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メルカリの次のステージはスポーツ!新たな領域へ進出したその理由

プロ野球球団に見る「スポーツ×IT」の可能性

小泉文明氏

-**将来的に、企業としてチームのスポンサーをするという考えはありますか?**

いずれあるかもしれないですね。会社としてスポンサーすることにメリットが大きいもの、ベタですけど競技人口が多くて、波及効果が大きいもの、というところに支援をしていこうという感じですが、将来的には色々な可能性があるとは思います。

-**話は大きくなるのですが、スポーツへの支援を決めた小泉さんが感じる日本スポーツ界の課題とは何だと思いますか?**

スポーツって、人々の中の共通のコンテンツとして最後の砦になってきているなという気がするんですよね。

昔、テレビが主力の時代はみんなが“このお笑い番組見ました”といって、翌日の学校ではその話題になる。視聴率が20〜30%も取れた時代は、テレビが共通コンテンツだったと思うんですね。音楽もそうかもしれない。

ただ現代は人の趣味が多様化して、情報もたくさんある。そういう中で、みんなが共通のコンテンツの話題で盛り上がることが、実は難しい世の中になっているのかなと思います。よく言えば個の時代なんですけが、悪く言えば共感して盛り上がれるものってほとんどないんですよ。

そんな中でサッカーの代表戦とか、WBCもそうですけど、スポーツコンテンツって数少ない「みんなの共通のネタ」という側面がある。だからすごく価値があると思っているんです。

ただ、一方でスポーツ産業は古くからある分、結構な縦割りの社会であるという現実がある。そして人材の流動性が低いと思うんです。

例えばサッカーをやっていた人がずっとサッカー業界で仕事を続けている、バレーボールだったらコーチなどしてバレーボール業界から外に出ない、という感じで、流動性がすごく低い印象があります。

だから外の業界から入っていくと、「なんでそんなことやっているの?」と思うことがたくさんあるんです。IT業界からすれば「もっとテクノロジーを使えば解決するのに」と言える部分がたくさんあると思うんですよね。そういう人材交流の乏しさはすごく大きな課題かなと思っています。

スポーツに関わりたいという人は掃いて捨てるほどいると思うので、交流がもっと盛んになれば、スポンサーの幅が広がったり、収入が生まれたり、セカンドキャリアのサポートとか、そういう話にもなってくると思います。

最近では、野球界はIT業界の人がうまく引っ張っていっている気がしています。SNSや動画の活用もガンガンやっている。横浜DeNAベイスターズは良い例ですけど、観客動員数をすごく伸ばしているんですよね。ちょっと前まで『野球はオワコンでサッカーがイケてるよね』みたいな空気だったと思うんですけど、今やサッカーより野球という空気もあります。異業種とのコラボはそれだけパワーがあるんです。だからこそ、もっと人材の流動性を高めたり、コラボをしたりすればいいんじゃないかという気はしますね。

-**障がい者スポーツは常に支援や広報の部分を求めていると思うので、企業が入りやすいのではないでしょうか。**

企業をうまく使ってもらえばいいと思います。企業側は、社会性とビジネス的な観点の両方からスポーツと一緒にやっていきたいと思っているので。お金を支援してもらわないと競技力は高まらなくて、良いパフォーマンスも出せない。ですから、もっと企業側にうまく寄り添えば上手くいくのではと思うところはありますね。

あとは、地域とも寄り添うというところですね。僕はJリーグ初代チェアマンの川淵三郎さんがすごく好きで、彼が“地域”を推しているのはすごく正しいと思っているんです。ただ、地域が良くて企業は悪だというふうに対比したがるメディアもある。二者択一的にしなくても、もう少し冷静に考えて、両方を取れば良いのでは?と感じます。

野球はたしかに企業色が強くて地域性が落ちていたのかもしれません。しかし、Jリーグから勉強し、企業スポーツ的側面と地域性をバランスよく取ることでまた野球が成功し始めているところもあると思っているんです。色んなスポーツで地域と企業と競技者、この三角形のバランスをもっと良くしていければいいんじゃないかと思っています。

-**今回の件を皮切りにIT企業がもっとスポーツ界に入ってく流れができれば双方にとって良いですよね。**

IT業界は、インターネットを通してコンテンツを届けている会社が多いんです。そういう意味で言うと、コンテンツを作る人を支援していくというのは、僕らとしてもやってきたことで、これからもやり続けていくことです。たとえばゲームなら、ゲーム機器を作るような大手ゲーム会社がゲームを創るクリエイターや企業を支援するという取り組みがあります。同様にスポーツコンテンツを出したいというのがあれば、プレーヤーを支援していくという流れもあったほうが良いと思います。富の再配分じゃないですけど、コンテンツを作ってくれるようなアスリートや能力を持っている人に対して、もっと還元していくべきかなと。そうすれば、より良質なコンテンツができ、結果的にそれが企業の収益として返ってくる、そしてそれがまたアスリートの支援金になる、みたいなエコシステムを作っていかないといけないと思っていますね。

そういった形でスポーツ産業をIT業界から盛り上げていければ、みんながハッピーになるんじゃないかなと思います。

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