ヤクルト春季キャンプの地・浦添で聞く、プロ野球の誘致が地域に与える影響
ヤクルトキャンプが与える浦添への影響
沖縄県は県内総生産の8割以上を第3次産業が占め、観光・サービス業が沖縄経済において大きな役割を果たしている。
しかし、浦添はなかなかその恩恵を受けることができていない。
「浦添市は那覇市と隣接しているものの、素通りされてしまうんですよ。観光資源として目新しいものがないんです。ただ、浦添市は沖縄の歴史的には重要な場所があります。首里が琉球王朝のあった場所として有名ですが、王朝の発祥は浦添です。文化的な遺産がある程度残されています。ただ、それだけでは観光地にはなりにくいので、これから作っていく必要があります。」
そこでプロ野球球団を誘致した訳だが、マスコミを通して地名を発信できるというのは非常に大きな意味を持つ。
「浦添は“うらぞえ”と濁ってしまう人が多かったのですが、本当は“うらそえ”なんです。でもマスコミがヤクルトのキャンプをPRすることで、“うらそえ”と読んでもらえるようになったので、その効果は絶大なものがありました。」
現状では観光資源に乏しいとされる浦添市だが、現在西側の海岸地区については開発が行われている。2019年の開業を目指し、複合施設の建設プロジェクトが進んでいるのだ。さらに将来的にはアメリカ軍海兵隊施設・キャンプキンザーの返還により、新たに広大な開発用地が生まれてくることが想定される。
また、西は那覇空港から那覇市内中心部を通り、東の首里までを結ぶゆいレール(モノレール)の東側についても浦添市内の沖縄自動車道・西原IC付近まで延伸が決定している。これに伴い、交通の利便性が向上するのだが、同時に周辺の開発が行われていくことになっている。延伸したゆいレールの終着駅付近には5,000人規模のアリーナ建設の計画も持ち上がっており、今後野球以外のプロスポーツの試合が行われる可能性もある。
そういう意味で浦添はこれからが楽しみな、ポテンシャルを持った街なのだ。
投手陣のトレーニングメニューなどは陸上競技場で行うことも
来る戦いの時に備えて、ベストな環境を
「キャンプ地でいい練習ができるか、というのは常に心配です。グラウンドの状況など、ちゃんと選手がこの時期の練習をシーズンに活かせたかどうか、ということがペナントレースの成績にも影響してくると思いますから。キャンプがうまくいったその成果として優勝できたと皆さんに言ってもらえるように、環境の整備をやっていかなければならないと考えています」
長いシーズンを戦う上で、開幕前のキャンプの1ヶ月間がチームの成熟度の面でも個人の能力アップの面でも重要な期間であることは言うまでもない。
その一方でファンにとっては選手にサインをもらったり、写真を撮ったり、普段見られない一面を見ることができたりと貴重な体験ができる可能性があるという点で非常に楽しみな期間である。恒例行事としてこの時期に毎年沖縄を訪れるという人も少なくないだろう。
「まずはキャンプ地を楽しんで帰って頂きたいと思っております。こちらでゆったりとした時間を過ごして頂ければと思います。そしてグッズやイベントについて、ファンの皆さんから見たご意見があればいつでもご連絡ください。我々も毎年キャンプ期間中にファンの皆さんに楽しんで頂けるような何らかのイベントを開催していこうと考えております。ぜひヤクルトキャンプ地の浦添に来て頂ければと思います。」
観光スポットがたくさんある沖縄だが、2月のキャンプの時期は比較的安く行くことができる。格安の宿で、移動手段もLCCと格安レンタカーを利用すれば1週間滞在してもコストは5万円程度に抑えることが可能だ。
そしてぜひ野球好きなのであれば那覇からも距離が近い浦添を訪れて、プロ野球選手のすごさを身近に体感してみてはいかがだろうか。
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