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MARS CAMP仲島修平が考える、スポーツ業界で生きるための「3つの心得」

人手不足を痛感。認識した業界に求められている人材の育成の必要性。

当時、僕らの会社は3人しかいませんでした。当然それでは人手が足りない。まだまだ成し遂げたいことがたくさんあるのですから。

中で仕事をしてみて、こういった状態は僕らのみならず一緒に仕事をする業界内企業も同じだということに気づき、成し遂げたいことを実現するためにはもっとスポーツ業界に優秀な人材が集まってこないといけないと痛感しました。

それで僕は元々採用活動全般をプロデュースするのが得意だったこともあって、スポーツに特化した転職サポートを始めることにしました。

ただ、いい人がいてもいい労働条件を提示できないことも多いんです。これは採用する側とされる側、どちらが悪いという話でもないので、両者の間での落とし所を探っていくわけですが、なかなかうまくいかない。

企業規模として中小の企業も多い業界なので、正直こうなることは予測できていました。やはり優秀な人がスポーツ業界に入ってくる仕組みをつくりつつ、業界について理解していて、採用する側が「欲しい」と思う人材を育成する必要がある、と。

ということでスポーツ業界の最前線で活躍中の方々にご協力頂きながら、スポーツ業界の人事事情を1番把握している僕らがコミュニティをつくっていこう、ということで始めたのがMARS CAMPです。

MARS CAMP業界人のゲストの講義に耳を傾けるMARS CAMP受講生達

僕らだけでは当然できない部分も多くあるので、様々な業界人の方にご協力頂きながら、「スポーツ業界で活躍する人材」を脈々と輩出、継承され続けていくような場というか、空間というか…コミュニティを作ったということですね。

スポーツ業界は慢性的な人手不足なので、どこも人を雇いたい気持ちはあります。でも採用の多くは緊急度が高く、人が来ても求めている人材与件に満たないという悩みを抱えています。その状態では求人があったとしてもいつまで経っても業界側は求める人材と出会うことはできません。

よってスポーツ業界内の企業には喫緊の採用計画以外の活動ができるようサポートを行い、スポーツ業界に行きたいという人を業界で活躍できる状態にまで育成していく必要性があります。

仲嶋修平氏

スポーツ業界を目指す上で求められる、絶対的かつ根本的な考え方。

スポーツ業界の根本の課題は、しっかりと収益を上げられる仕組みを作っていくことにあります。

これまでスポーツはビジネスではなく、企業の広告宣伝や福利厚生などの“コスト”の要素が強かった。それ自体が悪いということではないものの、今後スポーツビジネスを加速させるには収益化しながら、社会に提供できることを増やしていく意識を業界全体で持ち、行動に移していかねばなりません。スポーツの価値を提供する先はあくまで社会にあり、そのニーズに合わせた方法を取っていく必要があります。

しかし、今“スポーツ業界に行きたい”と言っている人の10人中9人はその感覚がありません。こういう人は「自分」と「スポーツ」という二者間の関わりでしか満たされるものはなく、お金を払ってスポーツを消費する“ユーザー”でしかないです。二者間での関わりで満たされてしまう人はそれを仕事としてお金をもらってはいけないわけで、あくまで払う側ということになります。

もしスポーツを仕事にするならば、根本の部分として「自分」と「スポーツ」とさらに「その先の登場人物」にまで考えを広げていなければなりません。しかし、残念ながら驚くほどこの考えを持った人は少ないです。そして考え方が変わらない限り、アクションも変わることはありません。

反面、人を虜にするという意味ではスポーツはものすごい力を持っていると改めて感じますけどね。

スポーツは音楽とも近いと思うのですが、個人がそれから受けた影響力がとてつもなく大きいですよね。だからキャリアを選ぶ時も「スポーツで」となるわけです。人生の豊かさを追求したいと考えるのが人間です。しかし、仕事にするのであれば自分も満たされ、自分が関わったその先の人が満たされる。もっと広い視点で、スポーツの影響力を社会に対して最大化していくということを考えない限りは趣味で終わってしまいます。

仲嶋修平氏

「情報」「経験」「接点」を“AND”で持つことが不可欠。

スポーツを仕事にするために必要な要素としては大きく分けて3つあります。

1つ目は「情報」。まずはインプットをして、その中で選んだ自分の選択肢に対して確固たる動機付けをするためです。やりたいことを見つけたら、今度はそれにおけるクライアントに対して、どんな価値を提供できるのか、提供すべきかを考えます。

ここで多いのが、自分の興味のある範疇でしか学ぼうとしない人。自分が興味のあるサッカーのインターンしかやらない、球団の広報になりたいから、野球についてしか関心がない。好きは自身を突き動かすエンジンになるので良いことですが、活躍するということを考えると、パートナーやクライアントを理解しなければいけない。

例えばスポーツチームの仕事は人気ですが、チームに行きたい場合。チームは予算投下をしてくれているスポンサー側の実態を知り、抱えている問題を解決できる人材が欲しかったりするわけですが、その視点を持ってインプットをしていなければ求められている人材にはなりません。

業界に入れた人でもそのことに後から気付く人は結構います。実際にクライアントの顔が見える立場になったからですね。だからもう一回MARS CAMPを受講しに来る業界人も多くいます。

しかし、そもそもそこに気付けない“二者間での対話”で終わる人が多い。自分がスポーツを通して社会に与える影響力を考えたら、本当はそうはならないはずです。

2つ目は「経験」。学生であればインターン、社会人であればそれまでの実績・経験ということになります。自分が“やりたいこと”と“できること”が重なる領域を増やしていくということです。

そして3つ目は「接点」。公開求人も増えてきてはいますが、まだ別のところでの繋がりで採用が決まることが多いです。例えば僕らが行っているMARS CAMPでは講座の後に行われるその日の講師の方との交流会はまさにその「接点」の場であり、実際講師として来てくださった企業にCAMP生の採用が決まっていくことが多いのもそういった機会があるからです。

でも交流会に来る人が予想よりも少ない(笑)。これ以上のチャンスはないはずなのに…そう捉えられる嗅覚を持った人が少ないのと、一歩前に進み続けるアクションに、もっとパンチ力がほしいですね。

これら3つ全てがワンストップ、つまり“AND”で行われることが重要なのですが、それを分かっている人が果たしてどれだけいるのか。これはうちの受講生に限った話ではありません。

逆に業界に行っている人を見ると、どこの場に行っても居て、その中で意思表示をし、会う度に進捗が変わっています。スポーツ業界に行きたい、でも求人が少ない…では何をすべきなのか?そこまで考えたらすべき行動は分かるはずなので、その先はもう僕らも何も言いません。

どうすべきかを伝えることは簡単です。しかし、厳しいことを言うようですが、言わないと気付けない人が未成熟なスポーツ業界に入っても、その産業を更に前に推し進めることはできない。自分自身でインプットして、視点を高めた状態で体感して、自身の体感値からアウトプットするというステップをしっかり踏んできてほしいんです。なので、業界内の皆さんからもそこについては甘やかしすぎないように言われています(笑)

MARS CAMP座学、インターン、交流会という3つのアクションこそが業界への道を拓くことになる。

僕らはただスポーツ界に人材を入れるのではなく、スポーツという産業がより社会に与える影響力を高める状態をつくることがミッションであり、そういった人がもっと増え続け、切磋琢磨し続けるコミュニティをつくっているんです。だから甘やかしはNGということですね。

自身のキャリアの振り返りと今後の目標

もし今のようにスポーツに関われていなかったとしても、そこで活躍できるようになるために、自分の影響力を大きくするような仕事をし続けていたと思いますね。スポーツは僕の中で絶対的にブレない軸でもありますし、スポーツ業界に迷惑をかけるような状態で行こうとは全く思っていませんでした。スポーツの価値を社会に還元すると言っている人間が、還元されている立場にあってはいけないと考えていましたから。

また、スポーツ業界はその人で成り立っている、属人的で職人気質なところもあります。でもそれだと事業としてはスケールしていかない。スケールさせるためには標準化して、組織として全体的な総合力も上げながら新たなことにチャレンジしなければいけないわけで、その過程は決して簡単ではなく、苦しみます(笑)でも、特にこの業界においては今までにやってないことも多くあるので、絶対に必要なことだと考えます。

極論ですが、スポーツ団体は優勝を目指すと言っても、売上2倍を目指しますとは言いませんよね。でも一般的な企業は事業計画を立てて、売上を伸ばしていくことを考えています。スポーツの産業をより大きくしていくために、スポーツで社会にできることを分かりやすく増やしたい。社会側の問題をスポーツで解決できる事象を1つでも多く、大きい影響力をもって解決していくことがこれまでの、そしてこれからの目標です。

もちろん今までスポーツ業界で実現できたことはたくさんあります。でもそれに甘んじることなく、「社会は今スポーツ界でやっていることで果たして満たされているのか?」ということを常に自問自答し、形にしていく必要があります。それを業界全体でスピード感を持ってやっていかなければならないと強く思います。

仲嶋修平氏

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