スポーツ業界案内人が語る、人脈形成とデュアルキャリアのススメ

信頼関係構築のための5つのステップ

信頼関係の構築には5つのステップというのがあります。人間関係は全部そうで、恋愛も営業もこのステップを踏んでいます。気づいてもらって、興味を持ってもらって、好きになってもらって、確信してもらって、愛してもらう。好き止まりは友達です。愛してもらわないと、何かお願いはできないんです。愛してもらいましょう。

人脈を広げるためのポイントとして、必ず押さえておいたほうが良いのは交流会などの主催者ですね。この主催者は何のためにこの会を主催しているのか、というのはものすごく重要ですね。その主催者の心が、参加者の心にも同じように表れるんです。

主催者がビジネスでばりばり儲けてやろうという気持ちでやっているような会合には、同じような人が集まります。だから名刺交換したところで営業を掛けられるだけですね。

ところが本当にいろいろな人を繋げたいと思ってやっていると、主催者のハートが参加者に連動するのは間違いありません。あとは主催者にも感謝の意を表しましょう。その場で出会った人だけでなく、主催者にも挨拶するのはすごく重要です。主催者がその人たちを集めてくれるわけだし、縁を作ってくれて、場所を提供してくれているわけですから。繋いでくれた人は、大事にすべき存在です。

そして私自身が本当に繋がりたい人、親密になりたい人に対して行うのは、“1年に3回会いましょう”です。SNSなどで明日行くところや予定もだいたい分かるので、偶然を装って同じイベントに行くんです。1回目はどこかで知り合った人も、2回目に偶然ばったり会えば、「あの時の!」となるわけです。名前は無理でも顔は覚えてくれるでしょう。そして3回目には完全に名前や何をやっているかを覚えてくれる。回数や会う機会を増やすと、詳しく知らなくてもぐっと関係は深くなります。向こうもこちらが何をやっているか興味を持ってくれて、調べもする。3回会って初めて具体的な話ができるかなと思っています。だから商談なども3回目からですね。

また、会った時に仕事以外の、人間としての部分で相手との共通点が見つからないようであれば、なかなか仕事には結びつかない。

成功する人というのはみんな人を巻き込む力を持っているんです。私も独立してすごく感じたことは、雇われ身から自分でお金作らなきゃいけないようなポジションになるにあたって、相当な覚悟が生まれます。必死なんです。でもそういうエネルギーは人に伝わるもので、それを感じてくれている人は必ずいます。また、自分に必要な人がたまたま来てくれることもあるし、色々な人に助けてもらうこともあります。すごトークのパンフレット作成もNPO立ち上げのメンバーも周りの人が助けてくれました。

どうしても自分一人じゃできないようなことってあると思うのですが、芯がある人はそれを補填してくれているような人を巻き込めていると思うんです。自分もそれを体験してすごくわかりました。

まずは自分から与えていくこと。ビジネスも人脈も同じ。

人脈の鉄則はギブアンドテイクだと思います。まずは自分から与えていく。与えていると、与えられた側はお返ししたくなる心理があると思います。それが返報性の法則で、与えられてばかりでは申し訳ないという心理が働くんですね。見返りを求めるためにやっているわけではないですが、自分から与え続けていくことが、脈々と巡り巡って、自分のところに戻ってくるという考えでやっています。

例えば「100円玉ってすごく菊が綺麗に掘られていて、硬いし、朽ち果てないし、きっと100円じゃ作れないし、斬新でかっこいい。私は貴重だと思っているので、もったいないけど1,000円で買ってくれませんか」と言われたとします。でも買わないですよね。

しかし、ビジネスの話に置き換えると、100円あげるから1,000円くださいを成り立たせているんですよね。世の中の会社というのは原価が100円のものに900円分の価値を上乗せして提供することで、1,000円でお客さんに買ってもらって、利益を得ているわけです。自販機で100円のジュースを買っても、原価は10円、20円しかしないんです。でもなぜ買ったのかといえば、「飲みたい・喉が渇いた」という欲求を満たす価値があったからです。

それではみなさん一人ひとりが与えられる価値(ギブ)はなんでしょうか。自分の価値を考えてみてください。スポーツ業界に入りたいのはわかりますが、あなたは業界に何をもたらすことができますか? スポーツ業界に対する価値は何でしょうか。“入りたい”という希望はある一方で、“何をもたらせるか”という部分がほとんどの方は抜けている。そこの価値を作ってあげるのが私の仕事です。

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