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キーワードは“熱さ”と“冷静さ”。背番号10が語る関東第一高校躍進のカギ

昨年の全国大会ではベスト4進出の快挙

「まだまだです」 — 関東第一高校の10番を背負うMF冨山大輔は、完封勝利にも謙虚な言葉を並べた。

26日に行われたT1リーグ(東京都1部リーグ)第9節、関東第一高校はアウェーで東久留米総合高校と対戦。前半に挙げた1点を守り切り、3試合ぶりの白星を手にした。

序盤は一進一退の攻防が続いたが、14分にMF堤優太がディフェンスラインを高く保つ相手の裏を付くと、FW篠原友哉にラストパス。これを篠原がワンタッチでゴールに沈め、先制に成功した。その後は何度か訪れたセットプレーのピンチを耐えしのぎ、前半を1点リードで終える。迎えた後半はゴールこそ奪えなかったものの終始ペースを握り、力の差を見せつけた。

リーグ戦では久々の勝利となったが、試合後、ボランチでフル出場した冨山は勝利の余韻に浸ることなく「細かいところの精度がまだまだ低いので、そういうところを合わせていかないと、もっと強いチームと当たった時に勝てないと思います」と、更に上のステージを見据えていた。

冨山大輔

関東第一高校の10番を背負う冨山大輔

関東第一高校は、高校サッカー選手権では全国大会への出場経験がないものの、インターハイでは東京都予選2連覇を達成。昨年は同大会で全国ベスト4に進出する偉業を成し遂げた。

一方で、同年にT1リーグを制覇して(※)プリンスリーグ関東参入戦にも出場したが、栃木の矢板中央高校に1-2と敗れ、惜しくも昇格を逃した。昨年を振り返り、冨山は「インターハイでベスト4に入れたのは良かったんですが、その後のプリンスリーグ関東参入戦に敗れたことで、もっとやらないといけないとチーム全体で感じました」と、悔しさをにじませている。

※プリンスリーグ関東・・・関東地方1都7県の高校・ユースチームが参加するリーグ戦。T1リーグの1つ上のカテゴリーに当たる。

関東第一高校

心は熱く、頭は冷静に

とはいえ、インターハイで全国ベスト4を経験し、今年も強豪ひしめく東京都予選を突破したことで、全国クラスの強豪校に仲間入りしたといっても過言ではない。その要因を、昨年の全国大会に出場した冨山はこう語った。

「僕たちの強みは、気持ちを強く持っている中で、頭では冷静に物事を考えていることです。昨年の高校総体でも、じれずに我慢できたところが大きかったと思います」

心は熱く、頭は冷静に — これが関東第一高校の掲げるテーマだという。

東久留米総合高校戦でも、そのテーマに沿った場面は随所に見られた。守備では球際で厳しく闘う一方で、主将のDF鈴木友也を中心にポジションの微修正も怠らず、相手に隙を見せないサッカーを披露している。コーチングに耳を傾けても、味方のミスに時折感情的な態度を表すシーンも見られたが、それ以上に建設的な指示を送っている姿が印象的だった。

熱さと冷静さを見せるのは、選手だけではない。チームを率いる小野貴裕監督からは、試合中は熱血的な指示が飛ぶシーンが見られたが、ハーフタイムにはクリップボードを用いて入念な指揮が行われていた。冨山が小野監督について「プレー面では守り方やビルドアップの仕方など、細かく指導されます」と語ったように、熱い指導の中にも冷静な分析があった。

小野貴裕氏

関東第一高校を率いる小野貴裕監督

また、この日は厳しい暑さにも関わらず、関東第一高校を応援する多くのギャラリーが会場へ足を運び、選手をサポート。体を張ったプレーには拍手を送り、イレブンを鼓舞するなど、ピッチだけでなくスタンドも熱さを見せていた。

昨年成し得なかったプリンスリーグ関東参入、そしてインターハイでは全国大会のファイナリストへ。“熱さ”と“冷静さ”の両刀を武器に、関東第一高校が全国にその名を轟かせる。

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