コロナ禍でゴルフが人気急上昇。その理由は「三密回避」ではない!?
当たり前のように使われる「コロナ禍でゴルフが人気急上昇」というフレーズ。三密が避けられるというのが主な理由とされているが、それで済ませてしまうのは少々短絡的ではないかというのは雑誌ALBA(アルバトロス・ビュー、隔週刊)の園山隆文編集長。もう少し掘り下げると、本当の理由が見えてくる!?
経済産業省によると、2021年のゴルフ場入場者数は1000万人を超えたとのこと(特定サービス産業動態統計)。これはコロナ禍以前の2019年と比較すると27.9%という大幅増となっています。また矢野経済研究所の調査では、新規参入ゴルファーと休眠復活ゴルファーは合計で60万人を超えたとのデータもあります。とりわけ20代、30代といった若い層の増加が明らかに目立っているというのが実情です。
この活況は、おそらく既存のゴルファーであれば少なからず感じていることでしょう。平日でもゴルフ場は予約で埋まり、いざプレーをするとホール間での待ちは珍しくない。休日の練習場は日中であればまず満員ですぐに打席には入れない。私も、毎週必ず練習場に通っていたものの、あまりの混雑ぶりに足が遠のいている現状です。ゴルフが人気になり、ゴルフ業界の人間として嬉しいのは当たり前ですが、いちゴルファーという視点で言うと、嬉しくもあり、そうでもないと感じることもあり。なんだか複雑な心境です。
そして、やはり若い層がグループで練習場に来ているのが特筆すべきポイントだと感じています。スマホでお互いにスイング動画を撮影し合ったり、SNSに映え写真をアップするなど、ひと昔前では考えられなかったのが、いまはごく普通の光景です。
◆女性が増えれば、男性も増える
そういった若い層を取り込もうと、ゴルフ場も力を入れています。女性用のパウダールームの新設、女性向けのレストランメニューの追加、やっつけだったレディスティの位置の再考、クラブハウス自体のリノベーション等々。とりわけ女性に目を向けた施策が目立つ印象です。
つい先日、ALBAの兄妹誌であるレジーナがゴルフ場を貸し切って開催したレジーナオープンは女性ばかり約200名にご参加いただきました。中にはフォロワー数万人を誇るインスタグラマーも。こと芸能界でも鷲見玲奈さん、小島瑠璃子さん、ダレノガレ明美さんを始め、「ゴルフを始めた!」「ゴルフにハマった!」という方がとても目立ちます。勘所のいい方なら、おわかりでしょう。女性が増えれば、男性も増える。これは世の常で、マーケディングの常識。ゴルフ場はそこを狙っているのです。
◆ゴルフは人とつながれる。キーワードは「集団欲」
では、なぜそういった発信力のある若い層がゴルフにはまるのか。冒頭に挙げた三密回避やゴルフ場の施策も理由ではありますが、自分は「人とのつながり」にあると感じています。コロナ禍になり、社会人であればリモートワーク、学生であればリモート授業が増え、明らかに人とのつながりは減少しました。第一生命の調査によると8割以上の人が「家族以外の人に会う」ことを自粛しているそうです。
そう、ゴルフは人とつながれるのです。ほぼまる一日、4人で時間を共有できるのは当たり前。青い空、白い雲、緑の芝、そして日常では着ない派手な(!?)ゴルフウエアなど、前述したインスタグラマーは映える写真を撮り放題。そしてSNSで人とつながる。その楽しみを知った若者がゴルフに集い、楽しむ。良い時代です。
人間の三大欲求といえば、食欲・性欲・睡眠欲という説が日本では主流ですが、睡眠欲ではなく、集団欲という説もあるのをご存じでしょうか。「集団の中にいたい」という欲のこと。それだけ人間は人とのつながりを欲する生き物なのです。
先輩たちからすると、マナーや立ち居振る舞いがときには目障りなこともあるでしょうが、これからのゴルフ界を支えていくのは、この若者たちです。「最近の若者は~」と価値観を押し付けず、認め合っていくのが大事と感じます。それに、若い子と話が合うのはゴルフくらいしかない諸先輩方も多いのでは? かくいう自分も、今月末、仕事先の25歳とラウンドの予定があります。彼はラウンド2回目とのこと。とにかく「楽しむ」を最優先にしつつ、どんな会話ができるのか、どんな一日になるのか、今からワクワクしています。
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