遠山健太が挑む、トレーナーの育成と地位向上。

スポーツを通して豊かな未来を

-ここからは遠山さんご自身について伺っていきます。オフの日は何をして過ごしますか。

私は海外生活が長かったので日本の文化に触れるため、散歩で寺社周りをすることが大好きです。昔は「とお散歩」というブログを書いていたほど、歩いてどこかに行くことが好きなんです。出張で地方に行った時にはつい立ち寄りたくなるような社をチェックします。御朱印帳もいつも持ち歩いていて、今使っているもので3冊目になります。これで商談が成立したこともあるんですよ!先方の担当の方も寺社周りが好きで、御朱印帳を見せたら話が盛り上がり、取引することになりました(笑)

あとは食べ歩きです。「孤独のグルメ」という番組を見てから、食の時間を大事にするようになりました。有名店に入るのではなく、雰囲気のあるお店に入ります。そういうことをするようになってからよくあるようなチェーン店には入らなくなりましたね。

-もしトレーナーの道を選んでいなかったら、何をしていたと思いますか。

どのようなビジネスかは分かりませんが、会社の経営はしていたと思います。父が会社をやっていたのを見ていましたから。父としては会社を継がせたいという気持ちもあったようです。ただ、僕にはまだゴルファーの夢もあったので、両親にそこまで強く言われることはありませんでしたね。

でもいつか僕の7歳の息子も経営している父の姿をみて同じように経営者になりたいと思ってくれればそれはそれで嬉しいと思います。

-ゴルファーの道を諦めた時のお父様の反応はいかがでしたか。

応援してくれていましたが、怪我なら仕方ないと言っていました。ただ、台湾大地震の時に一時帰国していた日本から父親の様子を見に行った際に、たまたま一緒にラウンドする機会があって、僕がすごくうまくなっていたことを喜んでいたので、ゴルフ選手として親孝行にはなったとは感じています。今はトレーナーや経営者としてテレビなどのメディアに取り上げて頂く機会も増えており、それを見て喜んでくれているのでよかったと思っています。

-座右の銘をお持ちでしたら、教えてください。

「自由(フリースタイル)」です。うちの社訓にもなっています。型にはまらない、自分の考えをそのまま取り入れています。オンとオフの切り替えをしっかりして、メリハリを付けて仕事をするためには「自由」ということの重要性を知っておく必要があります。だからうちに若干堅いトレーナーが入ってきた時にはメンバーがみんなで柔らかくします(笑)私が“フリースタイル”スキーチームに関わっているのも何かの縁だったのかもしれませんね。

-遠山さんご自身の魅力はどのようなところにありますか。

良い意味でお節介、世話焼きだと言われます。自分が人に助けられて生きてきたので、困っている人を放っておけないんです。経営者として攻めきれない時もありますが、それはそれでいいと思っています。

でも僕自身はあまり話す方ではありません。会社で懇親会などがあっても、そういう場の雰囲気は好きですが、基本的に黙っています。だから第一印象はあまり話さないので怖い、無口と言われることは多いですね。

-それは意識的にやっているのでしょうか。

自分が話すことよりも、相手の話を聞くことの方が大切です。なので、相手に話させるように持っていきます。現場に行った時も黙って後ろで見ていることがほとんどです。

現場での施術の指導に関しても私がやるのではなく、基本的にはまずやらせます。だから新人はやってみるように言われると驚きますね。しかも当日までやることは教えません。一方で慣れている人はやらされることを分かっているので、ある程度予測して準備をしてきます。それを見て、若手は勉強していくということです。でも優しい先輩であれば、何をするか教えてくれる場合もあるようです(笑)

-先輩の姿を見て、自分なりに考え、行動していくようになるということですね。

トレーナーは思考の瞬発力がとにかく重要です。現場に行ったら何が起こるか分かりませんし、トレーニング環境が整っていない施設かもしれないわけです。その状況で自分がどう行動しなければならないのか、瞬時に判断する能力が問われています。うちにはインターンも数人いますが、現場に来たら彼らにも必ず何かさせます。

せっかく現場に来たのに何もしないというのはもったいないです。見ることももちろん勉強ですが、実際にやらないと分からないこともたくさんあります。

-分からないなりにも挑戦してみることが大切なんですね。

そこでパニックになって何もできなかったら、後で反省会をして自分で直させます。

-息子さんにやってほしいスポーツなどはありますか。

僕の持論ですが、専門種目は中学生以降になってから選べばいいと思っています。理想は高校生までは部活に所属せず、助っ人として様々な部に週末になると駆り出されるような存在になったらいいですね(笑)

今はいろいろな競技・種目を極力生で、できなければテレビで観戦させています。

-でも習い事に誘われることもありそうです。

本人の意見は尊重しますが、なるべく断ろうと思っています。その競技が本人に合うかも分からない段階でルールに縛られて、プレーをするというのは違うと感じているからです。ちなみに私の息子は両投両打が可能です。蹴るのも左右蹴ることができます。これは僕がやらせたわけではなく、本人がやりたくなるような流れを作ってあげました。

-具体的にはどういった形で流れをつくったのでしょうか。

息子も私に負けず劣らずの阪神ファンなので、選手の真似をしながら、左打者に左投手だと打ちにくいといった情報をさりげなく教えます。そうすると勝負で勝つために左で打ってみようとするわけです。他にも阪神の投手の様々なフォームを見せて、その投げ方にはどういったメリットがあるのか、を話したりします。最近はアンダースローにハマっています。

-うまく誘導していますね(笑)

命令するのではなく、自らやってみたいと思わせることで、左右均等にできるようになってもらいたいです。

私としては自分が情熱を傾けられる競技であれば、どれをやってもらっても構いません。ただ中学生までは専門的にやらないでほしいということです。

-中学生から本格的に始めたとしてもまだ取り返せるチャンスはありますよね。

実際に中学や高校から野球を始めて、大学でドラフトにかかったプロ野球選手もいます。そしてルーキーイヤーにプロで1勝を挙げている投手もいます。約10年で競技のトップレベルまで登り詰めることができるのであれば、そこまで焦る必要はないということです。

うちの息子の場合、スポーツに触れることで何事にも意欲的になっているので、それはいいことですね。その下の妹は兄のその姿を見ているので、さらに能力は高いと思います。まず、右投げの息子を相手にすると対面する娘からは左に見えるので、初めから左投げになりました。それもフォームが非常にきれいなので、投げの専門家に映像を見せたところ、完璧だというお墨付きを頂いたので、将来が楽しみです(笑)

-最後に読者の方へメッセージをお願いします。

「Promising your future through sports.(スポーツを通して豊かな未来を約束する)」を我々は指導の際の合い言葉にしています。人それぞれ目的は違っていても体を動かすことで明るい未来が待っていることは間違いないです。競技になれば勝敗は付きますが、楽しいものであることには変わりありません。皆さんもぜひいろいろなスポーツに挑戦してみてください!

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