるリーグ戦のほうだからだ。何試合も行った上にいちばん力のある者が1位になるわけだから当然だろう。
サッカーのJリーグは、シーズンを前後期に分け、それぞれの優勝チームがシーズンラストに戦うチャンピオンシップを行っていた時期があったが、結局根づかなかった。しかし、レギュラーシーズン後の上位リーグへ昇格するチームを決めるプレーオフは、毎年結構な盛り上がりを見せている。
野球はポストシーズンが根づいている。しかし、今年のようにセ・リーグ3位の横浜DeNAベイスターズが日本一になったりすると、リーグ戦の価値という点でポストシーズンの進め方に反対意見が出てくるケースが多い。
ポストシーズンは観る側にとってはとても面白い。しかし、リーグ戦とその後のポストシーズンで、観る人、やる人の価値観の正しい認識や共有は今後の課題になるだろう。
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