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まだ知られてないBリーグの裏側…教師から社長に転身した阿久澤毅の「ホンネとリアル」

新しいアリーナができて「生まれた変化」

―都市部と郊外では、客層や観客の方に求められることが違うとすごく感じます。車社会というのは大事なテーマだと考えさせられますね。そこから、今回の取材場所でもある素晴らしいアリーナが作られました。何か変化を感じますか?

大いに感じます。新アリーナの最大の特徴は、民間・行政・スポーツが三位一体となって作り出した地域共創型施設であること。試合当日は、会場周辺でマルシェや音楽イベントを開催するなど、試合だけではない楽しみを地域の方々に提供しています。

アリーナには、日本最大級の可動式ビジョンがセンターから吊るされていて、世界最高峰の音響システムによるサウンドと劇場型ライティングにより、非常に臨場感溢れる観戦体験をしていただけます。お客様も選手も、会場に足を一歩踏み入れた瞬間から、みんな嬉しそうな顔をしてくれるんです。

―僕もNBAに来たんじゃないかと錯覚しました。ただ、思ったよりコンパクトだなという印象もあります。

そうなんですよ。5000人収容とかなりコンパクトです。もちろん予算もありますが、この地方都市で例えば1万人を超える規模のアリーナを作った場合、日常的にすべての席を埋めるのは相当大変だろうなと。ですから、「スモールアリーナ、ビッグビジョン」をコンセプトに、5000人を常に満席にしようということを目標に掲げています。

―選手も、群馬に行きたいなってなりますね。

ぜひそう思っていただきたいです。最新設備を整え、ロッカールームも良くなりました。働く環境を改善することで、選手のクオリティは当然上がりますし、ゲームに対する集中力や意欲も高まると思うんです。そうした大事な整備をすることができて、本当に安心しています。

―いろいろなアリーナを見ましたが、これだけ圧倒される空間はいいなぁと思います。

今後も続々と新しいアリーナができますよね。リーグをあげて会場整備の方向性を作ったことは立派だと思います。

社長就任後、最も大変だったこと

―就任されてから今まで、一番大変だったエピソードを教えてください。

コロナ禍ですね。転職しようと決意した2020年1月末に新型コロナが騒がれ始めて、感染拡大防止のため3月にリーグ戦が中止になりました。ちょうど、高崎アリーナでのゲームをビックイベントにしようということで、グッズをたくさん用意していたんです。

実は社長就任前の4月から入社させていただいており、当時事務所の倉庫を見たのですが、グッズの山ができていました。しかも、その試合のために作ったものなので安易に販売できず、在庫を減らすのに大変だったと思います。

試合は中止になりましたが、広場での『OTAマルシェ』は開催したんです。子ども向けに普段は降りられないコートで練習できるというイベントも開催し、5000人もの方に来ていただいて好評でした。すごく市長に褒められたんですよ、冗談で「サンダーズ要らないね」って(笑)。

―それも含めてチームですよね。

そうなんですよ。だから、マルシェの重要性というのは、その時に気づきましたね。試合がなくても楽しめるのだから、試合があったら尚更です。

―阿久澤社長も地元が群馬とのことで、訪問する先々で教え子や知人の方々に声をかけられるそうですね。市役所では、歓迎されるようだったと広報さんからお聞きしました。

はい、群馬で生まれました。地元の人達と接する機会が多く、さまざまなご意見をいただくのですが、お会いする方が知り合いだったというケースは多いですね。

高校教師の頃、最初に赴任したのが偶然にも太田だったんです。当時の高校生達が、この30数年間で部長に昇進したり、会社の経営者になっていたり、経済団体の中枢部にいたりするんですね。今は、その方々に助けていただいています。

スポーツ業界で働くうえで「心がけたこと」

―そのようなことは想定していなかったですよね。同じように、業界に入って想像と全く違っていたことはありますか?

未知の世界ですから、あまり考えてはいませんでしたね。ですから全てにおいて、「毎日、勉強」ということを心がけていました。

例えば、人との接し方です。私は30数年間、子ども達と接していましたが、全く逆になるわけです。会社を経営されていたり、パートナーさんであったり、ファンクラブの方であったり、ほとんど全員が大人になります。

そういった方々と私はどのように関われば、チームを応援してもらえるか。それを常に考えながら、失礼のないように話すことを意識しました。

―就任されてから、チームはB2からB1に昇格し、そしてアリーナができて、順調にステップアップされていると思います。今後、どんなチームにしていきたいですか?

まずは、バスケットボールで結果を出すことがいちばんです。それと同時に、応援していて楽しい気持ちになれるようなチームにしたいですね。その大事なもののひとつが、このアリーナだと思っています。今季は、チャンピオンシップ(CS)まで行きたいですね。

※コメントは2023年7月27日時点/2023-24シーズンの結果は東地区4位

―今後の群馬クレインサンダーズの飛躍を期待しています!本日はありがとうございました。

AZrena公式YouTubeでインタビュー動画を公開中!

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