THINK SPORTS『ラグビーワールドカップがもたらしたもの』

2019年日本スポーツ界において、いい意味でのサプライズはラグビーワールドカップだったかもしれない。

決して事前から盛り上がっていたわけではないが、いざ開幕してみれば興奮のるつぼ。日本代表の快進撃もあって、日を追うごとに報道もラグビーが占める割合が増えた。

テレビで見ていても音が聞こえそうな肉体と肉体のぶつかり合いは、時にスマートさに欠けるという意見も聞く。ルールが難解という声も多い。そういう意味で日本では決してメジャースポーツでなかったが、なぜ急速に人気を博したのか?

その一つに、試合中のイメージとは180度異なるといってもいい、相手を思いやる精神が挙げられるだろう。

試合後にお互いのチームをたたえ合うリスペクト。それだけではなく「郷に入ったら郷に従え」といわんばかりに、ニュージーランド代表が試合後にスタンドのファンに向かって行った「お辞儀」は、瞬く間に世界へ配信され他チームも追随した。

そのスタンドを見れば、両チームのジャージーを着た観客が並んで座っている。かっちりブロック分けされている野球やサッカーのファンは、この光景を見て驚いたのではないか。そういった土壌があるから、ファン同士のケンカが問題になったこともない。

こんな報道もあった。

「ニュージーランドはカナダを63-0で撃破したあと、彼らをロッカールームに誘った。試合後にビールで乾杯したのだった」

時に「スポーツマンシップ」と表現されることがあるが、どこかで「勝負にこだわる」問題が出てくるもの。今回のラグビーワールドカップにしても、イングランド代表選手がメダルを拒否するなど、決して問題がなかったわけではない。

しかし、それらを差し引いても「さわやかさ」が残ったのは事実。ライバルを尊敬することを教えてくれるのはスポーツだといわれるが、その真の姿こそが感動を呼んだといえるだろう。

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