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ランニングシューズ『アンダーアーマー_スピードポケットショーツ』

以前、ここで紹介したアンダーアーマーのランニングシューズ「UAホバー ソニック3」を覚えているだろうか。ソールのEVA素材に、軽量で反発力のあるオレフィン系エストラマーという樹脂を加えることで、足に加わる衝撃をしっかり吸収すると同時に、その着地衝撃を前に進む力に変えて、無重力空間を思わせるようなはき心地を体感できる優れたランニングシューズだ。

>>アンダーアーマー『UAホバー ソニック3』【前編】はこちら

もうひとつ、「UAホバー ソニック3」の大きな特徴といえるのが、ソールに埋め込まれたセンサーチップの存在。走行距離や走行時間、スプリットタイムなどのデータを計測して、スマホにダウンロードした、アンダーアーマー独自のアプリである「MapMyRun」に同期する。スマホを通して、自身のランニングデータを知ることができることだ。

しかもセンサーはシューズが地面に接地していた時間や、足が接地した角度(つまり前足部から着地するか、カカトから着地するか)などまで計測できるため、あらかじめ「MapMyRun」に入力したパーソナルな身体データや、過去のランニングデータから、理想的な歩幅やピッチなどを、走っている最中でも伝えてくれる。

つまりランニングが終わったあと、スマホと同期させて結果を見るだけでなく、走りながらアドバイスまでしてくれるパーソナルコーチにもなってくれるわけだ。このコーチング機能も「UAホバー ソニック3」+「MapMyRun」のコンビが画期的なところだ。

となると、この「UAホバー ソニック3」+「MapMyRun」のコーチング機能を最大限に享受するためには、ランニングするときにスマホを携帯することが前提となる。しかも音楽を聴きながら走るというスタイルも定着しており、ランニングするときでも、普段と変わらずスマホが手放せないというランナーは増えている。

そこで思い起こすのが、スマホを入れたアームバンドを腕に巻いて颯爽と走るランナーの姿。メディアでもよく目にするシーンだ。だが「UAホバー ソニック3」の取材にうかがったときこんな話を聞いた。

「アンダーアーマーはスマホを腕に装着するのを推奨していません」。これはアームバンドをつけた側に重さがかかるためランニングフォームが崩れやすく、疲れにもつながる。また脇ずれや汗疹をまねくリスクもある。ランナー目線から導かれた判断なのだ。

ならば走っているとき、スマホをいったいどこにしまえばいいのか? 今回、紹介するアンダーアーマーの『スピードポケットショーツ』のキモは、スマホ収納に特化したポケットをつけたことだ。

実はエリートランナー向けのレース用ランニングショーツにはポケットがついていないものも多い。もちろんトップランナーたちがレース中にスマホなど持ち歩かないというのも理由なのだろうが、それ以前に、ポケットの中にモノがあることがストレスとなり、走りの妨げになるというのは、どんなランナーでも容易に想像がつく。

とはいえ一般的なランナーは、日々のランニングを手ぶらで、というわけにはいかない。自宅のカギやお金、補給食(エナジージェルとか)などを携帯して走ることが多々あるからだ。そのため一般的なランニングショーツには、ウエストまわりやサイドにコンパクトなポケットがついている場合が多い。またそうした小物を収納するために、ウエストポーチをつけて走るランナーもいる。

ところがいざそのポケットにスマホを入れて走ると、そのかさばるサイズや重さから、ポケットの中でスマホが揺れてしまいなんとも煩わしい。走るときに感じるストレスや違和感は、カギやお金がポケットに入っている比ではない。そして走ることに集中できなくなれば、当然パフォーマンスも低下していくことになる。

アンダーアーマーが求めた、ストレスなくスマホを携帯できるポケット。ポイントとなったのは、ランニングショーツのどの部分にポケットをつけたらいいかということだった。そこを問い詰めていくと、人体の構造まで見直すことが必要となった。その結果得られた答えは、もっともスマホが揺れにくく、安定するのは、体の重心であるヘソまわりにスマホを収納するというものだった。

ヘソまわりをランニングショーツに置き換えれば、ウエストベルトのフロント部分ということになる。足に触れるのが気にかかるサイドのポケットや、出し入れが面倒なウエストの腰部分という選択肢は消えた。これまでのランニングショーツでは例のない、このウエストのフロント内側につけたポケットを、アンダーアーマーは“スピードポケット”と名づけた。

この“スピードポケット”はスマホを入れていなければ、ウエストベルトの幅と同じ。スマホを入れると伸縮性があるギャザーが広がるため約19×8.5センチ(iPhone11もすっぽりと収まる)というサイズとなる。もちろん多少の膨らみは生じるが、シャツがウエストにかかった状態であればほぼ目立たない。

また装着感もウエストベルトで押さえて(ヒモでも調整可能)、腰部分と同じテンションとなるため、スマホの存在はほとんど気にならない。フルマラソンを走りきったあと、スマホをどこにしまったのか忘れたというランナーもいたくらいだ。

ストレッチの効いた素材で作られた“スピードポケット”の中で、スマホは揺れることなく安定する。そして体の重心を考慮した配置によって、走りのバランスを保つことにも大いに役立っている。

だがショーツのウエストまわりは肌に密着することもあり、汗をかきやすい部分でもある。ポケットがあることで、発汗量が増えて走りに影響がでないのか。スマホが汗まみれになってしまわないのか。心配ごとも思い浮かぶ。

そんな不安を解消するために、“スピードポケット”には防水性のある素材が用いられている。さらにその素材をギャザー状にすることで汗が染み込まず、また肌あたりにも影響がでないように設計されている。ランナーとスマホ、双方にとって、汗のケアがされるように作られているのだ。

ここまではスマホに特化したポケットの話に終始してきたが、ランニングショーツ本来の機能にも十分に配慮がされている。足さばきを妨げない超軽量で伸縮性のあるウーブン素材に、メッシュのサイドパネルで通気性を強化。吸汗速乾性能も高いレベルとなっている。夜間のランニングを想定したリフレクティブなディテールも備えている。

その優れた利便性からスマホが日常生活に欠かせない存在となっていることは、今さら言うまでもないだろう。そのために服やバッグにスマホ用のポケットがつくこともめずらしくはない。そしてランニングというシーンでも、同じようにスマホを携帯することが求められていることを、アンダーアーマーの『スピードポケットショーツ』はもの語っている。

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