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ドラフト注目、國學院・久保田昌也。女手一つで育てた母への感謝を忘れない

大学野球界で最高峰のリーグと言われているのが東都大学リーグだ。「戦国東都」の異名をもつほど、どのチームも力が拮抗し、毎年熾烈な争いが繰り広げられている。さらに近年では東京六大学リーグに匹敵するほど、多くのプロ野球選手を輩出しており、今年も東都大学リーグから多くのプロ選手が生まれることが予想される。小中高、そして大学でも主将をつとめ、4番としてもチームを引っ張るこの男もその1人だ。

10月20日に行われるプロ野球ドラフト会議で、注目を集める選手の1人が國學院大の久保田昌也。コンディションはすでに万全の様子で「楽しみな部分がありますが、不安の方がまだ大きい。確実に取られるという保証はないので、そこは不安な気持ちがあるんですけど、チームとしてはまだリーグ戦が続いていて、優勝争いを行なっているので、そこにしっかり気持ちを置いてやりたいなという思いがあります」と、ドラフトへの不安を口にしながらも、今はリーグ戦に集中。「最後の最後に優勝して終わりたい」と、気持ちはぶれていない。

指名されるイメージについては「常に持っているというか。『絶対に俺は指名される!』という気持ちだけは持ってやっている。そこだけは弱気にならずに、自分の気持ちだけでもしっかり指名されると思いながらやっています」と強い思いを示した。

久保田昌也

母親がいたから自分はここまでやってこられた

野球を始めたきっかけはいとこから受けた影響による。「すごく好きないとこが野球をしていたから始めたんです。元々バットを持った時に、右打ちだったのですけど、そのいとこが左打ちだったので真似をしました。中学も同じクラブチームに入りました。高校は違うんですけど、全て真似していましたね(笑)」 現在、そのいとこは柔道整復師として活動をしており、久保田が帰省をするたびに体のケアをしてもらっているようだ。「夢ではないですけど『もしお前がプロ野球になったら俺をトレーナーで雇ってくれ』と言われていて」と仲睦まじいエピソードも聞かせてくれた。

久保田は両親が小学生の時に離婚をしており、母、姉、弟の3人で暮らしてきた。しかし父親とはその後も会っており「結構な確率でご飯に行ったりとか、交流は常にあって今でも会ったり、お小遣いもくれたりする」というほど仲がいい。弟も野球をしており、同じ平安高校で春の甲子園にも出場を果たし、来年の春には國學院大に入学をする。兄と同じ道を辿って来ているが、実力の方は「まだまだですよ(笑)」と辛口評価だった。

久保田昌也

日頃から何事に対しても“感謝の気持ち”を忘れない久保田だが、中学生の時は母親と衝突したこともあったそうで「母親の言うことが理解できずに、反抗してしまったとかはありました」と話す。しかし、大学に入り、母親のありがたさに気づいたという。「高校の時も実家から通っていて、大学から寮に入って、その寮に入った瞬間に母親のしんどさというか…。中高は母親に甘えて、自分のユニフォームとか、手洗いで洗ってもらった。それをこっち(寮)に入ったら、自分で手洗いして、干して、と。色々やっている中で『こんな辛いこと母は毎日やってくれていたのか』と思ったら、すごい感謝の気持ちが出てきました。大学に入って初めて感じました。母親というでかい存在がいたから、自分はここまでやってこられたんだなと」

久保田昌也

高校時代に叩き込まれたのは野球の技術よりも、”人間性”

龍谷大平安高校では、2度、夏の甲子園出場を経験。「2年生の夏は3番を打たせてもらったんですけど、やっぱり先輩に連れて行ってもらったというか。先輩の力があったから、僕たちは思い切ってやれて、出られたというのがあった。だからこそ3年生の時に、『次は僕たちの力でしっかり出よう』という思いがあったので、3年生のときは違った意味合いがありましたね」。さらにそこでの思い出は「すごかったですね、そこを目指してやっていたので。甲子園はよく筒状と言われていて、グラウンドに入ったら屋根が自分のここら辺(頭)まであるイメージなんですよ。もう包まれているというか。それがすごく感じられた。最初は入った瞬間圧倒されて、『これが甲子園か!』と思った」と大舞台での思い出を興奮気味に語ってくれた。

久保田は高校時代、実力以外の面で教わったものが大きいという。挨拶、コミュニケーション能力など人間性の部分を強く教えられ、いくら実力が高かったとしても、そういった根本の部分ができなければ試合に絡めないという環境だったと語った。『人間味の溢れる野球人になれ』という言葉が、龍谷大平安高校の教育における根幹にあるそうだ。そして、この経験が大学でも生きている。「國學院大學も人間性をすごく大事にしているので、勝ち負けよりも、社会に通用する人間性を大事にしている」と、この2校の共通点を話した。

久保田昌也

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